正直なところ、定期的に来院している患者さんに、「今日はどこがつらいですか」と尋ねて、「肩こり」と言う患者さんはほとんどいない。「冷え解消法」に書いたことや関節の運動法などをしつこく指導しながら、内臓の血液循環を良くする治療をしているからだと思う。「全身調整」と言う言葉を使う人もいる。言わなくても全身治療してくれるからと言う人もいる。しかし、自覚症状がない未病の段階で、適切な治療とアドバイスが重要だと思う。そんな中で、不自然な肩の使い方をしている人へのアドバイスを紹介しよう。 肩は構造上、脱臼しやすく、ずれやすい。ずれたまま使えばコリや痛みがでることを知っておこう。緊張感の強い人は、肩に力が入っていて、さらに、少し持ち上げている。鼻から息を吸って口から出してみると、肩が下がるのを確認できる。これを時々やれば、診断即治療になる。車の運転では、10時10分でハンドルを握るのはいいとしても、脇を大きく開けている人が、特に、女性に多い。脇は、ゲンコツが一個入るぐらいが限界で、それ以上開くと、力も抜けず、コリの原因になるだけでなく、運転が下手になる。
肩を上げるといえば、流し台の高さも影響が大きい。昔作られた流し台は、若い人には低すぎ、屈(こご)まなければならず、最近作られた流し台は、背の低い高齢者には、高くて、肩を持ち上げ背伸びしなければならない。しかも、これを無意識にやっているので、疲労感が強く肩痛、腰痛をもたらす。低いと感じたら椅子などにこしかける、高いと感じたら足元に、ホームセンターで買ってきたスノコを置いてみる。これは、以外に効果がある。
椅子に坐ってパソコンを長時間使う人は、膝と膝の間がゲンコツ一個入るぐらいの幅にひもで固定すると、姿勢が良くなり、肩もリラックスできる。ひもは、ゴムなど伸び縮みするものがいい。これは、デスクワークの人にも効果がある。
肩こりで怖いのは、心筋梗塞。血圧が普段高くてもコントロールしていれば心配はない。しかし、「今日はなんだか特に左肩のコリが酷くて、小指に「時々」ちりちり痺れがくるし、血圧も高い」と言う時は即、病院で検査。僕が、医療法人 仁成会 高木病院(青梅市)にいた頃、患者に聞いて集めたデータなので、確率は高い。
「肩こり、肩痛」