2015.02.16          本疋田 絞り

高度な技術


本日の商品は、本疋田(ほんびった) 絞りの着物です。
疋田とは、疋田鹿の子(ひったかのこ)絞り染めの総称です。

鹿の子とは、絞りの部分の白い粒々が、鹿の毛色にある白い斑点のように見えるところから名づけられたようです。
そして絞りの部分が、四角形で、約45度の角度で一面に並ぶものを「匹田」と称し、後に「疋田」と書かれるようになったようです。

絞りの粒の大きさですが、反物の幅の中にどれだけの数を絞るかということで、この度の商品は「46立て」ですから、一尺幅(約38cm)に46個の絞りを入れるいう大きさになります。

絞り方は絹糸で8回以上巻いていきます。写真でお分かりのように綺麗に配列されて、ピンと盛り上がっていますね。触れると生地のしなやかさにピンと張った絞りの立体感とが相まって、素晴らしい風合いになっています。これが高度な技術の証になる訳です。


褒められる装い


絞りは太って見えるからと敬遠される方がいらっしゃいますが、この写真のように商品としてお勧めする最初の段階は絞ったままの状態です。

お仕立てする場合はお客様の寸法に合わせて、幅出しという加工法で生地を伸ばしていきます。ですので仕立上がったときは、もっと平面的になっていますから余り気になりません。

出来上がったお着物を拝見されたときは、職人芸とも作品ともいうべき技術の結晶にきっとご満足頂けることと思います。

2013.02.11          訪問着

長閑な風景


本日の作品は訪問着です。
着物全体に春の風景を描いた何とも温かみのある優しい図柄です。

柔らかいタッチで全体に描かれた木々と、左胸から袖にかけて、そして上前、下前にある集落の様子は子供達が走って出てきそうな長閑な春の風景を見事に表していますね。


褒められる装い


帯び合わせは着物が総柄ですので、帯はなるべくなら総柄よりもポイント柄や、無地感の方がスッキリします。あまりキラキラした箔使いよりも艶消しの方が良いでしょうね。

春のひとときをより思い出深くしてくれる素敵な作品です。きっとその場を温かく和やかにしてくれるお着物となるでしょうね。

2012.05.17          木綿           

とことんこだわる


本日の作品は木綿の着尺です。製作は芝崎重一氏です。芝崎氏は群馬県伊勢崎市で工房を構え、現在、ご子息の圭一氏とともにこだわりにこだわりぬいた作品をこつこつと制作されています。

前回に引き続き藍染めを紹介しますが、このたびの芝崎氏の藍は徳島の藍師が時間をかけて藍草を発行させたすくもを藍甕(あいがめ)と呼ばれる甕に灰汁、酒、石灰、ふすまなど加えて発酵を待つという、古来から伝わる灰汁発酵建てという方法によって藍が出来上がります。

そして、木綿の白糸を藍甕にやさしくゆっくりと浸して、そして引き上げて、残りの染まっていない部分を沈めこみます。
引き上げた直後、染め始めの藍の色はどちらかというと緑色の感じです。しかし藍が空気に触れると酸化しはじめ、みるみるうちに藍色に変化していきます。
とはいえ十数回繰り返し作業をしないと濃紺色に染め上がりません



手間を惜しまない地道な作業の果てに言葉では言い表せない美しきジャパンブルー「藍」をここまで見事に染め上げ、そしてしなやかに織り上げた素敵な木綿のきものです。

反物で見た楽しさよりも仕立て上がったときの嬉しさと高揚感、纏ったときの感動をぜひとも味わっていただきたい作品です。