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銅造,懸仏。 昭和35年。 1面。 像高40cm 横16cm。 |
穏やかで慈愛に満ちた尊顔の地蔵菩薩が合掌する懸仏です。像は舟形光背で後頭部に後光を表す円形を頭光として表現しています。円形に近い頭部は剃髪で半眼の眼差は慈悲に満ちている童顔です。合掌した両手が可愛いらしく胸元に組まれ、足を組んで趺坐した下半身は衣文を単純に纏めています。蓮華座は二層に分かれ最下部の反花も美しく仕上げられ安定感が有ります。 地蔵菩薩は道祖神として民衆を救済してくれる僧形の野仏として「お地蔵さま」と呼ばれ道路脇に置かれて住民を見守り親しまれている石像も数多く全国各地の村や街に在り身近に拝まれています。現在では道路脇に散在していた石仏を集め一所に集積してい光景が各地で観られます、小さな石仏が沢山寄せ集められ並んでいる姿に愛しく儚い夢を観ているようです。 衆生を救済する慈悲を持つ童顔で親近感が有る地蔵菩薩は、包蔵された大地の母胎から誕生した幼子を見守ります。作者が祈念した地蔵菩薩には 幼折した幼子を弔う役目も有るようです。生死無常の現世に於いて釈迦入滅後に衆生救済の役目を果たす身近に存在するお地蔵さんです。 伝統的文化は母親から受け継ぎます、母親に伝統が無いと家(家庭)には伝統がありません。伝統の無い家であっても女性が自覚して伝統を学んで築いたら、その時から家に伝統が生まれます。 普通の生活には「出会い」はありません。「出会い」は人生に於いて素晴らしい生き甲斐になります。「出会い」は、何の欲望もない純粋な時の存在を感じます。 お経のように何も無い無心になり、ものに殉じる心になる事です。 この事に徹する事が芸の心が解るという事です。理屈ではない無私の世界です。 無を発音し続けると「む〜〜〜う」有と成ります。詰まり無は有でもあります。無を尽くして得た有です。 |