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色紙。 昭和38年。 1葉。 縦24.5cm 横24cm。 |
紫花人形を正面から少し前方に傾いた姿を単純な輪郭線で描写した墨画です。細い輪郭線に太い一筆の斜線で衣服の質感を明確に描き、帯と裾(スソ)に紅色を僅かに彩色して女性らしい情感を表現しています。人形は木製の台に固定されていました。その一角を人形が在る舞台として足元に薄く描いています。
人形は女性の儚くも美しい運命を数点の人形で物語的に構成したものです。僅か3寸(10cm)程の衣装 人形ですが其の表情には人間の喜怒哀楽、苦悩や絶望の現実と夢や希望の未来を美しく表現されていました。 演劇の舞台で演じられる実在の姿と比べても適わない比類ない姿として 優美に情趣的に展覧会場に十数点並べられ物語を構成していました。人形は全て作者自身が衣装や所作を替えた姿で演じている舞台役者の様にも観えました。 爽やかな風が伝える優美な魂が「風姿紫花人形」の在りし姿でした。 紫色は最高の色です。紫は赤と青の色が混ざって、もうこれ以上の美しい色はないと云はれている色です。赤と青は男女を示す色でもあります。この二つの調和した色が紫色です。この紫を最高の文学である「源氏物語」に観たのです。人々は作者に紫式部という最高の呼び名を与えたのです。千年を経て今日、紫の名を贈られた「紫花人形」が最高の知性で物語っているのです。 悲しみの中に耐えていく姿が文学(人形)になるのです、悲しみを慰めてくれるのが文学です。 川の流れの表面は静かでも、川底は複雑に渦巻いています。芸術もその底に触れないと深いものが理解出来ません。 |