山吹 やまぶき 之図


KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART  
  


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紙本水墨淡彩色紙。 昭和51年。 1葉。 縦27cm 横24cm。









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山吹の一枝に群れ遊ぶように小さな葉と花が画面左上から飛び出て踊るように描写されています。細い枝に可愛い花と葉が四方に広がるように向いています。花弁は薄い山吹色で花芯は小粒を沢山描いています。小さな葉には濃い緑色で彩色して優美で品格ある花木に纏めています。
美は健康的で完全な形態を持ち生命力溢れるものだと作者は考えてました。作品を在るがままでなく完全で美しい形に再構成しています。若さは年齢でなく美しい姿と無垢なな心に在ると信じていました。


源 実朝の「散り残る岸の山吹春ふかみこのひと枝をあはれと言はなむ」の歌に無常を感じます。

「金槐和歌集」の金槐とは、”迂人 ”と同じ意味があります。迂人として私の作品は美の神に捧げています。金即ち美に恥じ入っているという意味が槐の意味だと思われます。 だから大いなる美に捧げた和歌集であるという意味でしょう。朝廷に対しても二心のない事が歌の中に詠われています。歌は情緒的で深い人間性、弱い人間が表現されています。天才的な歌人です。 実朝の運命は現在にあっても、そのまま理解できます。自分の姿を美の中に照らして暮らしています。

此れ等の絵には、平面的な絵でなく、縦横に深く観る事の出来る目がある事です。それは彫刻を学んだという事ではなく、以前から持って生まれた才能があります。一つの線でも見事に生きています。不思議な事です。
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