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うめ之図


KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART  
  


表紙
設立の趣旨 全作品目録
精選作品目録 絵付け陶器作品目録 編者  





絵付け茶碗。 昭和48年。 1口。 高8cm 口径13cm 底径5.5cm 。









茶碗には横に伸びた梅の枝に可憐に開いた花弁と蕾が細い線描で描かれています。 茶碗の側面に沿うように描かれた枝振りが良い構成で沢山花を付けた梅は賑やかな華や愉快に踊っている様な躍動感を感じます。梅が咲く厳冬の屋外を連想して茶席で人と感会する事は一期一会の感慨です。茶器は人と人を和ませ語らいの糸口になるでしょう。 茶碗には正面が在り客に正面を向けて差し出されます。客は茶碗の正面を避けて茶碗を戴き一服して、正面を元に戻し膝元に置きます。左様に茶碗の正面は茶碗の顔で梅の描画が観処です。観処を観せ持て成す亭主の心遣いを戴きたいものです。
現在の茶道として有る喫茶の源流は栄西禅師が鎌倉時代当初に宋から茶の栽培と礼法を伝承したものだそうです。室町時代末期に詫び茶として草庵に禅寺の静寂と質実なる精神が今日まで伝承されています。詫び茶の用具として今日まで茶器を伝世品として日本人は愛玩してきました。時を経て幾人かの手厚い愛蔵品として現存している形状や地肌の美的に優れた茶器は文化的にも貴重なものとして在る事を誇りとしたいものです。
茶を人から点茶されて戴く会席は互いに和む効用が有ります。 茶を戴く茶席を迎える亭主は持て成しの心遣いをします。室内を 清浄にして用具や飾り付けをして客を迎えます(一座建立)。 静寂な点前があり、為人(ヒトトナリ)が伺える会話があります。 得難い時と処を設ける茶事は有難い至福の極みを満喫します。




この絵付けした茶碗が良いと思って味わえる事が人生です。 この茶碗や世界の名品を受け入れる事の出来る精神を養う事が人生に於いて尊い事です。

今日の会席に、私は生命を懸けています。この一時こそが、素晴らしい芸術作品そのもので、形なき夢の本当の現実の一時です。

茶では一期一会と云う事があります。全ての人間が夢の中に生かされていると云う尊さを味はなくてはなりません。


この茶碗は屹度後世に残るものと信じます。この素朴さは、現代人に直ぐには理解できなくても、この良さが解る時代が来るものと思います。この梅を描いた水指などが、本当に日本人の感覚だと思います。









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