梅の枝が力強く天空に小枝を沢山伸ばしています。枝には花弁や蕾が整然と自在に描かれた生命溢れる画面です。花芯には黄色で彩色されています。枝の並びや方向に空間に心躍る躍動感があります。
下段に表示した絵馬の牛の背景に梅が描かれています。豊満で愛嬌ある牛と梅の古木が風格有る威厳を感じます。
梅の花には奈良時代官人の宴を、桜の花には平安時代貴族の宴を想います。梅も桜も日本人の詩歌管弦を伴う美的情緒を感じる伝統的な文化的要素として親しみが有ります。
梅の古木を材料として作者は赤紅色の見事な茶杓を造った事があります。竹でも茶杓や柄杓、竹籤(タケヒゴ)で凧も造っています。器用に用具を手作りしていますが、材質を選ばなければ能い物が出来ないと話していました。
人間の顔が異なるように能力にも違いがあります。その中で唯一つ自分でなくては出来ないものを見付ける事です。これが個性です、その個性を見付ける為に勉強するのです。 勉強上手な人はリズムを知っています。リズムを知る事が知性です。
絵は描けるものではありません。自ら生まれ出る境地を描くのです。
美は理屈では解りません。花は美しいから美しいのではありません。ただ美しいのです、無目的無心に美しいのです。無邪気さです、これがカントの美学の本質です、感覚で美を押える事です。
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