他愛もない図柄に見える水指ですが、年賀の初釜の威儀を正した座敷に置きたい器です。松竹梅の目出度い花木を水指に描いています。中心に松の幹を大きく、左右の枝に繁茂する松葉、松の後方梅と竹を生き生きと踊っている様な軽快した構図に表現しています。松は常緑で長寿、竹は新緑で成長、梅は高貴で華麗な現世での宿願を祈念し祝福しています。
茶席では正客(客人の中で代表と成る人)に座敷の上座に着座を願います。通常正客は歳を得て見識と常識ある年長者が該当します。年長者は人生の先達者で在りたいものです。
満月(理想の美)は移っていきます。光源氏は女性の中に常に満月を求めています。 だから満月を過ぎると、次の満月を求めて移って行くのです。美は常に完全な姿を求めます。
自分というものを客観的に眺める事の出来る、もう一人の自分が常に確りしていなくてはなりません。考え方や動作にも、もう一人の自分が加わっていれば、文学的な
「ももの哀れ」が解るでしょう。
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