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らん 之図


KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART  
  


表紙
設立の趣旨 全作品目録
精選作品目録 絵付け陶器作品目録 編者  


昭和56年。1口。高16cm。口径14cm。











筒状の水指に蘭の細い葉を自在に伸びやかに沢山描写しています。線描の速筆で濃淡の画面にリズム感が在ります。確りした葉元の纏まりも見事です。
陶器は高温で焼成される生成過程を経て釜の中から出される迄器の完成した形状を確乎と認識出来ないものです。炎の中を潜り抜ける制作過程の試練を経た陶器には強靭な生命力と独特の感触が在ります。 陶器そのものも経年による風化とも云える変化により雅味が増す事もあります。数年、数百年と経年した器が観る人に更なる美的感動を与える事にも成っています。



紀貫之が女性の気持ちになって「土佐日記」を書いた事は、女性の優しさが美を表現するものだと思います。美しい事は優しい心です。

夜中の二時頃電灯から行燈にしたところ、周りが全く静かになりまして、虫の音が聴こえるではありませんか、風も何かしら秋の気配さえ感じました。行燈の静かな灯りの中にいると紫式部、一葉が蘇ってくるのです。この静けさが文学であると味わいました。また、この情緒を普段の生活に取り入れ、最期の日本人の誇りを持ち続けて生きて行きたいと思いました。


川の流れの表面は静かでも、川底は複雑に渦巻いています。芸術もその底に触れないと 深いものが理解出来ません。






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