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 ねこT

KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART    ;



表紙
設立の趣旨 全作品目録 精選作品目録 彫刻作品目録 編者  

















(多面像)


銅造。 昭和37年。 1個。 像高6cm 幅16cm 奥行11cm。



古来より猫は人間に最も可愛がられた身近な愛玩動物です。像は静かに心地よく眠っている猫です、観ていて心が穏やかに成ります。作者も猫が好きで猫の自然な姿を数多く彫刻として制作しています。眠っている猫、蹲っている猫、前足を立てて座っている猫、親子連れの猫、蹲っている猫等に穏やかで可愛い感情を覚えるものです。猫の穏やかな目の表情は、展示してある観音菩薩像の半眼の表情とも相通じた優しさが観られます。総ての美しい造形物は 大自然の摂理の元に生まれている摂理に由来する様です。
思えばフランスで猫や人物を制作し、晩年には国籍も日本からフランスに帰化した藤田嗣治を連想します。彼の生涯に美の頂点を極めた最高の傑作は大東亜戦争を主題として壮絶な戦場を描写した作品(戦争画)が在ります。歴史的な戦争画を日本人の信念と誠実な情熱を尽くした作品です。制作にはドラクロア等のヨーロッパの戦場画の秀作が彼の脳裏にあった事でしょう。然し戦後から現在に至るまで作品の真意を寛容されない悔しさで、彼の後半生はフランスで猫や人物を異彩な秀作として数多く制作しています。森鴎外にも繋がる生涯を極めた優れた芸術家だと思います。




美は真実を自覚する事です。真実は学問を修める事によっても得る事が出来ます。学問を修める事は、自己を明らかにして自覚する事です。人間や自然との調和を保つ事です。

芸術家が育つには、やはりその環境に在るという事に尽きます。良い環境に在る事が美を養うという事です。

優れた芸術家は、その芸術の中に生き甲斐を持っています。然しその家庭生活は質素で貧しい場合が多いのです。芸術家は世俗的な幸福には忍耐を強いられます。芸術の中に幸福を見出そうと努力するのです。