真夏の強力な日向を受け毅然と咲く花木に旺盛な生命が美しく存在する姿があります。 細く強靱な枝に左右に伸びた葉並び、葉脈を鋭く線描しています。小さく可愛い蕾み、赤紫色の薄い花弁、突き出た花心が黄色の小むくげ粒が色鮮やかです。
細く鋭い墨線に確信ある水墨の冴えを感じます。
木槿と類似する芙蓉とは違う趣がある花木で共に茶席を飾るに素朴で相応しい品格ある花木として盛夏の茶席に供せられる一輪ともなっています。
幕末から明治に浮世絵を観て感動した印象派の画家は絵画の本質を学んで近代の油絵を描いています。雪舟も中国で学んで日本の水墨画を描いています。 狩野派の画家は中国の絵画を手本に学んで 、そのまま日本の風物を描いていますから、絵が中国風になっています。
絵の本質を学ばずに、形式を学ぶだけでは感動を与える芸術作品にはなりません。
芸になる寸法は一つです。それを得るには、そのものの性格を確っきり知る事です。 小さく咲いている花が可愛く思ったら、その花を大きく表現します。大きな花が少し目障りなら小さく表現します。これが花に対する愛情です。
人生には苦悩がなくてはなりません。それ故に、苦行があるのです。その苦行が喜びである事に気付かねばなりません。
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