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之図


KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART  
  


表紙
設立の趣旨 全作品目録
精選作品目録 絵画作品目録 編者  







パステル画。 昭和62年。 1葉。 縦24cm 横27cm。






静物画に関して岸田劉生の写実に於ける画論に作者も共感するものがありました。作者も物の存在では自然で在るがままではなく、自然より美しい完全な美を求めていました。物の存在を神秘的な美的感情でも表現しています。 この作品は緑の葉が付いた桃の新鮮で瑞々しい姿を描いたものです。桃が横向きに仲良く並んで在ります..桃は古来から身近な自然の恵みで、心豊かな満足感を与えてくれます。
パステルの色を何度も重ね細かい網目をように豊かな質感ある画面としています。作者はパステルや油絵具には、水墨画にない多彩な材質感を表現出来る事に満足していました。



芸術には個性がなくてはなりません。個性の中に普遍性があれば、個性が本物になり伝統的な芸術になります。川の流れの表面は静かでも、川底は複雑に渦巻いています。

作品を創造するのが作家ですが、作品が作家の手を離れたら、その時から作品は作品の運命を歩みます。偉い人になる為に茶を習わしているのでなく、ものが観えるようになる為に習うのです。

素晴らしい人の作品を観て謙虚な精神で、素晴らしい事が耳や目に入る為に習うのです。下駄の鼻緒を挿(ス)げる事を教えてくれた人居たら、その人が自分にとって師匠であるという思想が判然としていました。