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翡翠之図かわせみのず (全図)


KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART  
  


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(部分図)

紙本墨画。昭和45年。1幅。縦135cm。横33.5cm。
翡翠は水辺に見られる珍しい小さな野鳥です。その優雅で美しい色彩の翡翠を好んで作者は画題としています。画面は高い葦の先端近くに翡翠が止まり、水辺の何かを窺っているようです。 横側から描写した翡翠の細長い嘴(クチバシ)、鋭い眼球、 風を切る羽毛、強靭な脚線が画面の焦点になっています。下から上に葦の茎を強靭で伸びやかな墨線の濃淡、軽快な筆致で描いています。茎や細長い葉に筆先で付いた小さな墨点は草露の 表現で部分的に強調されています。この様な鋭い筆遣いには長年修練を重ねた技量の跡が観られます、細く伸びた茎、垂れ下がった穂先、枝分かれした細長い葉、自然に在る形態を見事に 優美に表現している構図には限られた空間に大自然の息吹を感じます。 翡翠が天空の葦に止まっている姿は、世俗に汚れなく孤高に生きた作者自身を写している様にも想われます。



美は放物線の頂点のように一点に集まります、それは瞬間の時で、永遠に停止した形をとります。

浮世絵は仏画や大和絵から学んだ独特の風物画です。幕末から明治に浮世絵を観て感動した印象派の画家は絵画の本質を学んで近代の油絵を描います。

雪舟も中国で学んで日本の水墨画を描いています。狩野派の画家は中国の絵画を手本に学んで 、そのまま日本の風物を描いていますから、絵が中国風になっています。絵の本質を学ばずに、形式を学ぶだけでは感動を与える芸術作品にはなりません。









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