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 誕生釈迦仏立像

KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART    ;



表紙
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(多面像)


銅造。 昭和57 年。 1躯。 高20cm 底径12cm。




誕生仏は童顔で観る人に安心安寧な喜びを与えてくれそうな小さな仏像です。釈迦の誕生を祝う灌仏会で誕生仏に甘茶を注ぐ行事があり子供の健康な成長を願う人々に身近な仏像です。誕生仏は数多く制作された仏像ですが素直で邪気の無い秀作は少ない様です。仏像に限らず物には作者の品性や素養が投影されるものです。作者こそ純真無垢な魂を作品に具現した作家です。
像は細身で流麗な体躯は正面からも 側面からも真っすぐに起立しています。 豊満な童顔、大きく垂下した耳、上下に伸びる細い腕、下半身に纏う裾子(クンシ)の衣紋も明確に表現されています。蓮華座と反華座の形状も絶妙な調和をなしています。像の寸法は大人の人間が合掌した手の長さです。蓮華座 下部の円形の灌仏盤が連結して全体に均衡と安定感を与えています。
細躯の原型は針金を芯にして紙粘土で成形して原型とし銅製に鋳造しています。この像を坂本龍馬誕生地碑の前で先生から手渡された事を想い出します。


誕生佛は、唯我独尊、つまり「今」を自覚した姿です。

合掌とは菩薩自身が共に、彼岸を念ずる事です。無心となって菩薩と一つになっている状態、生かされている自分と、生かしてくれる菩薩が、一つとなった状態です。

天才は社会的、家族的にも恵まれず悲劇的な生涯に終わる人が多いようです。悲劇に耐え忍ぶだけの強い精神がなければ優れた芸術的作品は生まれません。