徳利に単純な描線と薄い陰影で蟹の質感を見事に 表現しています。 脚、爪、目玉の形態に躍動感があり徳利を横に傾けると蟹が口から這い出て来そうです。 愛嬌のある2匹の蟹が互いに会話している様にも観え親しみを感じる図柄です。 作者が幼少の頃隣の称名寺に寄宿していた雲水に蟹の描き方を習って描く事が楽しく慣れて終生得意とした画題となりました。 日本人が生活する家庭では座敷がある家が少なくなっている様です。床で椅子に座る日常から、座敷で正座して会席して抹茶を戴く会席は非日常の習慣に感じる事でしょう。数奇を凝らさず、自然に在るがままに端座(正座)して一服の茶に心身を癒(イヤ)やされたいものです。
「伊豆の踊り子」の魂は新鮮で普遍的なものです。あの時にあの条件を備えた川端康成さんでなくては描けない作品です。 毛筆の良さは、字を書いていて、相手と自分との関係が呼び合っている、心が通じている良さがあります。書の中に人間を観るのです。 優れた人の書には思想が現れています。 無駄の無い人生には味気がありません。信じる事の出来る人が相会う事でお互いの安らぎとなります