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かめ之図


KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART  
  


表紙
設立の趣旨 全作品目録
精選作品目録 絵付け陶器作品目録 編者  *

絵付け茶碗。昭和48年。1口。高6cm。口径15cm。底径6cm。











写実的でなく象形文字を思わせ抽象的な亀を単純な線で描いた涼感を呼ぶ平茶碗(夏茶碗)です。茶碗の曲面に亀の描画と「熙生」の落款を対に描写した発想が素敵です。 亀は古くに四神(亀、虎、龍、朱雀)と呼ばれから縁起の良い動物と云われています。長寿を寿(コトホ)ぐ亀の茶碗に亭主の気遣いを感じるでしょう。
現在普通に飲んでいる日本茶(緑茶)は多種である。煎茶や抹茶は普段とは違った高級な茶を飲むと云うより美味しく戴くものであろう。煎茶は旨味を抽出して茶葉を残します。抹茶は茶葉を石臼で挽(ヒ)いて粉末にした茶で芳醇な旨味と香味があり、何故か畏(カシコ)まり端座(タンザ 正座)して戴く効用があります。
詫び茶と言われる様式が室町時代後期に派生しています。村田珠光、武野紹鴎、千利休なる茶人が時の贅沢な唐物用具を披瀝する書院の広間で催される茶席から、侘しく寂びた自然の草庵で座禅瞑想できる少数の客人と主人との一期一会の会席が会席を茶の湯の在る姿として詫び茶を取り成したものです。



お茶に使う水は、大海や大河を流れている、一掬いの水です。茶筅は、大自然の竹林に観る草木です。茶碗は大地の土で練られ、燃える炎を潜り抜けた器です。茶碗の水が茶筅に触れる快い音は、堅い茶碗と柔らかい竹とが水の中で触れ合う調和のとれた響音となっています。茶碗同士が当たると割れてしまい、鉄同士が当たると花火が散ります。お茶は、大自然と人間の調和した姿です。静寂の中にはっきりと自分を自覚するものです。其処に善悪も、増減もない、心安らかな一時を得るのです。

茶室で釜に柄杓を入れる自然な動作は、心を落ち着ける為の成り行きです。






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