霊峰 富士
れいほうふじ<
KISEI YUKARIHANA MUSEUM OF ART   ;
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編者
紙本水墨画。 平成2年。 1幅。 縦57cm 横61cm。
古来より日本人がその美しさを讃えた霊峰富士を作者が画家として晩年に仰ぎ観た印象を描写しています。輪郭線を先ず描き、次に墨の濃淡を変えて山肌を丁寧に表現しています。強靭な山肌を山頂に押し上げるような筆線で、山頂に頂く雪を意識して余白で残し、同じく雲海も荒波を表す様な力強く余白で仕上げています。神々しい霊峰を象徴的に描いた水墨画の秀作です。
落款には九十二歳と揮毫しています。此の頃には作者の尊敬する友人知人が数多く鬼籍に入り自問自答の宿願を孤高の辛に耐え 屹然(キゼン)と閑居する姿が伺えました。
地上一萬米の空では、太陽が輝いているそうです。その下には、雲があり雨が降ったり陽が照ったりしてする天候の変化が観られます。一萬米以上の空間を、太陽の常に輝く常住の世界と考え、その下が無常の世界で、気象の変化が人間を逞(タクマ)しく豊かに育ててくれる恵みと考えるならば、有り難いものです。一萬米上空には、常に太陽の輝きがあると信じられる事は幸福です。人間は無常であるが故に、常住の世界を見つめるのです。
「ものの哀れ」とは、十五夜(満月)を知る事だと思います。十五夜を知っているからこそ、 月のない暗い夜も、三日月の僅かな月も楽しく味わい深いものと出来るのです。人は月の欠けたのを残念がって愚痴ばかり言ってすます。ものの哀れとは、満月を知る故に耐え得る心なのです。又憂える心なのです。
自然からは知識を、人間からは感謝を学びます。
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