陶器の肌色に単純な輪郭線で数頭の蝶が乱舞している様子を描写しています。蝶の 配列と形態で水指に爽やかな情景を伺わせています。
蝶は人間の魂が宿ると昔から言い伝えられている昆虫で優雅に舞う姿に亡き人を想い追憶 する事も出来そうです。蝶には菜の花が咲く早春の里山が想はれます。
洒落て侘びのある器は茶室の空気を清め和やか時を得る調度品です。謂(イワ)れ有る器を観て安らかな時を会席する心情は無上の喜びとなるでしょう。茶室には「床の間」が設けら画や草花等の鑑賞出来る装飾品で客人に供されるものです。床の間を設け、書画を飾る空間を建築様式とした日本人の美的感覚を現代生活にも生かしたいものです。壁面に
額を飾る事も現代建築の様式です。茶を点て戴く茶室は静観自省の道場と言えるでしょう。現代の生活様式でも工夫して安息できる処(茶室)を設けたいものです。
女性の化粧した顔こそ本当の美しい素顔だと思います。化粧こそ女性にとっては知性です。化粧しない素顔も美しい時は、若さが神から与えられている、ほんの一時だけです。
神から与えられた若さは、やがて消えゆくのですが、化粧する事により素顔とは違った 人間的な美しい顔を生涯保つ事が出来ます。化粧しない素顔であっても、それが知性で許してあれば、それも美しい素顔といえるでしょう。
肉体は魂で保っています。肉体が消滅しても、人間は魂で生きます。肉体は魂が宿る処です。物(作品)にも魂が宿ります。魂は魂を識る人間に映ずるものです。
芸は心で、術は技法です。だから、心ないものに心を宿して芸にするのです。
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