足摺岬海岸の立体的な岩礁、広大な断崖を雄大な海景として描写しています。画面右上から左下に斜めに近景の断崖を配し何段もの断崖が遠景まで連なっています。 遠景の岬に建立された灯台が自然の景観に異質な存在感で恰(アタカ)も人間が広大な海洋を眺め対峙している様な親密感が有ります。断崖の輪郭線は狩野派や宋元画にある強調された太い線ではなく細い線で描かれ、薄い茶、黄、青色で薄く彩色しています。画面右上から左下に斜めに近景の断崖を配し何段もの断崖が遠景まで連なって、幻想的な構図となっています。
本図は作者の画室(アトリエ)に仕切として、襖骨(襖の下地となる格子)に小紙を貼り広い屏風に仕立てた紙面に即興に大胆明解に描写した岬海岸の描画です。後日襖骨から表装を仕直して現存するものです。
海辺に於ける海水と岩石、山岳に於ける岩山と空気、これらは共に同等の均衡の上に調和を保っている。荒波の耐えるだけの岩石が海辺にある。強風に耐え得るだけの岩山と空気。これらは同じ力で均衡を保っている。この調和が一つのリズムを持った時に、美しい自然は存在する。
芸術家が育つには、やはりその環境に居るという事に尽きます。良い環境にいる事が美を養うという事です。
人間は魂で生きています。肉体は魂が宿る処です。肉体が消滅しても、物(作品)にも魂が宿ります。魂は魂を識る人間に映ずるものです。 |
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