奈美と二人で、下級生のスタジオライヴをはしごしたり、他校のラ イヴを覗きにいったりもしたが、めぼしい収穫はなかった。今日の スタジオライヴもパッとしない。 「あのドラマーなんかどうかな。をさをさしき気色はあり(物慣れた感じ はある)」 奈美はステージを、じっと、まもりたりしかど(見つめていたが)、私は 黙ったまま、ながめたりき(ぼんやりと眺めていた)。 「やっぱり、だめだ」 奈美は強く首を振ると、自分の言葉を打ち消した。 「はしたなし(中途半端だ)。なべての(普通の)ビートなり」 私は頷くと、奈美に呟いた。 「贅沢かもしれないけれど、なべてならぬドラマーを見つけたし(並み 一通りでないドラマーを見つけたい)」 |