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企業の社会的責任の取り方と教育改革(学校改革)の流れ


 IT社会がもたらす顧客志向調査と商品開発の一体化は、新製品開発のスピードをいやが上にも早め、開発競争に乗り遅れた会社は潰れるとまでいわれている。企業内の改革・改善を含め、企業は時代の変化と時代の流れに乗り遅れまいと必死である。
 これまでの日本社会では、一時の流行から一旦離れたお客も熱が冷めたり、或いは、ブランド志向から購買力が戻ってくる傾向にあり、企業側も購買力の回復に向け、必死に、しかも社運をかけて経営戦略を練り直すという姿は見られなかったが、消費者優位の時代(選別・選択の時代)、情報化社会ガもたらす企業の社会的責任の問われ方等、社会が大きく変化してきている現在、大手食品メーカーといえども会社そのものがなくなるという事件のように、必ずしも一つのブランドに固執する傾向はなくなってきている。大規模店といえども、社会問題となった企業の製品を放置し、店頭に並べて置こうものなら、マーケットの信頼が一瞬にして崩れ、販売にも大きな影響が出てくる時代になってきており、 企業の社会的責任と社会貢献が問われる時代になってきたといえる。
 先日のBSE(牛海綿状脳症=狂牛病)対策の国産牛肉の買い上げ事業に関わる偽装問題の発覚時には、即日店頭から関連会社の製品が撤去された。この事実を脅威と受けとめることができない会社は、発展どころか、現状を維持することすらできないであろう。(ぬるま湯につかり、時代の変革に気づかぬ会社では、これまでの事件が活かされていない。)その後、創業者一族までが退陣せざるを得ない状況に追い込まれたり、世界に冠たる総合商社や電力会社の相次ぐ不祥事でも、トップの交替がなければ社会的信頼回復が見込めず、企業の存続にも重大な影響がでてくる時代になってきた。
学校教育も保護者や地域社会の声を、学校経営や教育活動に反映させ、活かしていく時代になってきており、その傾向が急速に進んでいる。このことを学校自身がどこまで自覚しているかが問題であり、校長のリーダーシップの下、どのような経営戦略を立て、教職員が一丸となり、組織として取り組んでいるかが問われることになる。この違いがいずれ出てくることは容易に推察できるし、その「責任が問われる時代」でもある。だからこそ、校長が責任を持って「地域社会を巻き込んだ新しい教育の創造に向けた経営戦略」を練り、保護者・地域社会の信頼と協力の得られる「特色ある学校づくり」「特色ある教育活動」を展開していくことが期待されるのである。教育改革は、既に学校現場に委ねられており、スピード感に欠ける、受動的な分権感覚と改革・改善意識では、今の時代はやっていけないし、校長としての責任も果たせない。「子どもが教育を受けることは一種の契約事項であり、契約の内容と実際に相違があり、子どもが教育を受ける権利を侵されているのであれば、親権者として担任の交代を求めるのは一般企業では当たり前のことであり、トップである校長の責任も問いたい。」と、学校の様々な問題処理を巡って校長や担任の責任問題を指摘し、暗に校長や担任の交替をほのめかす保護者や地域住民の声が最近聞かれるようになってきた。社会が大きく変わりつつあることを認識し、学校の組織を挙げて、時代が求める学校、保護者や地域社会が期待する学校の創造に向け、教育改革(学校改革)に取り組むことが急務であり、これからの学校教育の在り方でもある。

(明治図書:学校運営研究 平成14年12月号一部改訂)


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坂井 やすのり

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