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特色ある学校づくりは「競争」から「共創」へ


 今次教育改革は、「コミュニティの改革も含めた21世紀の社会基盤づくりに連なる改革である。」と認識している。これからの社会基盤づくりの最大の課題は、少子高齢社会の急速な進展への対応である。ある調査によると、平成20年には、全人口の約25%が65歳以上の高齢者で占められるという予測がある。日本は世界に例を見ない超高齢社会へと突入しているのである。
 そこで、学校が今後取り組む課題として、「健康・福祉教育」のカリキュラム開発と地域社会を巻き込んだ教育活動の充実を図っていく必要がある。
 小平市教育委員会では、「21☆こだいらの教育改革アクションプラン」策定にあたり、生涯学習社会を志向した社会基盤づくりとして「世代を越えたコミュニティづくり」を目指している。「地域の教育力の回復」そのものが、コミュニティの回復を促す視点から、学校が積極的に地域社会とかかわることが求められる。「校長として地域社会に責任がある」と明言したのは、カルバートン小学校のシャロン校長であり、「地域に愛され、地域に育まれる学校」を創るには、学校もまた地域社会への貢献が求められる時代へと変わってきている。
 「個性重視の原則」に端を発した学校選択の自由は、既に幾つかの区市で実施されているが、「学校間の競争」とか、「統廃合へのステップ」あるいは、「競争の原理が、学校改革・改善につながる」ような考えの下に行われるとするならば、私は必ずしもその様には考えていない。それぞれの学校が「特色ある学校づくり」「特色ある教育活動」を、保護者や地域社会の願いや声を聞き、地域社会と一緒に創っていくことが大事であり、その成果が「学校の伝統」として学校や地域社会に受け継がれ、大事に育まれていくものと考えている。
 特に小学校の子どもは、地域社会の世代間交流の核となり、地域社会を繋ぐ神経となり、地域社会の元気の源となる。その様な子ども達が、地域の学校を選ばず、別の学校を選択するとしたら、コミュニティの絆はますます希薄になっていくであろう。
   地域社会が学校と関わってこそ、子どもの学習活動は豊かになり、地域社会が子どもを見守ってこそ、子どもの安全が確保され、地域社会が子どもを支えてこそ、子どもの健全な成長が期待できる。地域社会が子どもの応援団となることが、子どもの成長の大きな力と糧になると同時に、地域社会の絆を深め、活性化を促すエネルギーとなることに地域社会が気づき、世代を越えたコミュニティづくりを進めることが望まれる。
(体力的にも、精神的にも成長した中学生が、自分の個性を磨き、思春期に熱中できるものを見つけ、挑戦することは大切なことであり、必要である。中学校の学校選択については、一定の条件の下、生徒・保護者の責任において認める方向で検討中)
 これからの学校のあるべき姿を考えるとき、決して他の学校と競争して特色や教育活動を「作る」のではなく、地域の特性や保護者、地域社会の声を活かして、学校の特色や教育活動を「創り上げる」努力をしていくことが、「地域に根づいた特色ある教育活動」に育っていくものと考えている。他との違いの優劣を強調し、他よりも勝ろうとする「競争」ではなく、子どもに懸ける地域の願いや地域の特性を活かし、地域と一緒に、地域の願いが活かされた学校の特色を打ち出す「共創」を、これからの学校づくりの指針としたい。

(明治図書:学校運営研究 平成14年11月号一部改訂)


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坂井 やすのり

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