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世代を繋(つな)ぐ人づくり、心を紡(つむ) ぐ絆(きずな)づくり、豊かで元気なまちづくり

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〒187-0032 東京都小平市小川町2−1326−2

体験活動を社会貢献活動へと高め市民性を育み、社会参加を促す教育


 今次教育改革は、「学校のみの教育改革ではなく、地域社会の教育力を回復し、ひいては、世代間の交流を通して『コミュニティの基盤整備』をも目指した教育改革である」ことを機会ある度に述べてきた。「21☆こだいらの教育改革アクションプラン」の基調を「地域で育てよう すこやかな子ども」としたのも、地域の教育力の回復を図り、学校・家庭・地域社会が、「子どもとかかわり、見守り、支え、応援する」ことを通して、「世代を越えたコミュニティづくり」を具体化し、実現していこうという発想からであり、教育が地域社会を変える起爆剤となり、子どもが地域社会を繋ぐ神経となり、地域と人々の心を繋ぐネットワークが構築されると考えたからである。今、市内の各地域において、子どもの健全育成を目指した様々な活動が展開されている。どの地域でも新しいうねりと爽やかな風が感じられるし、実感できることは、大変嬉しいことである。子どもも、大人も、高齢者の方も、障害のある方も一緒になり、地域社会を巻き込んだ、「有意義な、実感のもてる、楽しい体験学習」や、教科学習においても「習熟度別学習や個別指導」等に、学校支援ボランティア(学生・社会人)を導入し、「分かる授業、楽しい授業」を実感させる授業実践が展開されている。週末には、地域有志主催の多彩な体験活動が繰り広げられ、多くの人と触れ合う機会を通して、「世代を越えたコミュニティづくり」が推進されている。世の中が混沌とし、人々の心の孤独化、地域社会の希薄化が問題となっている今こそ、公教育において、「市民性」を育むことが大きな使命と課題であると考えている。日本においては、まだまだ、「市民性」という言葉が一般的ではなく、馴染まない面もあるが、「社会性を育む教育」とか「社会貢献性」「社会貢献活動」という言葉で表現すると違和感が少ない。大事なことは、「自分が地域社会の役にたっているんだ。」という社会貢献の自覚と、「地域の人が喜んでくれているんだ。」という充実感・存在感等の実感を伴った体験活動をどこまでカリキュラム化できるかである。その体験学習を、地域社会の中で、地域の人々を巻き込んで展開していくことが大事な視点であり、市民性を育む根本理念でもある。日本の学校教育においては、市民性を育むことを目的とした体験学習は実践されてこなかったが、平成14年度から創設された「総合的な学習の時間」では、地域社会を教材に取り上げ、体験学習の場とし、「発見し、見つめ、関わり、考え、企画し、提案する」活動を通して、単なる体験活動に終わることなく、地域社会や人々と関わり、自分の考えや意見を地域社会に反映させ、実現していく仕組みや手法を学んでいくことが大事である。このことが、市民性を育む教育であり、結果として、地域社会に貢献できることを喜びと感じることのできる市民の育成を目指した教育活動を展開することになる。そして、これらの取り組みが、地域社会の教育力の回復を図り、市民参画型の地域社会を醸成していく最大の力になると考えている。

(明治図書学校運営研究平成15年3月号一部改訂)


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坂井 やすのり

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