第38日目 8月12日(日) 曇り一時雨
5時起床。今朝は今にも雨の降りそうな天気だ。何とか降られる前に札幌に着きたいものだ。し かし江別あたりからとうとう小雨が降り出した。
強い向かい風の中、札幌に到着したのが10時、時計台は期待通り美しく、周囲の近代的建物と時 計台の前近代的なコントラストが実に良かった。その後北大のポプラ並木を見に行ったのだが、ど こから入ったらいいのか分からずに引き返した。
駅に戻って駅の名店街をブラブラ、土産物を探して時間を潰したが、時間潰しの下手な僕はたいへん苦労した。やはり僕は忙しい方が向いているようだ。
4時少し前から歩いてすすきの見物に出かけたが、この時も金がない惨めさが身にしみ た。それでもせめてもの贅沢としてラーメン横丁の“ひぐま”という店で大盛のみそを食ベた が、スープも麺もいまひとつパッとせず期待が外れた。おまけに店の雰囲気がとても悪かった。
札幌駅には今夜の寝ぐらを求めるライダーやサイクリストがたくさん集まっていた。
駅員は庇のところで寝てもいいと言ってくれたのだが、雨が上がって夕焼けが見えてきたのでテントを張る ことにした。
テント場を求め、まず大通公園の噴水前に来た。ここに来たら急に札幌の街が気に入った。100万都市とはいっても東京のようなゴミゴミした感じは少しもなく、家族ずれや恋人同志があちらこちらで楽しそうにしている。そんな様子を見ていたら僕までもなんだか急に楽しい気分になった。
「札幌っていいな、平和だなあ」そう心から思った。大通公園でも寝られそうだが少し人が多すぎるので川原に行くことにした。
大通公園をあとに自転車を押して歩道を歩いていると、後から岡山から観光で来たという2人の 女性に声をかけられ、しばらく一緒に歩きながら話をしお互いの無事帰宅を祈って別れた。このと ころずっと女性と話す機会が極めて少ないため、たまに話を交わすととても女性が眩しく感じ られる。
ここは豊平川近くの空地、今夜はここにテントを張ろう。夕方すすきのを歩いていたら、”あいうえお”(今回のツーリングの出発前に片思いだった彼女と2人で飲みに行った居酒屋の名前)ならぬ”いろはにほへと”という飲み店を見つけ、思わず笑ってしまった。今頃彼女はどうしているだろうか?
すすきのの裏通りにはうわさ通りたくさんのトルコが今や遅しと日も暮れぬ頃からネオンをチカチカさせ、客引きに精を出していた。僕は旅に出てからは全く欲求不満はなく性欲も沸いてこない。普段の生活ならフラフラと足が店の方に向いてしまうのだろうが、今は少しもそういう気分にはならず、入りたいとは思わない。それよりも赤ちょうちんでのんびり一杯やりたくてたまらない。
まあいずれにしても金がないのでどうしようもないことなのだが。明日は一番でお金を下ろし、土産を送ってすぐ出発する予定なので、酒は函館までもうしぱらくお預けである。夕食にラーメンを食ベたので今夜はテントを張るだけで特にやることがない。昼食は別として今まで朝、夕ずっと自炊をしていたのでたまには外食もいいものだ。時間が余っているので明朝、土産物と一緒に送る不用品を整理した。知床岬の石と砂も送ることにする。これで少しは自転車も軽くなるだろう。明日は午前中に土産物を片付けて早めに昼(また食パンになるだろう)を済ませ、小樽かそれ以上進もう。天気は良さそうなのであと心配なのは風だけだ。なにしろ今日は一日中向かい風でうんざりした。小樽までは40kmくらい。根性出して積丹町あたりまで行けれぱ最高だ。頑張るぞ!!
夕方、あまりの暑さに耐えきれず一番小さなカンビールでもいいから飲もうと思い、販売機の前に立つと20円足りなく涙を飲んだ。その代わり50円のアイスを食ベてしまったら、現在財布の中味は151円、これからはお金に余裕をもって生活したいものだ。 消灯9時20分。
本日の宿泊地 札幌大通東十三条公園、本日の走行距離 55km (累計 3619km)