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最涯を求めて 


第20日目 7月25日(水) 雨

 4時15分起床。

 根室標津駅にてチーズを食ベる。岬までの非常食としてはいいのだが、少々重いのが難点だ。

 羅臼の街に着いた。途中雨が酷くペダルを漕いでいても寒いという状態だ。今日は久しぶりに昼食を外食で済ませた。
 今、バスターミナルに居るが雨が激しく寒いのでここを動く気になれない。この街は鉄道が通っていないため、このバスターミナルが交通の要となっている。普段休憩をとる時は国鉄の駅を利用するのだが、駅がないので仕方がない。鉄道のない街というのは、何となく落ち着かないものだ。そして街の調子も何となく違って感じられるのは僕だけだろうか?
 岬までの食料を買い込んだが、田舎ではとても苦労する。主食にしようとしているフランスパンが手に入らないのだ。パン専門店も含めてこの街の全てと思える10軒くらいの店をあたって手に入れたのがやっと2つ。仕方がなく残りは量の多そうな軽そうな菓子パンで妥協をした。水を必要としない点から焼きソバも買ってみた。ほんとうにこんな調子で知床岬まで行けるのだろうか?
 これから計画を立てるところだが、地元の観光案内の人や漁師さんに話すと、皆から一様に、止めたほうがいいという答が返ってきた。しかしながら”思い込んだら試練の道を 行くが男のど根性”何とか頑張って行こう。
 バスターミナルで計画を立てていると、おもしろい人に出会い、結局その人の誘いで国設羅臼キャンプ場に来た。今夜はここでテントを張る。その人と僕のテントで2時間くらい話をした。愛知県の高松さんというこの人は、僕と同様、就職浪人でしかも、自炊プラス野宿ということで話がピタリと合いとても楽しかった。僕が明日知床岬に向けて出発するということを話すと、相泊(ここまでは道がある)まで、僕の出発を見送りに来てくれるそうだ。いよいよ出発が近づいてきた。
 今日は最後になるかもしれないので、友人に絵はがきを出した。(内容は遺書である)もしかしたらこれが... とても緊張している、これで死ぬと思うと、今まで19年間の出来事が走馬燈のように脳裏を駆けめぐる。僕は何と親不孝なんだろうか。 消灯9時20分。


 本日の宿泊地 羅臼、本日の走行距離 70km (累計 2231km)




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