海外トラム紀行

大連 (1)
中国国旗 
Dalian / China
 
撮影: 2005/7, 制作: 2016/5, 改訂: 2019/12

2005年の7月に、仕事の関係で遼寧省大連市を訪問する機会がありました。大連は日露戦争後のポーツマス条約により、日本が1945年まで統治していた街です。今でも日本時代の面影が色濃く残っていて、日本製の市電が走っていることで知られています。また、1系統だけですがトロリーバスもあります。

大連市電春海街 
春海街, 大連(Dalian)

大連市電路線図
2005年当時の路線図をGoogle Mapsの上に書き込みました。路線は以下の通りです。
市電201路:大連火車站~沙河口,  市電202路:興工街~小平島前,  市電203路:大連火車站~海之韻公園
トロリーバス101路:大連火車站~馬欄広場
※2007年に201路の沙河口~興工街が廃止されました。また、201路と203路が合併して新しい201路になっています。
大連中山広場
大連の中心、中山広場には多くの歴史的建造物が残されて
います。これはその一つ、1910年に建てられた旧大清銀行
(のちの中国銀行)です

  大連平和街
こちらは庶民が暮らす平和街の路地裏風景です。アーチ状の窓がある煉瓦造りの古い建物が、道の両側に並んでいます。

大連市電大連駅前 Dalian Railway Station
Type 3000

大連駅前にて撮影した3000型です。これはまぎれもない日本の市電、1930年代に日本車輌で造られた旧501 型です。異国で元気に走っている姿は、感動ものです。3000型は203路限定で運行されていました。


大連市電大連駅前   大連の市電は1909年9月、南満州鉄道(満鉄)が設立した大連都市交通によって開業しました。日本が撤退した戦後に、市営(大連市交通公司)になっています。軌間は1,435 mmの標準軌です。
最盛期には全部で11の系統がありましたが、1980年代に大半が撤去され、3路線だけが残っていました。
お姐さん、危ないですよ! (右側通行ですから手前に走ってきます)。

大連市電華楽広場   Huale Square

203系統の終点は海之韵公园(海之韻公園)ですが、ほとんどの車両が3つ手前の华乐广场(華楽広場)で折り返していました。丁度、渡り線を通るところです。
この辺りには高層のマンションが多数建ち始めていました。冒頭の写真は、西隣の春海街で撮影しました。

 
大連市電3000型
  ←3000型の全景です、二七広場にて。
↓3007号のコントローラです。

大連市電制御器
 
大連市電2000型   Dalian Railway Station
Type 2000

大連駅前に停車中の2013号です。流線型のスタイルで、側窓は引き違いのメトロ窓。近代的に見えますが、どこか無骨な感じがします。大連電車工廠で造られた車両ですが、詳しいことは分かりません。

大連市電2000型車内   上掲2013号の車内です。床はリノリウム張りで、座席はビニールのロングシート。扉は折戸になっています。
大連市電市場街   Shichang Street
type 2000

市場街の電停付近を走る2000型です。上掲と同じ型ですが、青一色に塗るとどこか古くさい感じがします。
線路が敷設されているのは長江路です。わずか11年前の光景ですが、クルマが1台も走ってませんでした。
大連市電東関街 Shichang Street~Dongguang Street
type 7000


同じく市場街から東側、東関街方面を見ています。本当に1台もクルマが走ってなかったことが、お分かり頂けると思います。


↓市場街から北京街にかけては、なだらかな上り坂になっています。南側には高層マンションが出来ていますが、北側は再開発の真っ最中でした。
車両は、これまたレトロな7000型です。

大連市電7000型
  大連工事中 
塀の内側を覗くと、至る所で古い住宅の取り壊しと新
しいビルの建設が進められていました。
大連市電北京街   Beijing Street
type 2000/ type 7000

北京街ですれ違う2018号と7011号です。201路では2000型と7000型が専用で走っていました。7000型(右)の角張ったデザインは、チェコのタトラ社製にそっくりです。タトラの車両は共産圏諸国で広く使われていますので、一見輸入車に見えますが、80年代に大連で独自に造られた車両とのことです。
大連市電大同街   Datong Street

大同街の電停付近です。並木のある長江路を7000型が走って行きます。大連の街はこの10年間で大きく変貌しましたが、このあたりはまだ昔の面影が残っています。
 
大連市電興工街   Xinggong Street (North)

興工街の電停から北を見ています。沙河口駅前に至る線路がまっすぐに伸びていますが、この区間は2007年に廃止されました。2000型と7000型の車両も引退しました。
冒頭の路線図を参照して下さい。
 
大連市電行列   Xinggong Street (South) 

興工街の交差点の南側に、202路の乗り場がありました。電車に乗るために大勢の人々が、行列して待っています。この系統には、2001年に造られた9000型の新車が投入されていました。何とも擬人的な可愛い顔立ちをしています。
大連市電錦輝商場   Jinhui Market

202路は興工街から西安路を南へ向かいます。黄河路の交差点近くにある錦輝商城で、9000型を撮影しました。
9000型は3車体の連接車で、両端を除く中央部分が低床構造になっています。 VVVFインバータ制御のハイテク電車です。
大連トロリーバス科技谷   Science Valley (Xian Lu)

最後に、トロリーバスの写真をお目に掛けます。中国には多くの都市にトロリーバスの路線がありますが、東北部(旧満州)に現存するのは、ここ大連の101路のみです。この系統は、黄河路を走っています。
写真は、黄河路が上掲の西安路と交差する近くで撮影しました。当時の停留所名は科技谷でした。現在は西安路と称しています。
 大連トロリーバス科技谷   上掲と同じ場所で撮影した連接車のリアビューです。
車両は、大連電車工廠製で統一されていました。

大連のトロリーバスは1960年9月に開業しました。70年代にもう一つの系統、102路が大連火車站~桃源街~老虎灘に開設されましたが、1998年にバスに転換されています。現在の2路です。


 大連トロリーバス駅前   Dalian Railway Station

科技谷から101系統に乗車して、大連駅前に戻りました。とにかく満員で、ずっと立ちっぱなしには閉口しました。
残念なことにスケジュールの都合で、あまりゆっくりと撮影することが出来ませんでした。

 

※14年後の2019年5月に大連を再訪しました。
市電に関する新しい情報は、「大連 (2)」をご覧下さい。
トロリーバスに関する最新情報もアップしています



References:
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%BF%9E%E6%9C%89%
E8%BD%A8%E7%94%B5%E8%BD%A6
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%BF%9E%E5%85%AC%
E5%85%B1%E4%BA%A4%E9%80%9A
http://dl.sina.com.cn/news/m/2016-04-01/detail-ifxqxcnr5130701.shtml
http://www.jprailfan.com/newtransit/trolley/tnt8.php



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