市電のある風景・岡 山

 (2) 夜の電車
日本国旗
 
撮影: 1996 ~ 2005, 制作: 2018/3

前作から四半世紀が経過した1996年に、出張で岡山を訪問する機会を得ました。久しぶりに降り立った岡山の駅前はすっかり変わっていて、街には新しいデザインの車両が走っていました。
さらに、その後2000年からしばらくの間、単身赴任で岡山県に居住することになりました。休日には街まで出掛け、商店街の散策や電車に乗って過ごしました。

岡山電気軌道岡山駅前
Okayama Electric Tramway at Okayama-station,  April-1996.

岡山電気軌道岡山駅前 

岡山電気軌道岡山駅前   Okayama Station

↑夜の岡山駅前です。7701号正面の「セルラー電話」の広告が時代を感じさせます。当時まだ路線網があった中国JRバスが、右に写っています。

←山陽新幹線の明るいホームを背景に、2両の電車が待機しています。左が東山行き、右が清輝橋行きで、交差するレールが明るく輝いています。
デジカメのない時代、銀塩写真の夜景はバルブ撮影です。出張のバッグに、なぜか三脚が入っていました。

(1996/4/24)
岡山電気軌道岡山駅前   7101, Series 7100

上掲からいきなり8年が経過します。
ここから先は2000年代に入ってからの写真です。
真夏の駅前で7101号を撮りました。この車両はのちに初代たま電車になりましたが、当時はサークルKの広告電車でした。

(2002/8/4)
岡山電気軌道岡山駅前   8501, Last No. of Series 7900

前作で紹介しましたように、岡山の電車は戦後もしばらくの間は2軸の単車ばかりでした。1960年代になると大型のボギー車が登場しますが、それらは日本各地の都市で廃止された路面電車を引き取った中古車両でした。1980年~95年にかけて、老朽化したこれら中古車両の車体を更新して、岡山独自のデザインになる車両が誕生しました。
車体更新車は全部で9形式、17両を数えます。詳細を巻末の表1にまとめました。
岡山電気軌道小橋   7201, Series 7200, at Kobashi

1970年代末期に路面電車の復権を目指したプロジェクトがありました。岡山の車体更新車は、その中で開発されたいわゆる軽快電車のデザインを取り入れています。前面の大きな1枚ガラスがその特徴です。
尚、旧型車の機器を流用してますので性能的には軽快電車ではありませんが、当時としては珍しい冷房装置を屋根上に搭載しています。これは熊本市電に次いで全国で2番目の快挙です。

(2005/6/5)

 
岡山電気軌道小橋   8101, Series 7900, at Kobashi

車体更新車には、外観上2つのタイプがあります。
上掲に示す前期型の10両は、側面が昇降式のサッシ窓で、戸袋を含む8枚が均等に配置されています。
これに対して後期型の7両は、側窓が大きな固定式で、上部が内側に開く構造になっています。また正面窓に傾斜が付き、ライトの配置が横並びになりました。

岡山電気軌道中納言   Chunagon

上掲と同じ8101号を逆光の中で撮影してみました。
デジタル方式の一眼レフが、誰でも買えるようになった時期です。シャドウ部分の色が、つぶれずに出ています。
 
岡山電気軌道中納言   7501, Series 7500

中納言の電停です。遠くに見える電車は、となりの小橋に停まっています。この間は、わずか100mの距離です。
道路が狭いため、小橋の電停とともに2箇所だけ、安全地帯がありません。 
岡山電気軌道西大寺町   8301, Series 7900 at Saidaijicho

西大寺町の直角に曲がるカーブです。ここは車両の写真が撮りやすい場所なので、何度か出掛けました。
車体更新車はすべて広告電車になっていました。このため、オリジナルの塗色を見たことがありません。

 

(2005/6/11)

岡山電気軌道西大寺町   8501, Series 7900 at Saidaijicho

夕暮れの西大寺町で、ラストナンバーの8501号を撮影しました。廣榮堂の白い車体が、夕陽を受けて赤く染まっています。

(2004/2/29)

 
岡山電気軌道岡山駅前   7401, Series 7400 at Okayama Station

再び、岡山駅前です。夕陽に輝くレールを見に、何度も足を運びましたが、結局はいつも変わり映えのしない写真になってしまいました。

(2005/8/13)


岡山電気軌道岡山駅前   8201, Series 7900

上掲よりだいぶ暗くなってきました。桃のマークが付いた街灯に灯が入る時刻です。
デジタル技術の発達で、夜景を手持ちで撮影出来るようになりました。
岡山電気軌道岡山駅前

  7301, Series 7300

岡山駅前を出発する7301号です。外はもう真っ暗になっていて、車内が灯りに包まれています。

形式  車号  導入年  流用機器  台車  モーター 
7000 7001
7002 
1980  呉市電801 →岡電2001
呉市電802 →岡電2002 
住金FS-70 37.5kW×2
( 三菱MB172NR)
7100  7101
7102 
1981  秋田市電201 →岡電1001
秋田市電202 →岡電1002
日車NS-14 
7200  7201
7202 
1982  大分交通別大線505→岡電3501
大分交通別大線507 →岡電3502 
近車KD-202 
7300  7301
7302
1983  呉市電703 →岡電2502
呉市電608 →岡電2601(台車は呉市電701) 
住金KS-40J   〃
7400  7401  1984  新造+在庫部品  アルナNK-202(新造)   〃
7500  7501  1985  新造+在庫部品  アルナNK-202(新造)    〃
7600  7601  1986  新造+在庫部品  アルナNK-202(新造)    〃
7700  7701 1987  呉市電702 →岡電2501  住金KS-40J    〃
7900  7901
8101
8201
8301
8501 
1989
1991
1992
1993
1995 
東武鉄道日光線106 →岡電3003
東武鉄道日光線105 →岡電3002
東武鉄道日光線107 →岡電3004
東武鉄道日光線101 →岡電3008
東武鉄道日光線104 →岡電3006 
アルナNK-202(新造) 
45kW×2
(東洋TDK532-B)

 
表1 岡山電気軌道 車体更新車両一覧 
※ メーカーはすべてアルナ工機。7401~7601の3両は新造扱いであるが、在庫の旧部品を多く使用している。
   車号は、「導入年 - 会社創立年(1910年)」+追番。
   旧形式の写真は、前作をご覧下さい


References:
楢原雄一 編著「岡山の路面電車」日本文教出版 岡山文庫202, 1999年11月
早川淳一, 三田研慈「岡山電気軌道」鉄道ピクトリアル No.688, 2000年7月
http://js3vxw-02.cocolog-nifty.com/photos/okaden_old/index.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%AD%A6100%E5%BD
%A2%E9%9B%BB%E8%BB%8A_(%E8%BB%8C%E9%81%93)


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