(12) 七条線 |
撮影: 1972~1977, 制作: 2017/10 |
京都市電の七条線をご紹介します。東大路の智積院の前から西大路七条までの3.8kmを、ほぼ一直線に結んでいました。河原町線の廃止と時を同じくして、1977年9月末日限りで河原町七条以西が廃止、さらに1978年9月末日限りで全線が廃止されました。 先に廃止された烏丸線や河原町線の一部が七条線と京都駅前との連絡のために存続していましたので、併せて写真を掲載しました。 |
七条線は明治末期の都市計画により、道路の拡幅とセットで建設されました。最初の開業は1912(大正元)年の 七条烏丸~七条大宮で、翌1913年には東山七条~七条烏丸が開通しました。西側の区間が延長されて西大路七 条までの全線が開通したのは1934(昭和9)年のことです。 |
Higashiyama-Nanajo 東山七条の三叉路、智積院の前です。 お寺の白壁を背景に走る市電の姿は、京都が誇る世界遺産と言っても過言ではありません。 近年外国からの観光客増加もあって、特にこの東大路付近は大混雑しています。市電を廃止しても、結局渋滞が増えただけでした。 (1976/4/4) |
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Nanajo Ohashi 正面奥に見える東山七条から長い坂道を下ってくると、七条大橋の電停に到ります。狭い安全地帯の上で、多くの人々が電車を待っています。 |
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七条大橋では京阪電車との平面交差が見られました。北側の歩道から撮影しています。 |
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こちらは南側の歩道から京阪電車の七条駅、大阪淀屋橋方面のホームを見ています。手前に直交する市電の線路が写っています。 ※1988年に京阪電車は地下に移設され、跡地は川端通になっています。 |
賀茂川に架かる七条大橋の上を走る[6]系統です。この区間は外郭線と京都駅を結ぶ路線として、市電最後の日まで運転されました。後方にはなだらかな東山連峰が見え、いかにも京都らしい風景です。 |
Kawaramachi-Nanajo 河原町七条の交差点です。撮影時には昔からの商店がたくさんあって、賑やかな所でした。 比較的古い写真なので、ツーマンカーの600形が走っています。 (1972/7/2) |
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Kawaramachi-Nanajo ~ Nanajo-Karasuma 河原町通と烏丸通の中間、東洞院通の交差点を走る[6]系統です。元々この系統は烏丸通~北大路~東大路~七条の循環線でしたが、烏丸線の廃止に伴って東大路経由の烏丸車庫行きになっていました。撮影時、京都駅から七条線への出入りは七条烏丸を経由していました。 (1976/4/4) |
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Nanajo-Karasuma 七条烏丸交差点の東側です。手前右が京都駅方面になりますが、[8]系統は七条通を直進して行きます。この系統は京都駅に入らない、九条車庫~東大路~七条~西大路~九条車庫の循環線です。 (1977/9/25) |
同じく七条烏丸交差点の西側です。七条通から京都駅方面へ[4]系統が右折するところです。 ここからちょっと京都駅前へ寄り道します。 |
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Kyoto Station 七条烏丸~京都駅前の区間は烏丸線の一部ですが、烏丸線の廃止後も七条線の系統が京都駅に出入りするために存続しました。従ってこの区間は、七条線と同一日に廃止されています。 烏丸線の写真では、背景が丸物デパートでしたが、撮影日が新しいので近鉄百貨店に変わっています。 (1977/6/12) |
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烏丸通から右折して京都駅前の西側のりばに入る[4]系統です。元々この系統は烏丸通~北大路~西大路~七条の循環線でしたが、烏丸線の廃止後は七条線から西大路を経由する烏丸車庫行きで運転されていました。 手前に、旧河原町線の線路が見えます。右手方向に東側のりばがあって、線路が繋がっていました。 |
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こちらは京都駅前の東側のりば付近です。 七条線の河原町七条以西が廃止になったため、5コマ前にご紹介した[6] 系統は、最後の1年間のみ河原町七条から旧河原町線経由で京都駅に入るよう経路変更されています。 (1978/7/1) |
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Nanajo-Nishinotoin 再び七条通に戻ります。七条西洞院の近くには、東西の本願寺や興正寺などの大きな寺院があります。ここは街の中にありながら比較的静かなところです。 (1975/9/28) |
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Nanajo-Omiya 七条大宮の交差点です。西側の富士銀行の前に、レトロな建物がありました。残念ながら詳細は不明です。 ※現在は取り壊され、駐車場になっています。 |
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同じく七条大宮の電停で、1600形を撮影しました。1600形は1976年4月に全廃されましたので、最終年度の姿です。 |
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Nanajo-Mibui St.~ Nanajo-Sembon 七条線は壬生通と千本通の間で、国鉄山陰本線と交差しています。国鉄線が平面を走り、市電がその下をアンダークロスする光景が見られました。 ※現在は、JR線が高架になっています。付近は鉄道博物館や水族館がある有名観光スポットになりました。 (1975/4/19) |
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Nanajo-Sembon アンダークロスの西側、七条千本の電停です。掲示されているお知らせには、生鮮魚介類の車内持ち込み注意と書かれています。近くの中央卸売市場で仕入れた商品から臭気発散や汚水流出があったようです。 |
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Nanajo-Ommae St. 七条御前通です。この一帯は中央卸売市場に近い こともあって、比較的廉価な商品が手に入る商店街が形成されていました。 市電のとなりに写っているバスは、阪急桂駅を経由して大原野へ向かう京都交通バスです。 |
Nishioji-Nanajo 西大路七条の交差点です。循環の[8]系統が七条通から西大路へ左折して行きます。写真を撮影したのは今から40年ほど前になりますが、街は今よりずっと賑わいがあり、活気に満ちていました。市電をなくすと街が寂れていくということは、歴史が証明する真実だと思います。 |
References: 京都市交通局「さよなら京都市電」毎日写真ニューサービス, 1978.9.30 鉄道ピクトリアル増刊356「京都市電訣別号」1978.12.10 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E9% 9B%BB%E4%B8%83%E6%9D%A1%E7%B7%9A |