インスブルック |
Innsbruck / Austria |
撮影: 1995/7, 制作: 2015/1, 改訂: 2019/11 |
オーストリア・チロル地方の中心都市インスブルックは1964年と1976年の2度、冬期オリンピックが開催されたことで知られています。チロルと言えば、当地の出身で1956年のイタリア大会でスキー競技三冠王に輝いたトニー・ザイラーが思い出されます。小生railbusは小学生でしたが、映画「白銀は招くよ」は良く覚えています。 雄大な風景の中を走る、赤とベージュに塗り分けられた美しいトラムの姿をお楽しみ下さい。 |
交通局(IVB)発行の1995年版地図を参考に、インスブルックのトラム(赤)とトロリーバス(緑)の路線図を作成しました。南側に2本の登山路線が見えますが、右は交通局直営の[6]系統で、左が別会社のシュトゥバイタル鉄道です。いずれも市街地の中心部まで乗り入れています。 ※トロリーバスについては、前作「リンツからインスブルックへ」をご覧下さい。 |
Innsbruck tram route 3 [3]系統の西の終点、Amras(アムラス)です。インスブルックでは市内のどこからでも、万年雪を戴いた山々を間近に望むことが出来ます。 デュバグGT型が2両並んでいて、フロント(左)とリヤ(右)の形状が良く対比できます。 この70番代の車両は、1966~67年にかけてLohner 社でライセンス生産された連接車です。電装品はリンツのELIN社が担当しています。 |
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終点アムラスのループを回る72号です。インスブルックのトラムは片運転台が基本のため、終点に小さなループ線が造られています。 |
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同じく、ループ線から出てきた74号です。トラムはInnsbrucker Verkehrsbetriebe (インスブルック市交通局)、略称IVBが運営しています。軌間は1,000mm
のメーターゲージです。 |
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インスブルックの市内中心部には環状線があって、すべての系統が経由します。ここはTriumph-pforte、凱旋門という名の電停です。単線区間で、時計回りの一方循環になっています。 |
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凱旋門をバックに[1]系統のトラムが角を曲がって来ました。この凱旋門は、神聖ローマ帝国レオポルト2世の結婚を祝して建てられました。手前の通りには、ハプスブルグ家で有名なマリア・テレジアの名前が付けられています。 |
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マリア・テレジエン通りにある同名の電停にて、発車を待つ[3]系統です。[3]系統は市内の環状線を回って、ここが終点になっていました。画面手前の区間は、現在廃止されています。下記の地図をご参照下さい。 |
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2007年、マリア・テレジエン通りの北半分の路線が撤去され、青線で示すようにマーケット・プラッツを経由する大きな環状線に変更されました。さらに2012年、Burger通りから西に延びる新線が開通し、[3]系統がHötting Westまで延長されています。この新線は前回ご紹介したトロリーバス[O]系統の西側部分に相当しますが、廃止された全区間をカバーするには至ってません。 |
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Innsbruck West(西駅)の駅前を走る[6]系統です。この[6]系統はIgls(イーグルス)行きの登山電車ですが、このように市の中心部へ乗り入れています。 写真の40号は、独Bielefeld(ビーレフェルト)から中古で購入した車両なので、本家のデュバグ製です。元々は3車体の8軸車、即ちGT8型でしたが、中間ユニットを撤去して2車体の6軸車に改造されました。それぞれの車体に100kWのモーターを搭載しています。 |
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上掲から西駅前のカーブを曲がったところです。装飾のある美しい建物が並んでいます。冒頭の写真は、ここから少し右の地点で撮影しました。 この52号も独ビーレフェルトから購入した車両ですが、オリジナルの3車体を保っています。 |
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Stift Wilten(ヴィルテン大教会)の前を走る41号です。ドア側の斜め後ろから撮影しています。車両の履歴は40号と同じです。 この先の右へ行くと、イーグルス行きの乗り場、バージセルに至ります。 |
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同じく教会の前です。少し手前に分岐線があり、シュトゥバイタル鉄道線に繋がっています。 同鉄道はFulpmes(フルプメス)行きの登山電車ですが、インスブルックの駅前から直通で乗車することができます。車両はデュバグの3連接車で、IVBと同じ塗色をしています。 |
同じ場所です。あまりに美しい風景でしたので、少し写真を大きくしてみました。チャペルの左にある三角屋根の建物は、教会の博物館です。 車両はシュトゥバイタル鉄道の87号で、系統番号は[STB]、車体にSTUBAITALBARN A.G.と書かれています。 |
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ここはヴィルテン大教会のすぐ南にあるBergisel(バージセル)です。[6]系統がここから山を登ってイーグルスへ向かいます。全長26.6m、定員134人を誇る3連接車が、多くの観光客で満員になっています。 |
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イーグルスへ向かう登山電車[6]系統を、途中のMühlseeで撮影しました。ここまでの区間は、ほとんどが背後に見えるような森の中を走っています。 |
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ここはLans Sistrans、上掲の隣の駅です。ここから終点のIglsまでは、広々とした高原の景色が展開します。 旧ビーレフェルトの3連接車、51号が山を下って行くところです。系統番号がどういう訳か[1]になっていました。 |
終点のイーグルスです。夏は多くの避暑客で賑い、トレッキングコースの出発点にもなっています。また冬になると山岳スキーが楽しめるところで、山頂までのリフトが何本もあります。 |
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こちらはもう1つの登山電車、シュトゥバイタル鉄道の終点、フルプメス(Fulpmes)です。全線乗車しましたが、途中で雨模様になったので、沿線の風景は撮影出来ませんでした。 この87号は、1961年にデュバグで製造された両運転台方式の連接車です。画面右のプラットホーム側にもドアがあり、このまま折返し運転をします。片運転台の車両とは異なり、フロントとリヤのデザインは同一で、曲面3枚ガラスになっています。上掲の写真と比較すると違いが分かります。 |
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同上87号の車内です。メーターゲージの狭い車体に合わせて座席は1列+2列の配置ですが、両方向に進む関係からボックス席になっています。また、中間車には外から乗降するドアがありません。 この車両は元々独Hagen(ハーゲン)市で走っていた2車体の6軸車ですが、1976年にトラムの廃止に伴ってIVBに引き取られました。その後、中間車を増設して3車体構造に改造し、シュトゥバイタル鉄道に転属しました。この中間車は、 ビーレフェルトから購入した3連接車から撤去したユニットを組み込んだものです。今回ご紹介した40号の説明をご参照下さい。 これでインスブルックの巻はおしまいです。 |
References: |
http://de.wikipedia.org/wiki/Stra%C3%9Fenbahn_Innsbruck |
http://de.wikipedia.org/wiki/Duewag-Gelenkwagen |
http://hampage.hu/trams/innsbruck/e_index.html |
http://de.wikipedia.org/wiki/Fahrzeuge_der_Innsbrucker_Stra%C3%9Fenbahn |