次に目が覚めた時、まず横に赤城が寝ていることに驚いた。
ホテル生活に入ってからというもの、朝でも起きた時に誰も側にいないことが当たり前。
そんな現実が嫌で、そして夢を見ることも嫌で眠ることを極力避けている状態だった。
それなのに、今俺の隣で赤城が眠っている。
しかも、前と変わらず俺の身体をホールドするように抱きかかえたまま。
「お・・・」
”おい、起きろ”
と言いかけて止めた。
もう少し、このままでいたいと思ってしまった。
背中越しに感じる赤城の体温。
”あったけーな”
俺はその心地よさに引きずられるように、また目を閉じていきそうになった。
が、
「おい・・・」
「180時間ぶりの洋」
「・・・おい、どこ触ってんだ」
いつ覚醒したのか分からないが、赤城の手が俺の安眠を妨害し始めた。
身体を触られて初めて気づく俺も俺だが、なぜか服を着ていなかった。
誰がこんなことをしたのか、なんて聞くほど俺もバカじゃない。
というか、こんなことをするような奴は1人しかいない。
「お前、俺の服はどうした」
「これから愛し合う2人にそんなものは必要ないでしょ」
赤城の手は俺の言葉なんてお構いなしだ。
「前中さんに聞いていたよりも、現状は酷い。
この肋骨の辺り、骨が俺の手に当たる。
それに、この内腿の肉も減ってる。
肌触りも・・・
俺が一緒にいてあげられなかったばっかりに、洋はこんなにも酷い有り様になって・・・」
言ってる言葉は俺の現状を嘆いているものだった。
だが、俺には分かった。
「お前、喜んでるな」
「え・・・」
「声が喜んでるって言ってんだ」
「まあ、喜ぶに決まってる」
赤城は何の躊躇いもなく、そんな言葉を吐き出した。
「な、お前・・・仮にも好きな奴がこんな風になって喜ぶ奴がいるのかよ」
俺は信じられない気持ちで、赤城の腕から抜け出そうともがく。
ただ、最近の栄養状態の悪さや睡眠不足なんかも重なりほとんど意味がない感じだ。
それに加え、
「どうして喜んじゃだめなんですか」
とか言いながら、更に赤城は俺を逃がさないようにホールドしてくる。
「どうしてって・・・」
「洋は俺がいないことで荒れて、酷い有り様になった。
それは俺を求めてるってことでしょ。
俺がいないと、こんなに酷くなってしまうっていうことなんだから、喜んで当たり前でしょう。
洋の身体全部が俺がなきゃだめだって訴えてるってことだからね」
「な・・・」
「反対に、元気一杯だったらショックですよ。
俺の愛がまだまだ洋に足りていないんだと」
「そ・・・」
「でも、そんな寂しい日々は終わりを告げました。
今日から1週間、再び愛を深めあう時間を・・・」
「ちょっと待て、1週間って・・・」
俺は聞き捨てならない単語に、体を捻らせて赤城と正面から向き合う。
美形という表現がピッタリなのに、その顔に表情は相変わらずない。
でも、目の奥や声の一つ一つが赤城のその時の気持ちを教えてくれる。
「洋と会えなかった180時間を全て取り戻すことはできないけれど、1週間また2人で愛を深めましょう」
「な・・・」
赤城は明らかにこれからのことに期待して、興奮してる。
俺はその雰囲気になにが何でも嫌だと抵抗しようとするけれど、
「まずは、キスから」
「おぃ・・・んん・・・」
俺の抵抗は虚しいまでに、赤城の口に封じ込められてしまった。
勝手知ったるという感じで赤城の舌は俺の口の中を動き回る。
赤城の身体を押し戻そうとしても、俺の身体もうまく力が入らなくて失敗する。
赤城の舌は最初は乱暴に口の中を動き回っていたのに、しばらくすると今度はゆっくりと、歯列を確かめるような動きに変化する。
俺が弱い部分、上顎の部分を擽っていくことも忘れない。
そこだけで俺は身体から一気に力が抜けてしまうし、アソコはビンビンに勃起しちまう。
当然、赤城は俺の変化なんて分かってる。
キスをしながら、俺の完勃ちしてる息子をしっかり握りしめてくる。
「んん・・・」
久しぶりの刺激だった。
よく考えれば、ホテルで一時的に住むようになってからというもの、出してない。
自分でしようっていう気にもなれなかった。
「ちょっとキスをしただけで、こんなにも濡れ濡れになってる。
ほら、俺の手がビチョビチョになってるのが分かるよね」
「やめ・・」
「そうだ、洋にも聞こえるようにしてあげる」
「え・・・ゃ、やめ・・・ぅわあ」
いきなりだった。
赤城の手がそれまでの優しい手つきから、少し乱暴なぐらいに激しく変わった。
「ほら、聞こえるよね。グチュ、グチュって言ってる」
「ぃや・・・やめて、くれよぉ」
「ここが泡立つぐらいにしてみようか。
せっかくここまで洋が溜めてくれてたみたいだし」
「ひぃ・・・ぃっ」
そこまで刺激されて射精するなっていうのは難しい話だ。
俺はすぐに限界まで昇り詰めた。
なのに、
「洋、ダメだよ」
赤城はいきなり俺の根本を指で拘束して、射精できなくしちまった。
それって、かなり痛い。
もうゴールはそこってところで後ろへ引き戻される感じ。
「や・・・はな、せ・・・」
「イかせて欲しいの」
赤城の言葉に俺は何度も首を振る。
その間にも赤城は俺の無防備にさらけ出してた乳首に吸いついてくる。
舌先で先端をつついてきたり、押しつぶしてみたり。
で、俺はそんな刺激の一つ一つに
「あ・・あ・・・」
なんて女にしては野太い声を上げ続けた。
「洋、これから俺が言うことに答えて」
「ん」
そんなことぐらいで射精できるなら、俺は何でも答えてみせるだろう。
いつの間に俺はこんな人間になってしまったんだろうって思うが、今はそんなこと考えてる余裕はない。
「俺と会えなくて寂しかった」
「・・・寂しく・・・な、い」
「寂しかったのは身体かな」
「ひぅ・・ぁあ」
俺の答えに赤城は満足しなかったらしい。
拘束されてる指の力が一層強くなり、乳首に歯を立てられた。
もう俺の限界はすでに超えていた。
「俺が他の女と一緒にいるはショックだった」
言葉と共に夢と現実が混ざり合うような感覚に陥る。
もしかしてこれは最近見てる夢じゃないか、と。
そして赤城が抱いてる人間は俺じゃなく、別の誰かじゃないか。
ただ、それまでは相手の顔はぼんやりとして分からなかったが、今は違う。
はっきりと女の顔も想像できる。
「ゃ・・・やめろ」
「洋」
「俺のものに触るな」
俺は女に赤城を盗られるような錯覚に、必死で赤城を引き留めようとしていた。
「洋」
気づけば、赤城の腕にしがみついてる俺がいる。
赤城は表情からは分からないけれど、明らかに驚き言葉を失っていた。
「・・・・あ」
少し熱が引いてくると、自分の状況に再び血が顔や頭に上っていくような感覚を覚える。
「ち、ちが・・・」
「洋。そんなに俺のことを・・・」
「いや・・・これは・・・」
「緊急事態だったとはいえ、この状況がこんなに洋を不安にさせるなんて予想外。
大丈夫、俺には洋しかいないから。
もう洋以外はアウトオブ眼中。
ああ、いつも可愛い顔がそんなに悲しみに歪んで・・・」
「こんなおっさんに、可愛いって・・・」
「洋には悲しい顔よりも、快感でメロメロになってる顔の方が似合ってるよ。
だから・・・」
「あ・・・ちょ、ぅわあああ」
全部が赤城の場合、突然だ。
それまでとは違い、明らかに射精を促すように手の動きを再開させた。
「ほら、もう我慢しなくていいから」
「ぃ・・・だから・・って」
「さっきはあんなに出したがってたんだから。
俺に洋の射精する時の顔を見せて。
久しぶりだから、俺もその洋の顔を見ただけでイけそう」
「え・・・、ちょ・・」
赤城の言葉に驚いてそっちを見れば、俺のモノを扱きながら、器用に自分のモノを取り出してるのが見えた。
「洋、顔にかけてもいいよね」
「・・・そ、そ・・・んぁ」
「その顔、ヤバイくらいイイ」
手の動きは止まるどころか、更に強さを増していくばかり。
自分がどんな顔をしてるのか、考える余裕すらないまま俺はただ喘いでるだけ。
「ぁ、あ・・・ダメ、も・・・ぃ」
「洋、口は開けたままで」
「な、なに・・・はあ、あっ」
赤城が俺の乳首と息子の先端に爪を立てた瞬間に、俺は気持ちよく昇天したわけだ。
ただ、
「はあ、はあ・・・」
俺が久しぶりの解放感にぐったりしてるところに、
「洋、そのままで」
「え・・・」
「・・・っく」
いきなりだった。
俺がぼんやりと口を開けてるところに、赤城が精液をぶっかけてきた。
見事に赤城の精液は俺の口の中。
「ぅえええ」
生臭い臭いが鼻を抜けていく。
変な味が口の中一杯で、はっきり言って美味いもんじゃない。
飲み込むこともできずに、その場に唾と一緒に吐き出す。
「気持ち悪い」
「ああ、初めてだったらそうだよね」
「こんなの2回目でも気持ち悪いものは気持ち悪いわ」
「そうかな、俺は洋の精液は美味しいと思うけど」
吐き出したはずなのに、まだ口の中に残っているような味がする。
俺はベッドサイドにあったティッシュを掴むと、そこに何度も唾を吐き出した。
「洋の精液は粘り気が少ない方だよね。
味も、淡泊な感じで飲みやすいし。
今日のはもしかしていつもより濃かったかもしれないけど・・・あ、味わうのを忘れてた」
「こ、こんな不味いの味わう必要ねえ」
「だから、洋のはそんなに不味くないって。
ほら、ここに少し残ってるの」
赤城は言いながら、俺の腹に飛び散ってた精液を指に付けた。
しかも、それを自分の鼻もとに近づけると
「うん、やっぱりいつもより芳醇な香りがする。
味も濃いかもしれない。洋もほら」
「や、やめろ」
赤城が精液の付いた指を俺の顔に近づけようとするから、俺は本気で逃げる。
なにが嬉しくて自分の出したモノの臭いを嗅ぎたいと思うんだろう。
「美味しいのに」
「な、お前」
その後、赤城は俺の出したソレを何度も俺の腹から取ると口に入れるという行為を繰り返した。
見せられてる俺は顔がひきつっていくのが分かる。
でも、赤城の俺に対する攻撃はそれだけで終わらなかった。
「それじゃあ・・・」
「え」
「ココの次は、洋のアナルを堪能させてもらうよ」
「・・・・え」
「会えなかった間、この画像を見ながら数えられないぐらい一人でしたよ」
「画像って・・・」
そうやって見せられた画像に俺は失神しそうになる。
携帯の小さな画面いっぱいに映し出されていたのは、俺さえお目にかかったことのない排泄器官。
それまでにも何度も赤城に画像を撮られているのは分かっていたけど、それをこんな風に見せられる日が来るとは思ってなかった。
「でも、こんな画像だって本物には勝てないでしょ」
赤城の言葉に俺は感動することもない。
「久しぶりのご対面」
これからされることを考えると、俺は恐怖に近い感情を覚える。
人の目に触れれば捕まりそうな画像を無謀にも携帯に保存している赤城。
それをオカズに何回もマスを掻いてる変な奴。
しかもその画像の人間が俺みたいな男で、今も俺に挑みかかってきてる。
”何を不安に思うことがあったんだ”
こんなにも赤城という奴は俺に夢中で、相変わらず
「洋の淫乱アナルは俺を待っててくれたんだね。
浮気せずに待っててくれて嬉しいよ。
1週間分、たっぷり俺の愛を注いで溢れるぐらいに満たしてあげるから」
俺の身体に話しかけるような奴だ。
真実は一つ。
俺の目の前にある、赤城だけ。
「もう待たせるなよ」
「・・・・洋」
俺はその時の一瞬、一瞬の真実だけを見つめていくことにする。
「その顔を1枚」
・・・まあ、写真を撮りたがる間は安泰だろう。
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