(2017年1月13日)
想像力が乏しい私には満月を見てもウサギが餅つきをしているようには見えません。
地球から見る月は昔と今で同じです。地球から見える面を表として月の裏面を直接見ることは今でも出来ません。月が地球を1周する間に月も丁度1回だけ自転するためです。つまり、月の自転と公転が一致しているためです。
それでは、何故月は自転と公転が一致しているのでしょうか。それは月が真球でなく、少しいびつになっているため、重力安定により常に同じ表面を地球に向けているからです。月が真球になっていない理由は、月が小天体が集合してできたときに地球の重力の影響を受けていたからです。
概ね上述のような説明がネットでも書物でもなされています。
ところがネットの説明に限らず、天文学者や物理の専門家でも、重力安定については勘違いをされている場合があることに気が付きました。それはいびつな月の「質量の大きい方が地球に向いている」とすることです。
重力安定は質量が大きい方が地球の反対側になっても安定なのです。
地球を周回する細長い物体は地球に対し鉛直になる方向で安定します。重心から下半分は遠心力加速度より重力加速度の方が大きく、下向きに運動しようとします。一方上半分は遠心力加速度の方が重力加速度より大きく上向きに動こうとします。これら加速度の違いが重力安定をもたらす理由です。
この理由は、川面に垂れたフナ釣りの浮き直立する安定とは違います。フナ釣りの浮きは質量の大きい方が必ず地球に向かう安定です。
なお、重力安定に関し、細長い物体の両方向の動きが物体として抑制されるのでその物体の内部には引き張り応力が発生します。これが潮汐力と呼名付けられている力です。
細長い物体の長さが大きくなると潮汐力で物体が引き裂かれます。1994年にシュメーカー・レビ彗星が木星に衝突した時に直前にばらばらになったのも潮汐力のためです。宇宙エレベーターが成立できない理油でもあります。
月が質量の大きい方を地球に向けているのか、あるいは逆なのか、どのくらい真球から外れているのかは別の方法で確認する必要があります。おそらく、将来に月を周回する衛星の軌道変化を詳細に調べることで判るでしょう。
火星や木星の月でも自転と公転が一致しているものがいくつかあるそうです。
(了)
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