(2020年3月9日) スマホで自撮りをするとき画面は鏡で自分を見ているときと同じく左右反転しているがシャッターボタンを押して撮った写真は普通のカメラで撮った写真のように左右が正しく映っているいる。 画像データもデジタルであるから画像の左右反転は容易な処理である。左右が反転したままの写真にしたければプリントスクリーン機能を使えばよい。プリントスクリーンの操作はスマホならホームボタンと電源ボタンを同時に押すだけである。 プリントされた写真で自分の顔が左右反転していると、殆どの人が違和感を持つだろう。遠目で見れば人間の顔は左右対称のようでも実際はどんな人でも微妙に違うからに違いない。鏡で見ている自分の顔こそ左右反転しているのにおかしいと思わないのは慣れのせいであろう。 鏡に映る像は左右反転でなく、実は前後が反転しているのである。鏡に垂直方向が反転しているのであある。左右が反転していると感じるのは人間の脳の錯覚である。このことは「ルーベンスの左右反転の絵」および、「鏡像は左右反転しているか」で詳細に説明してある。 鏡に映った像、つまり鏡像は、化学用語でラセミ体と言われる物体の鏡像異性体である。自然界で鏡像異性体が存在するのは高分子化合物までである。巻貝では左右反転した種も発見されているが鏡像異性体とまでは呼ばれていない。完全な鏡像異性体は構成する分子式が全く同じであるが化学的性質が異なることから分離できる。 とにかく鏡に映る顔は自分の顔ではないのである。世の中に存在しない鏡像異性体の顔なのである。それでは正しい自分の顔をみる方法はないだろうか。 (写真1−平面鏡に映った像) (写真2−2面鏡に映った像) 写真-1は通常の鏡に映った自撮り写真である。週刊誌の文字が左右反転していることが分かる。これに対して写真‐2は2枚の平面鏡を90度に合わせた部分で写した画像である。週刊誌の文字も読める。 ここで使用したカメラはソニーのミラーレスα6000。グリップは右利き用である。左利き用のカメラは昔作られたこともあったものの、左利きの人から慣れていなくて却って使いにくいと言われたりして現在は1機種も作られていないようである。 2面鏡は市販品でないか探してみたら小さいものがあった。リバーサルミラーという名前で5000円前後で売られている。 (写真‐3 リバーサルミラー) 写真‐3のリバーサルミラーは小さくて顔だけしか映らないであろう。全身が映る姿見程度の大きさのものを作り科学博物館にでも置いて欲しいものである。鏡面はガラスの裏側なので中央の線を出来るだけ細くするのは難しいかもしれないが技術の見せどころである。昔から使われている3面鏡でも正画像が見られなくはないが、どうしても中央の反転画像を見てしまう。 ゴッホは自画像を何枚も描いている。有名な片耳を切り落とした自画像もある。ゴッホが切り落としたのは右耳か左耳かと知りたくなるの人は多いであろう。ゴッホは右利きの画家で自画像を描くとき鏡を見ていたので左耳を落としたという説明がなされている。 (写真‐4 ゴッホ自画像) ネットで探してみると、左耳を落としたのだからと左右反転して見せてくれているものもある。 (写真‐5 ゴッホ自画像反転) (了) 戻る
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