運動方程式に重力項を  

(2011年5月18日)


 アインシュタインは一般相対性理論を完成したとき宇宙は膨張も収縮もしていないと考えられていたため、そのような静止宇宙にあわせるために宇宙項を付け加えた。その後、ハッブルが遠い天体ほど高速で遠ざかっていることを発見し、宇宙は膨張しつつあることが判った。アインシュタインは宇宙項を加えたことは生涯で最大の失敗であったと嘆いたと伝えられている。最近は、ダークマターの解明にあたって、宇宙項が見直されているとのことである。

 さて、自然の法則を説明する数式はなるべく少なく、そして簡単なものであった方が望ましい。アインシュタインが自然に合わせるために宇宙項を付け加えたことは必要に迫られてのことであった。

 ニュートンの時代に戻って、ニュートンの力の法則をみると3つの法則に分けられている。さらに力の法則とは別に万有引力の法則があるわけである。自然に存在する重力は力でなく加速度であることに気がつけば、ニュートンの力の法則で運動方程式とも呼ばれている第2法則には重力項を付け加える必要があったということである。

 ニュートンの運動方程式 F=ma は F/m=a であり、質量mの物体に力Fを加えると、加速度 a の運動をするというのがこの運動方程式の元の姿である。そして、この式は重力がない場での式であって、重力場である方が一般的なのだが、その場合は F/m=a + g として、g で表した重力項を付け加える必要があったのである。(注1)(注2)

 (注1) 重力場の運動方程式はニュートンの運動方程式が重力場により原点が移動するという解釈ができる反面、重力項が mg であると解釈されてしまう恐れがある。

 (注2)実際の宇宙空間は3次元であるからベクトル式で表す必要がある。


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