4種の力と重力  

(作成:2011年2月22日)
(改訂:2013年11月20日)(加筆:2021年11月8日)


 自然界には4種の力が知られている。第5の力を発見すべく研究している科学者もいるがまだ見つかっていない。4種の力とは、重力、電磁力、強い力、弱い力である。このうち強い力と弱い力は、強い相互作用、弱い相互作用と呼ばれ、いずれも原子内部のものであり、日常の生活には関係しない。電気力と磁力はまとめて電磁力と呼ばれている。さて、重力は力でないとすると、自然界には3種の力しかないのかということになるが、そうではない。

 重力が決める加速度に逆らう加速度を与えるときに慣性力が働くので、自然界に存在する力は4種のままである。重力場にある物体の加速度に変化を与えるときに必要な力は外力と呼ばれ、慣性力に等しい。電磁力も外力になり得ることは電動モータを思い浮かべれば判る。化学エネルギーが圧力エネルギーに変わって力として作用するものが多い。

 火薬の爆発を考えてみる。最初は静止している火薬に点火すると四方八方に気体となって広がる。全体では運動量はゼロのままであるが、銃の火薬のように一方向だけ利用すると弾丸は運動エネルギーを持って銃口から飛び出すことになる。弾は火薬がガスになった圧力を得て速度を持つ。力を加えられたから速度を持ったのである。しかし、火薬のガス分子は力を加えられたのではないのに速度を持ったのである。

 宇宙はビッグバンで始まったと考えられているが、宇宙の星は最初にビッグバンによる運動ありきかもしれない。この運動を止める(衝突で)ときに力が働いたことになる。物体は力を加えて運動を始めたのでなく、運動しているものを止めたときに力が働いたのかもしれない、ということである。

 4種のとは、(重力、電磁力、弱い力、強い力)でなく、(慣性力、電磁力、弱い力、強い力)ということになる。しかし、弱い力、強い力の二つはミクロレベルなので粒子の運動に寄与するだけで物体の変形に関与するものではない。従ってこの二つは相互作用(interaction)と言うべきであろう。

 科学者は重力子(グラビトン)が見つからないことに頭を悩ましているが、重力が力でないから見つからなくて当然なのではないだろうか。
ヒッグス粒子は物質に質量を与えるものでグラビトンとは別である。

 慣性力とはニュートンの運動の第3法則、作用反作用、の反作用である力に他ならない。

 慣性力は物体の「自然な運動状態」を変更させると生ずる力である。実在の力であって、「みかけの力」ではない。
物体の自然な運動状態とはその物体のある場所の重力加速度に従って運動している状態である。

 (注)ダランベールの原理で述べられている「みかけの力」は慣性力であって、実在の力であるから注意が必要である。


結局、自然界に存在するのは「四つの相互作用」であり「力」とは言わないほうが良いと思われる。「力」とは物体に作用したときその物体内部に応力・歪を生じさせるマクロとしての作用である。

(加筆

重力は力でなく加速度であるが、これを何らかの力で静止させると慣性力が発生する。
これが重さまたは重量と呼ばれる力である。

従って、世の中に存在する4種の相互作用は、(重力相互作用、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用)である。我々が経験する力はミクロに見るとすべて電磁相互作用である。従って、力の定義は圧力×面積とすべきなのである。

(了)


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