(2011年12月20日)
重力とは万有引力と遠心力の合力を言う。
重力の大きさは加速度で表す。一般的には[Gal]という単位を用いる。
1Gal=1cm/s^2
である。地球表面の重力値はおおよそ980ガルである。
以上は国土地理院のホーム頁にある地球の重力に関する解説の要点である。
http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/gravity/gravity_exp.html
国土地理院では重力は加速度であると捉えていることが判る。重力は[N]を単位とする力ではないのである。
さらに重要なことは、重力が万有引力と遠心力との合力であるということは、万有引力加速度と遠心力加速度がベクトルとして足されたものが重力加速度であるということなのである。
このことから、重力を測定するには物体を落としてその運動を計測するということになる。国土地理院ではこの計測を絶対測定と称している。絶対測定の装置は真空パイプの中を物体が落ちる速さを原子時計を使って正確に計測するものである。
この外、国土地理院が相対測定と称している測定装置はバネと重りからなる簡易な装置である。相対測定というより、絶対測定で校正する簡易測定という方が正しいと思われる。バネと重りから成る装置は力検出器であって、重力を検出しているのではなく、地面からの反力を計測している。これを重力加速度に換算するものである。バネと重りの装置は加速度計と称しても実際は力検出器である。
地球の重力が場所に寄って異なる理由は次の通りである。
(1)
地球は完全な球ではない。つまり、質量分布が球対象ではない。
(2)
地球は自転している。遠心力により緯度の低い地域の方が重力は小さい。
(3)
月や太陽の万有引力が影響する。この効果は直接的な引力よりも潮汐効果で質量分布が異なることの効果の方が大きい。極めてわずかではあり、時間で変動することがどうにか検知できる程度である。
重力加速度の計測から万有引力分と遠心力分を分けることは出来ない。大昔の地球は9時間で1回転していた時代もあったそうである。この時代の低緯度地方は重力がかなり小さかったことになる。もし、地球の自転が1.5時間で1回転するほど早かったなら、赤道地域では重力はゼロになる。加速度がゼロになるということは重力が消えているということである。アインシュタインが自由落下している物体では重力が消えていると言ったことと同じである。従って、地球の周りを回っている宇宙ステーションの中では重力が消えているのである。重力と遠心力が釣り合っているから無重力状態になっているのではない。力の釣り合い状態ではない。
(了)
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