ニュートン誌への指摘 

(2011年2月24日改)


重力が加速度であることに気がつくと、現行の力学の解説書の記述に修正が必要であることが判る。例として、ニュートン誌別冊「ニュートン力学と万有引力」2009年を取り上げる。

 

p.91には「慣性力(みかけの力)が、重力(万有引力)を打ち消していました。」という記述がある。見かけの力は実際の力ではないのに重力を打ち消すとある。つまり見かけの力が実際の力とつり合っているかのような記述である。

 

「ISSの内部では、この遠心力と地球からの万有引力がちょうどつり合っています。そのため、両者の影響が打ち消しあって、無重力状態になるのです。」という記述もあり、絵にもなっている。ここでは慣性力が見かけの力であるとは書かれていない。

 

重力は加速度なのに、ニュートンの万有引力の式は質量を乗じて力の式になっている。従って、力と考えるならば、それは見かけの力でしかない。ISSの内部の無重力状態が見かけの力である万有引力と、見かけの力である遠心力がつり合って無重力状態になっているという説明になるだろう。軌道が円軌道の場合は正しいものの、楕円軌道の場合はこの二つののみかけの力がつり合っていないにも関わらず無重力状態であると言う説明になる。見かけの重力が、常に見かけの慣性力とつりあっているから無重力、というのではナンセンスである。

 

(フライバイをする宇宙機は重力で方向を変えたり速度を貰ったりするが、フライバイをしている間も宇宙機が無重力状態にあることは変わりない。フライバイも自由落下と同じで、アインシュタインの言う慣性運動に変わりないからである。)

 

ISSの内部が無重力状態であるのは、重力という力は何も働いていないからであるというのが、正しい説明である。もちろん慣性力も働いていない。ISSは重力加速度を受けつつ、地球を周回しているだけで外力を何も受けていないから慣性力も働いていない。

 

同じくp.91には「車でカーブするときに生じる遠心力」の図もある。この場合の車は実際に慣性力(遠心力)を受けている。この遠心力につり合う外力は路面とタイヤの摩擦力である。この場合は、実際の力のつり合いである。

 

これまでのニュートン力学では力のゼロ点(座標の原点)は 加速度aがゼロ、a=0、 の点であったが、重力場では(重力加速度gの場では)、加速度aが a=-g、のときが力のゼロ点なのである。重力場におけるニュートンの力の第2法則は F=m(a+g)とする必要があるということなのだ。ISSは地球の重力場にあって、常時-gの加速度を持った運動をしているから、F=0 なのである。つまり力は何も受けていないのである。


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