力のパラドックス  

(2017年1月12日)


  パラドックスとは、正しそうに見える前提と、妥当に見える推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す言葉である。(ウイキペディア)

 力の大きさはニュートン[N]という単位で示されます。1Nの力とは質量1kgの物体に作用したときその物体に1m/s^2の加速度を与える大きさです。このように中学か高校の物理で習います。この背景にはニュートンの運動の第2法則があります。つまり、力をF、質量をm、加速度をα、で表すと次の(1)式が成立します。
    F=mα   ・・・・ (1)

 さて、思考実験です。

 質量がmのロケットがロケットのエンジンが推力Fを発生しているとき、ロケットは加速度αで飛びます。話を簡単にするため、このロケットは重力の影響のない空間にあるとしています。

 このロケットの前方に同じエンジンが逆向きに付けられていて同時に推力Fの力を発生していたとしたらどうでしょうか。このロケットは少しも加速されないでしょう。しかし、力の発生はあるのです。

 同じような状況は土俵上の二人の力士が四つに組み合っている状況です。二人の力士の力が均衡していると二人とも力いっぱいに組み合っているのに土俵中央で動きません。

 力が出ているのに動かないのはパラドックスではありませんか。

 当たり前すぎてパラドックスにもならないと思われる方が多いでしょう。特に運動だけを問題にする軌道解析者にとっては(1)式で十分なのです。逆方向の力(−F)が加わったら加速度αはゼロで良いのですから。

 機体の強度を検討するような構造力学解析者にとっては(1)式は最初から不十分だったのです。最初から(1)式は無視しています。

 本来の力に対するイメージは力士の発生する力にあります。従って、上述のパラドックスは解消した方が良いと思われます。詳しくは次のURLをご覧ください。
 力と質量の定義変更試案

(了)

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