Overview Nikonos IV
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80年代、電子カメラの波はニコノスにも及んだ。メカニカルカメラは時代遅れとなり、フラッシュバルブの入手も困難になりつつあった状況の中で初心者にも扱いやすいカメラの登場が望まれた。そこで昭和55年7月、ニコノスIV−A型を発売した。設計は白紙から行われ、裏ぶた開閉式の採用やTTL−AEの採用、新開発自動調光スピードライトSB101の採用などIII型から大幅に進化した。特にTTL−AEの採用により絞り・シャッタースピードの選択から開放されたことは水中写真の世界のすそのを広げた。
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Webmaster Review
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【ニコノスIV−Aの感想】
IV型はIII型にくらべれば大幅な進歩と遂げた。が反面、マニュアル時のシャッタースピードの選択を取り除いてしまったのがとても残念だ。これが原因でIV型を嫌うひとも多い。しかし、マクロ撮影時に限っていえば絞り込む必要があるし、ほとんどがスピードライトの光だけで撮影できるのでオートを使わずにM90とBulbのみでマクロ専用機として割り切れればV型よりも安く済む場合が多い。もちろん1台目からそのような使い方をする人はいないと思う。2台目、3台目を考えている場合にはおすすめだ。また、IV型だけが裏ぶた(外箱)と本体との間のO−リングによるシールが異なるため水没しやすいのではという話を聞くが、わたし自身かなりの本数を使用してみたが1度も水没を経験したことがない(V型は3度もあるが...)。IV型の登場と同時に従来からのフラッシュガンに代わり水中専用スピードライトが発売された。SB101と呼ばれるこのスピードライトは外部調光と呼ばれる調光方式を採用しており、スピードライト自身で適正な光量で発光してくれる。つまりIII型でもこの調光は使える(どんなシーンでもOKではないが)。
【ニコノスIV−Aの撮り方】
不満な点はマニュアル時のシャッタースピードが選択できないことである。これによる撮影機会の喪失は少なくない。オート撮影は陸上時のみと割り切り、マニュアルシャッターであるBulbとM90を駆使しよう。接写撮影ならば通常時M90、日中シンクロ時Bulbとして撮影しよう。ワイドはオートで撮るか、M90にセットし、距離に応じて絞り値を変えて撮影するしかない。
【ニコノスIV−Aを買うには?】
中古市場ではIII型、V型に比べると人気が薄い。2台目を安くという向きにはいいが、1台目としてはお勧めできない(もちろんIII型も1台目としてはおすすめできない)。一時期ではボディ単体で\25000ほどだったが、最近はどこでも35mmレンズ付で\40000以上で売られている。IV型以降は電子カメラなので水没するともうお手上げだ。しかもニコンではすでに修理不能カメラとなっているため、そのあたりを考えて購入したい。安いからといって不用意に手を出すのは考えもののカメラ。
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Specification
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形式 |
電子制御式35mm防水カメラ |
使用フィルム |
パトローネ入り35mmフィルム各種 |
画面サイズ |
24mmx36mm |
シャッター |
電子制御上下走行式、メタルフォーカルプレンシャッター |
シャッタースピード |
A(オート):1/30秒〜1/1000秒(無段階)
M:メカニカルシャッター1/90秒、B(バルブ) |
ファインダー |
逆ガリレオ型式アルバダファインダー(35mmレンズ用)
視野率85%(∞)、倍率約0.55倍、視度0.9D.P
アイポイント40mm、パララックス補正マーク付 |
ファインダー内表示 |
露出表示マーク 適正:点灯 シャッタースピード連動外警告:点滅
レディライト スピードライト充電完了:点灯 |
フィルム巻き上げ |
一作動レバー式、小刻み巻上げ可能、巻き上げ角144° |
フィルムカウンター |
自動復元順算式、カウンターが<1>になるまでオートは解除され、シャッタースピードは約1/1500秒に固定 |
巻き戻し |
クランク式、シャッター切り替えダイアルRセットにて巻き戻し可
レリーズ同時ロック |
シンクロ接点 |
X接点のみ(1/90秒以下で同調) |
露出計 |
TTL中央部重点絞り込み測光方式
受光素子:SPD(シリコンフォダイオード)
連動範囲:ASA/ISO100でF2.8レンズにてEV8-EV19
(F2.8で1/30秒〜F22で1/1000秒) |
フィルム感度範囲 |
ASA/ISO25〜1600 |
電源 |
1.55V銀電池(SR44、G13相当品)2個(3.1V)使用 |
露出計電源スイッチ |
シャッターボタン1段押してスイッチオン、シャッターボタンから指を離して約20秒間スイッチONの状態を持続 |
電池チェック |
使用限界電圧約2.6V以下で露出表示LED消灯 |
裏ぶた |
バックル方式にて開閉 |
フィルム圧板 |
蝶つがい式 |
レンズ |
UWニッコール15mmF2.8
UWニッコール28mmF3.5
Wニッコール35mmF2.5(標準レンズ)
ニッコール80mmF4 |
防水、防触 |
外部に出る各嵌合部、回転軸部はOリング使用の完全防水式、カメラボディは耐蝕アルミニュウム合金及び強化プラスチック使用 |
耐圧 |
水深50mまで |
大きさ |
約149mm(横)x99mm(高さ)x58mm(奥行)(ボディのみ) |
重量 |
約740g(ボディのみ) |