NIKONOS III

Overview Nikonos III


I,II型で実に12年間続いたニコノスもいよいよ世代交代の時期となった。昭和50年7月に発表となったニコノスIIIはI,II型から大幅に改良され、ほぼ完成の域に達した。基本的なボディ構成(レンズ・外箱・内部機構部)は変わらないもののスプロケットを使用することによってフィルムのコマ間隔を一定にするなど精度をより高め、より使いやすくすることに成功した。
また、大きく変わったもののひとつとしてはストロボ接点の変更がある。ニコンは以降、ニコノスRSに至るまで多少の拡張はされたもののコネクターの互換性は現在でも保たれており、最新のスピードライトはニコノスIIIでも利用可能である(もちろんオートなどの機能は利用できないが...)。また、フラッシュガンもII型となり小型で配光特性にすぐれたものとなり、接写用のブラケットも用意された。

その他の変更点としては...

フィルムカウンターがボディ上部に移った
フィルム圧板が開閉可能となり、フィルムが装填しやすくなった
 

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【ニコノスIIIの感想】
今まで手にしてきたカメラとフィルムの装てんから異なるカメラである。フィルムを交換するにはレンズを取り外してからでないとできない。III型は今発売されているスピードライトが使用できるため、マニュアル撮影を好む人にとってはV型よりもコンパクトなため人気がある。もちろんIII型は完全メカニカルカメラなので電池の必要もなく、手間いらずである。特にニコノスIII+旧15mmレンズの組み合わせでは高画質かつコンパクトなワイドカメラとなる。完全なメカニカルカメラということで万が一水没しても直る可能性はある(あくまでも可能性)。標準のファインダーは小さく、マスク越しでみるにはかなりつらい。またレンズとの光軸ともずれているため水中での使用ではアクセサリーシューにつけるタイプのファインダーを使用するのがいいだろう。III型用のO−リングセットはいまだに購入可能できるのでその点でも安心だ。ただし、すでにニコンからはオーバーホールを含めあらゆる修理ができなくなっていることを考慮して使用したい(ただい、外部修理業者は存在している)。使用した感触だが、やはりI型からIII型までつづくあのレリーズとシャッターチャージおよび巻き上げがひとつのレバーで一動作で行えるのはとてもいい。連写も可能だ。特にあのコンパクトさと合いまってスキンダイビングでイルカやマンタなどを狙うには最適な撮影機材だろう。III型はそのカメラの利点を熟知してかつ十分な撮影知識を持たないと宝の持ち腐れになりかねないカメラだといえる。

【ニコノスIIIでの撮り方】
I,II型にも共通するがIII型の特徴は電子回路を一切持たない完全メカニカルカメラであることだ。そのなかではIII型が最も完成度が高い。現行のシンクロコネクタもIII型からの採用で、マニュアル発光であれば最新のストロボも使用可能である。III型はその完成度とコンパクトさから、もっとも似合っているのは旧型の純正15mmレンズとの組み合わせである。また、ワンアクションでレリーズ・シャッターチャージ・巻き上げが行えるため、スキンダイビングでマンタやクジラなどをすばやく連続しての撮影には効果的だ。メカニカルカメラのため電池の心配が要らない反面、一切のオート機能はなく露出もマニュアルであることが撮影者の敷居を高くしている。

【ニコノスIIIを買うには?】
だんだん中古市場で見かけること少なくなってき。銀座のニコンハウスでときどき在庫しているが場所柄か相場よりもやや高めだ。しかし、現行のスピードライトが使えるシンクロ接点を持ち、O−リングセットがまだ売られていたりと十分に使える環境にはあるのでIII型の魅力をご存知の方は手に入れておくといいと思う。
 

Specification

型式 35mm判フォーカルプレーンシャッター式完全防水カメラ
使用フィルム 35mmフィルム パトローネ入り
画面サイズ 24mmx36mm
レンズ
 標準レンズ Wニッコール35mmF2.5
 画角 62°(水中では約46°30′)
 距離目盛 ∞〜0.8m,2.75ft(併記)
 絞り目盛 2.5〜22(クリック式)
 被写界深度目盛 絞り値に連動 直読式
 アタッチメントサイズ 58mm P=0.75mmねじ込み式
ファインダー 採光式ブライトフレーム(35mm用、80mm用)
倍率 0.61倍
視野率 84% パララックス補正フレーム付き
シャッター 上下走行式メタルフォーカルプレーンシャッター セフティロック付き
シャッタースピード B,1/30,1/60,1/125,1/250,1/500 クリック式 等間隔目盛
フィルム巻き上げ レバー式 1作動回転角左73°
シャッターレリーズ レバー式 回転角約6°30′
シャッターチャージ レバー式 1作動回転角右73°
フィルム巻き戻し クランク式 巻き戻し完了確認機構付き
シンクロ接点 FPおよびX接点(防水式特殊ソケット)
フィルムコマ数計 自動復元順算式
フィルム圧板 蝶つがい式
防水、防蝕 外部にでる各嵌合部、回転軸部はO−リングを使用
完全防水式 カメラボディは耐蝕性アルミニューム合金及び強化プラスチック使用
寸法 144mmx99mmx47mm(ボディのみ)
重量 620g(ボディのみ) 35mmF2.5レンズ付きで780g