たのしい授業in和歌山

数学授業プラン「一筆書きの法則」


 ケーニヒスベルクの7つの橋の話題は様々な数学入門本に紹介されていますが,なぜ,そうなるかという説明がほとんどいいかげんです。数学の苦手な私には結論だけを知るしかありませんでした。ただ一つくわしく説明しているのが,板倉聖宣さんの「一筆書きの数学」(『数と図形の発明発見物語』国土社,所収)です。ただし,これも私にとっては難しすぎました。長年,何度読んでもあまりよく理解できませんでした。そこで,私でも理解できるように工夫してみたのが,この授業プランです。構成は板倉聖宣さんの提唱する「仮説証明授業」を模しています。証明?部分を4人の登場人物による討論という形式にしています(これも板倉さんの『ぼくらはガリレオ』の真似ね)。この説明は,友人にも好評で,長年の謎が解けたと言っていただけました。
 数理的に考えることのおもしろさ,できないことを証明するという考え方などを味わってもらえたらいいなと考えています。

 5年生で授業をしてみると,2時限で終えることができました。1時限は【問題2】までです。(でも3時限ぐらいでやる方が余裕があってよさそうです)子ども達にはたいへん好評で学年末の授業の感想でもたのしかった授業に選んでくれる人が多かったです。

HTMLファイル版

5年生での授業感想文

茨木市の板坂さんが5年生で授業をされて,こどもたちに書いてもらった感想文wo。

WORD97/98ファイル版
アドビアクロバットによるPDFファイル版(‘Adobe Acrobat Reader 3.0J’以上が必要です)
ここから‘Adobe Acrobat Reader’を手に入れられます。

 追記:その後,おはずかしい話ですが,矢野健太郎『数学物語』(角川文庫,初版は昭和36年)という元の本が1936年に出版されている本を読みました。名著の一つだと思います。その後のさまざまな数学入門本のネタ本の一つなのでしょう。この中に「一筆書きとオイラー」というお話があります。ていねいな説明だと思います。ですので,上記の「ただ一つ」というのは,取り消します。ただ,やはり私には少し難しい。

 追記2:中嶋良輔さんという方から次のようなメールをいただきました。無茶苦茶うれしかったです。インターネットがなければ,絶対に中嶋さんと出会うことはなかったでしょう。インターネット時代の可能性を実体験することができました。

突然のメールで失礼します。
 先日、尾崎さんのHPの一筆書きの法則をgooの検索で見つけて拝見しました。
実は、バイト先の社員の方に解けるからと、一筆書きの問題を出され、解けずに悩んでい
たのですが、一筆書きの法則のおかげで疑問を解消することができました。
問題は、HP中の問題3のキと同じ問題でした。解けないということが証明され、やっと
心おきなく眠ることができます。ありがとうございました。
一筆書きの法則は、読み手に考えさせながら法則を理解させる本当によい教科書だと感じ
ました。法則の仕組みから教えているので、一度読めば、頭に残り応用がききます。
文章の構成のセンスもその一旦をになっていると思います。
 9ページの秀夫君のセリフで、奇数点が五個となっておりますが、四本の線は偶数点だ
と思うのですが、どうでしょうか?間違っていたらスミマセン。
 一筆書きの法則のおかげで、謎が解けました。本当にありがとうございました。
                      1998.9.17 中嶋 良輔   

中嶋良輔です。メール拝見しました。
お返事遅れて申し訳ありません。
先日、一筆書きの法則をプリントアウトして、バイト先に持っていきました。
社員の方をはじめ、アルバイトの人も一筆書きの法則に目を通し、絶賛していました。
アルバイトの人は「紀伊国屋書店に本を探しに行ったのに、答えが分からなかった」と嘆
いていたのですが、この法則を知り「なーんだ絶対できない問題だったのか」と解けない
ことがわかり、解ける問題だと思って苦労してきたことを悔しがると同時に、疑問が解け
たことに、とても嬉しそうでした。
この様にみんなが納得したのは、この問題は解けないんだということが、わかりやすく証
明されていたからだと思います。
私や、このアルバイトの人が、悩んだ原因は、この問題は絶対に解けるという先入観があ
ったためだと思います。できないことを証明するという数学的な発想の大切さを改めて学
んだ気がします。
HP、レポート引用の件ですが、私のメールでよろしければどーぞ使って下さい。尾崎さ
んのHPに引用されることを、楽しみにしています。
最後になりましたが、バイト先の人から感謝と称賛を受け、一瞬でしたがオイラーの気持
ちを味わうことができました。
これも全て尾崎さんのおかげです。ありがとうございました。
これからも、読み手に優しいHPづくり、大変だと思いますが、頑張って下さい。
                         1998.9.24 中嶋 良輔


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