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七つの大罪の眼

 

3625

3625  Museo Nacional del PRADO Hieronymus Aeken Bosco (1450-1516) Mesa de los Pecados mortales
The table of the Seven Deadly Sins N 2822 Cut Photografia: Archivo Museo del PRADO
2005・5・9入手   
楽器

 

 

のカデンツ

 

ボッスの七つの大罪のカード 入荷しました! 

といってもプラド美術館からではなく

某県立美術館で見つけてくれた 身内の協力のたまものです。 

ありがとう!

ボッスは大好きな画家で

しかも わけあって楽器の入った絵も多く

ウ〜ウォンテッド・カード がたくさんあります。

 このカードも 是非 欲しかった一枚でした。

大円に描かれた七つの罪のうち 『淫楽の罪』の場面に

↓ 楽器(ハープとたて笛)が描かれています。

 

 

 

わけあって楽器の絵も多い というのは

清貧のフランチェスコ派のボッスは 愚者の船  にもあるように

楽器は 酒瓶と同等の愚かしい快楽のアトリビュート として描かれているからです。

 

659    

659 Bosch V.1450-1516 La nef des fous Bois 0.58x0.32m Don Camille, Benoit, 1918
Louvre Departmento des Peintures   2000・4・28入手 
アンサンブル 

 

 

そしてその当然の報いとして 『快楽の園』 の音楽地獄では

(参照→ 展示室これはどんな場面 Scene 4 )

楽器の責め苦にあう人間が描かれています。 

 

さて

冒頭の 七つの大罪 の入った絵は 壁に飾る絵ものではなく

装飾的家具としてのテーブル板に 描かれています。

↓ このテーブルは 

スペイン国王フェリペ2世が注文し 

エル・エスコりアール宮の自室に置かれていたそうです。

(現在は プラド美術館にあります)

余談ですが

ヴェルディの歌劇 『ドン・カルロ』 では 

カルロの父君 フェリペ2世は とても孤独な国王として登場しますが

ボッス をとても贔屓にしていたそうなので

同じく ボッスファンの  としては

このオペラの

父君の苦渋のアリアを聴くたび 深く心に浸みわたります。

 

 

   TV画面より

 

 

 

中央の大円には

七つの大罪  『憤怒』 『嫉妬』 『貪欲』 『大食』 『怠惰』 『淫楽』 『傲慢』 が

当時のフランドルの日常生活のかたちをとって描かれています。

 そして 四隅の小さい円には、

それぞれ 『死を迎える場面』 『最後の審判』 『地獄』 『栄光の天国』 が

描かれています。

  は、中央の大円部分の 淫楽の罪 の楽器しか知らなかったのですが 

四隅には 最後の審判(天使のラッパ)や 天国(奏楽天使) の絵も描かれていることを 

このカードで 初めて知りました。

 

       

 

 

 

高階秀爾編著  『ヒエロニム・ボッス全作品』  中央公論社によると

この絵に描かれている帯状装飾には、旧約聖書「申命記」からの言葉が添えられているそうです。

上段には

「彼らはまったく知恵なき民なり。そのなかに知識あるものなし。

ああ、彼らも知恵あらばこれを悟りて、その身の終わりを慮らんものを」

 

 

下段には、

「我らが顔を彼らに隠さん、彼らが終わりを見ん」

 

 

と書かれているそうです。

そして

全体が 『メメント・モリ』 の訓戒。 

誰にとっても死はすぐ近くにある という警句。

死後の世界を考えるなら

この世での悪業を重ねてはいけないという戒め。

そして 中央の大円は

四つの同心円から成っていて

一番外側には ご紹介した 戒めるべき七つの大罪の絵。 

その大円の中央には ↓ 『神の眼』 が!

一番中心の瞳のなかに 『復活のキリスト』 が描かれ

その外側の 黄オレンジの部分には

  「心せよ、心せよ、神は見給う」 と書かれているそうです。

はぁ〜〜〜

大円の中心が 神の眼 になっているだなんて。 

あんなふうに 神に じっと見られているとなると ちょっと怖いですよね。

 

  

 

罪深い人間の愚かしさを 

しかも 身近な庶民の生活を通して描き示されると

効果テキメン。

こ、これは・・・まさに・・・心せよ!

 


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