バンドネオン
3968
3968 Terry Vine Tango (c) 2005 Terry Vine / Corbis 2006・2・23入手 バンドネオン
のカデンツ
↑ このカードは写真もので 本来はコレクション対象外なのですが
特別 独断で タンゴのカードとして コレクションにエントリー。
登場している楽器は バンドネオンです。
実は これまで この楽器も アコーディオンとして とらえていました。
が NHKテレビ番組 『名曲探偵 アマデウス』 名曲探偵ファイルNO.057 で
アストル・ピアソラ作曲の リベルタンゴ を取り上げてくれ
そこで このバンドネオンのことを 詳しく紹介してくれたのです。
それを見て 是非これは アコーディオンから独立させてあげなければ、と思い
その記念に この展示室を作成することにしました。
では、番組から。
スペインの植民地から独立を果たした アルゼンチンは
その後 ヨーロッパの国々を中心に 広く白人の移民を受け入れました。
移民たちは、それぞれの母国から持ちこんだ楽器を用いて
さまざまな音楽や踊りをミックスさせていき、そんな中で誕生したのが、アルゼンチンタンゴだったのです。
今から120年前のことでした。
初期のタンゴの演奏に使われていた楽器は クラリネット ギター フルートなどで
今とちがって タンゴはまだ 明るく軽快な雰囲気のものでした。
19C末 ドイツから バンドネオンがアルゼンチンに持ち込まれ タンゴの雰囲気が ガラッと変りました。
バンドネオンは ドイツ職人 ハインリヒ・バンド (1821−1860)により アコーディオンを基に新たに開発されました。
鍵盤アコーディオンより より軽く コンパクトだったため、持ち運びにも便利だったのです。
アコーディオンが 一口で言えば まるい音色だとすると
バンドネオンのほうは、鋭くストレートな音色。
悲しいとか怒っているとか の感情を そのままストレートにぶつけることができると
それ以降 アルゼンチンタンゴには なくてはならない楽器となったのでした。
ふ〜〜ん バンドネオンはドイツで生まれたんですね。
ちなみに ↑ このカードは偶然 ドイツに出かけた友人 CW から
おみやげに いただいたものでした。
よほど普及率がよかったのか バンドネオンのカードって
結構 あちこちで見かけます。
コレクションの中の パリの ポップなカードをチェックしてみたところ
アコーディオンとバンドネオンの割合は 半々くらい。
あと ムーミンのスナフキンも (フィンランド)
ブルーナーのうさこちゃんも(オランダ)
バンドネオンを演奏しているカードがあります。
↓ イギリス絵画にも 登場しています。
この絵は (1854−56年作) ですから
バンド氏の生涯(1821−1860)を考慮しても その普及率のよさは 推し量れますね。
2160
2160 ジョン・エヴェレッド・ミレイ 盲目の少女 1854−56年 82.6
x 62.2cm 油彩・キャンパス
バーミンガム美術館蔵 2003・5・5入手(差し替え) バンドネオン
このカードも (1860) バンドネオン。 やっぱりすごい勢いで広まったのです。
3047
3047
生写異国人物亜米利加女官翫板邃之図 万延元年(1860) 五雲亭貞秀画
横浜開港資料館 2004・1・22入手 バンドネオン
Sketch of foreign objects-American woman playing accordion
<追記>
2014年 NHK プレミアムアーカイブス という番組で
2003年放送の 『世界は歌う 世界は踊る 遥かなるアルゼンチンタンゴ 魅惑の世界』
を 再放送してくれ バンドネオンのことを さらに教えてもらいました。
アルゼンチンタンゴにかかせない楽器 バンドネオン。
その一音一音に 人生の悲哀がこもっている。
しかし現在 タンゴの主役ともいえる このバンドネオンは
もうほとんど 新しく作られることはない
絶滅の危機にあるといってもよい。
バンドネオンが生まれたのは
1840年ころのドイツの チェコ国境に近い カールスフェルトという町。
以前から ハーモニカを作っていたこの町で
音楽家をしていた ハインリヒ・バンド (1821−1860)が 考案。
戦前まで 盛んに作られたが 第二次世界大戦が終わるとともに
東ドイツにあったバンドネオン工場は 国営となり
別の工業製品を作るようになった。
こうして バンドネオンの製造は 途絶えた。
番組では もうほとんど新しく作られなくなったバンドネオンを
細々と 修理・調律している ブエノスアイレスの親子を取材。
バンドネオンについて 詳しい話を 聞かせてくれました。
バンドネオンは 音が出る時点で もうヴィブラートになっている。
アコーディオンは平たんな音だが バンドネオンは音が震えている。
表現力の豊かさ、そこが違うんだ。 だから 心に響く。
音程の数は 142 ある。 左手に 33のボタン 右手に 38のボタンがあり
すべてのボタンが 蛇腹を開くときと 閉じるときで 違う音程の音が出る。
(しかも ボタンは 音程順に 並んでいないそうです)
また あるボタンを押すと 一オクターブ高い音が 同時に鳴る。
だから 合計 276の音の調律を しなければならない。
(あれ? 71のボタンの 蛇腹の開閉で142
そのオクターブの音だと 合計 284 になるけど?)
鋼鉄で出来たプレートに 震えて音を出すリードがついていて
それを わずかずつ 削って調律しなければならない。
このリードは 数種類の鉄をあわせて 出来ているため
その調律には 高いレベルの技術が必要とされる。
テレビ画像
これが バンドネオンを もう個人レベルで制作するのは難しい
とされる理由になっている。
修理・調律のエキスパートといわれる この父子。
息子さんは パソコンを使って 正確な調律を目指していて
親子の目標は 『新しいバンドネオンを 一から作ること』
なのだそうなので 期待大。
あ、 この番組は 2003年ですから
もしかしたら 新しく制作されたバンドネオンが もう 誕生したかもしれませんね。
最高のテクニックをもつバンドネオン奏者といわれる ネストル・マルコーニ氏 談。
『ドイツで生まれたこの楽器は 携帯用オルガンとして使われていた。
しかし テクニックを使ったタンゴの奏法を編み出したのは アルゼンチン。
この楽器では すべての感情表現が 可能なのである』
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