Practice & Concept
「普段、どんな練習してますか?」「一体何考えてサックス吹いてるの?」 という問にお答えします!
<デイリー・スケジュール> どんなに忙しくても、仕事に遅刻をしてでも(?笑)必ずやる練習を公開します。
1.ロングトーン:まずは音ですよね!昨日どんなにいいプレーをして も次の日、体は忘れています。まず、呼吸法で体のどの位置に空気を入れるのか確認します。体の中に箱があると思ってください。
1)鼻で吸って下腹部(へその下10センチ)に底を作る。
2)"Ho"で吸ってその上に大きな卵型の物が入ってきたと感じる。
3)"Ah"で吸って両わき腹や後方に2つ卵型のものが入ってきたと感じる。
4)”Ee”で吸って上体(胸のあたり)に空気を入れる。
5)"Ha"で吐く。この際クレッシェンドで吐き、真空になるまで吐ききるよう心がける。 風船がしぼんでいくのと同じように息を吐きながらお腹をへこませていく。
以上の一連の動作を無意識に出来るよう毎日練習します。この呼吸法を使ってミドルのCから半音づつ下に、その次は半音づつ上に全音域を一音づつ丁寧に練習 します。音量、音質、ピッチを一定に保つ事に重点をおいてください。ちなみに僕は、「朝もやのかかった森」をイメージしてやってます。
2.スケール:ただのドレミファとナメてかかってはいけません。長年 やっててまだ納得したことはないです。まず、ロングトーンでできた事を指を動かして同じようにやるのが結構難しい。シラブル(ドレミ・・)か「ララ ラ・・」で歌ってからサックスで吹くのをお薦めします。ピッチとリズムに気をつけてください。因みに僕はメトロノームを120にして16分音符でやってま す。
3.インターバル:ダイアトニックスケールを使って、3rdだったら 「ドミレファ・・」と練習します。この際、音と音を区切らずに体の中に音程を感じながら吹きます。
4.クラシックのエチュード:これは趣味の領域です。気分転換もある けど純粋に好きでやってます。Ferlingの「48 Famous Studies」を少々。クラシック出身の生徒にいろいろ薦められましたが、これがやってて一番気持ちいいから続いてます。平行調のMaj→Minのス ムースな移行など勉強になります。
5.アルペジオ:メジャー・スケール、ドミナント(b9b13)ス ケール、オルタード・スケールを全音域×12キーで練習します。ジョー・ヘンダーソンなんかこういう感じでソロ取りますよね。実はこの練習、バークリーの 必須だったのにその頃は真面目にやらず、ジャコの教則ビデオでジャコがあらゆるパターンで実演してるのを見てやり始めました。(笑)
6.ショート・フレーズ:1小節のフレーズを数個用意し「Cycle of 5th」の順でつなげて12キーで練習します。または、1つキーを設定してそのキーのフレーズを次々吹く練習もお薦め。
7.アプローチ・ノート:1小節ごとにU−X−Tの進行があるとし て、U−Xのところで自由にインプロして、TMaj7の3rd、5th、7thに解決するための練習です。クロマチックでターゲットノートを挟み込むよう にするとよいでしょう。パーカーのソロに頻繁に出てきます。
以上の練習はよっぽどの事がない限り欠かしません。1はウォーミングアップですが、2以降はそれプラス、インプロに結びつきます。
<オプション> 僕の理想としているインプロビゼーションは、リック(お決まりのフレーズ)を避け、練習した事を変化させて、その場の雰囲気にフィットさせることです。し かし、そうはいってもあまりにも掴み所がないとお客さんも引いてしまうのでリックも練習します。U−X−T等のフレーズをコピーしたり作ったらいろんな曲 にあてはめましょう。自分のものになったら、語尾を変えたり接頭語を付けたり変化を与えましょう。12キーでやるのをお忘れなく。
ここまでは、コードに対してどうアプローチするかというものですが、先ほどのアプローチノートの時に「自由にインプロをして最後にターゲットノートに落ち 着く。」と言ったことを拡大解釈して、「ターゲットノートに落ち着くなら、なんでもありだぁ!」としたとします。 しかし、ただ滅茶苦茶吹くのも面白くないので、コンセプトを用いてぶっ飛んだメロディーを作曲し、それを「なんでもあり」のところで使ってみましょう。
クロマチックスケール:ご存知、半音階。
シンメトリック・ディミニッシュ:いわゆるコンディミのことです。
ホールトーンスケール:オーギュメントを2つ重ねたとも考えられます ね。
ダブル・ホールトーン・スケール:違うキーのホールトーンを重ねると クロマチックですね。しかし、オーギュメントで考えると断然面白くなる!
ダブル・ディミニッシュ・スケール:そのコンディミ版。
ペンタトニック・スケール:一口に言ってもいろんな種類があります。 僕もいろいろ使ってます。
シンメトリック・ヘキサトニック(ヘキサトニック・スケール):楽譜 が無いと説明できません...。オーギュメント・コードをホールトーンとは違う並べ方にしたものです。もともとMaj7(♯5)に使えるスケール。
ワイド・インターバル(仮称):2オクターブくらい離れたインターバ ルでメロディーを作る。ドルフィーのアレ! ジョージ・ガゾーンもそんなフレーズをいっぱい書いたメモを持ち歩いてました。
...などなど 作曲の際は、ぶっ飛んだ演奏を聞きましょう。 エリック・ドルフィー(as)、オーネット・コールマン(as)、スティーヴ・コールマン(as)、 「ライヴ・アット・ライトハウス」のリーヴマン(ts)&グロスマン(ts)、クリス・ポッター(ts)、武満徹(comp)、キングクリムゾンなど。 僕の好みがカナリ入ってるけど・・・。
<ニューコンセプトのススメ>
例えばパーカーの使うオルタードスケールなんかは、コードからしたらアウトとも考えられます。(X7ではミクソリディアンのみを使うと言うのが定説である としたらですよ。) でもキレイに目的地に行くもんだからアウトには聴こえない。 今やインサイドで演奏するための必需品にまでなってしまって、当たり前の世界ですけど...。
だから1950年代当時、既にバードを始めいろんなジャズメンはぶっ飛んでたわけです。もう21世紀。それなりの進化をとげなければジャズは「昔の音楽」 とか「単なるBGM」として位置付けされ 時代に置いてけぼりをくうでしょう。 モーツアルトだって当時の最新ヒットチャートを書いてたのに今ではクラシックなわけです。誰かが伝統を守り継承していく。必要な事だとは思いますが、みん ながみんなそればっかりだとジャズなんてどうでもいいやとまで僕は思っちゃう。 パーカーが当時アバンギャルドな事をやってても聴衆が理解してついて来た...。 これは凄い事実で、パーカーとともにお客さんも偉い! やる側も聴く側も今までになかったものを経験したいと言う欲求がなければ、 そういう状態にはならないでしょう。
特に日本人のアメリカ(NY)至上主義はとどまるところを知らず、 いつまでたってもオリジナリティーを求められない。 そろそろ日本が世界に何か発信せねばならない時ではないでしょうか。 そういう日がいつか来ると信じて、僕はまた練習に励むのです。
<インプロヴィゼーションの芸術性とは?>
上記に「僕の理想としているインプロビゼーションは、 リック(お決まりのフレーズ)を避け練習した事を変化させて、 その場の雰囲気にフィットさせることです。」とありますが、 その際僕は「真っ白なキャンバスに絵筆を走らせて、自由気ままに絵を描くような感覚」でいます。風景画であったり、幾何学模様であったり、あるいは前衛的 な絵であったり、僕が描こうとしている絵はコラージュのようで、いろんな形式が混ざっていると思います。
ただ、コラージュといっても単に貼り付け作業の練習しかしていないと、音から思い浮かべる絵は「練習しているミュージシャンの図」でしかありません。「こ こでは風になびく木を表現したい。」とか「グワっと真っ赤な線が斜めに走る。」とか ミュージシャン独自の様々な表現法によって、それらを表現したいまさにその瞬間に音に出来た時、音で描こうとしている物が、はじめてアーティスティックな 絵に成り得ると思います。フレーズはあくまでその道具にしか過ぎません。
モネの「睡蓮」は有名ですが、近くでみると乱雑な筆の跡が 点のようにたくさん描かれているだけの様に見えます。しかし遠ざかって見ると、霞の中でぼんやり睡蓮が浮かんでいるのが分かります。モネの目には光や空気 も点のように見えたのかもしれません。ゴッホもピカソも然り、筆使いはその人の表現の道具でしかない。全体で見渡した時どんな絵になっているかが問題で す。
さて音楽ですが、音での表現方法でNY時代興味深い事を、あるフリー系のドラマーから学びました。 点や線を表現せよというレッスンでしたが、あまり意味がわからなかったのでお手本を求めると、 スネアをトンと叩き「点」、シンバルを擦って高音の長い音を出して「線」を表現したのです。 その後、矢印(↑)で上昇、下降、ギザギザなどの「音のシェイプ」のよって「線」の進化系を示しました。これには目から鱗で、インプロヴィゼーションの芸 術性を再認識した瞬間でした。
「ジャズ・メッセンジャーズにいた時は固体の表現だけでよかったが、マイルスのバン ドに入って、 液体も表現しなければならなくなった。」(ウェイン・ショーター)
「わたしがアルトで、「平和」という曲で吹くFの音は、「悲哀」という曲で吹くFと 同じであってはならない。」 (オーネット・コールマン)
「表現」を言い当てた名言ではありませんか !?
<デイリー・スケジュール> どんなに忙しくても、仕事に遅刻をしてでも(?笑)必ずやる練習を公開します。
1.ロングトーン:まずは音ですよね!昨日どんなにいいプレーをして も次の日、体は忘れています。まず、呼吸法で体のどの位置に空気を入れるのか確認します。体の中に箱があると思ってください。
1)鼻で吸って下腹部(へその下10センチ)に底を作る。
2)"Ho"で吸ってその上に大きな卵型の物が入ってきたと感じる。
3)"Ah"で吸って両わき腹や後方に2つ卵型のものが入ってきたと感じる。
4)”Ee”で吸って上体(胸のあたり)に空気を入れる。
5)"Ha"で吐く。この際クレッシェンドで吐き、真空になるまで吐ききるよう心がける。 風船がしぼんでいくのと同じように息を吐きながらお腹をへこませていく。
以上の一連の動作を無意識に出来るよう毎日練習します。この呼吸法を使ってミドルのCから半音づつ下に、その次は半音づつ上に全音域を一音づつ丁寧に練習 します。音量、音質、ピッチを一定に保つ事に重点をおいてください。ちなみに僕は、「朝もやのかかった森」をイメージしてやってます。
2.スケール:ただのドレミファとナメてかかってはいけません。長年 やっててまだ納得したことはないです。まず、ロングトーンでできた事を指を動かして同じようにやるのが結構難しい。シラブル(ドレミ・・)か「ララ ラ・・」で歌ってからサックスで吹くのをお薦めします。ピッチとリズムに気をつけてください。因みに僕はメトロノームを120にして16分音符でやってま す。
3.インターバル:ダイアトニックスケールを使って、3rdだったら 「ドミレファ・・」と練習します。この際、音と音を区切らずに体の中に音程を感じながら吹きます。
4.クラシックのエチュード:これは趣味の領域です。気分転換もある けど純粋に好きでやってます。Ferlingの「48 Famous Studies」を少々。クラシック出身の生徒にいろいろ薦められましたが、これがやってて一番気持ちいいから続いてます。平行調のMaj→Minのス ムースな移行など勉強になります。
5.アルペジオ:メジャー・スケール、ドミナント(b9b13)ス ケール、オルタード・スケールを全音域×12キーで練習します。ジョー・ヘンダーソンなんかこういう感じでソロ取りますよね。実はこの練習、バークリーの 必須だったのにその頃は真面目にやらず、ジャコの教則ビデオでジャコがあらゆるパターンで実演してるのを見てやり始めました。(笑)
6.ショート・フレーズ:1小節のフレーズを数個用意し「Cycle of 5th」の順でつなげて12キーで練習します。または、1つキーを設定してそのキーのフレーズを次々吹く練習もお薦め。
7.アプローチ・ノート:1小節ごとにU−X−Tの進行があるとし て、U−Xのところで自由にインプロして、TMaj7の3rd、5th、7thに解決するための練習です。クロマチックでターゲットノートを挟み込むよう にするとよいでしょう。パーカーのソロに頻繁に出てきます。
以上の練習はよっぽどの事がない限り欠かしません。1はウォーミングアップですが、2以降はそれプラス、インプロに結びつきます。
<オプション> 僕の理想としているインプロビゼーションは、リック(お決まりのフレーズ)を避け、練習した事を変化させて、その場の雰囲気にフィットさせることです。し かし、そうはいってもあまりにも掴み所がないとお客さんも引いてしまうのでリックも練習します。U−X−T等のフレーズをコピーしたり作ったらいろんな曲 にあてはめましょう。自分のものになったら、語尾を変えたり接頭語を付けたり変化を与えましょう。12キーでやるのをお忘れなく。
ここまでは、コードに対してどうアプローチするかというものですが、先ほどのアプローチノートの時に「自由にインプロをして最後にターゲットノートに落ち 着く。」と言ったことを拡大解釈して、「ターゲットノートに落ち着くなら、なんでもありだぁ!」としたとします。 しかし、ただ滅茶苦茶吹くのも面白くないので、コンセプトを用いてぶっ飛んだメロディーを作曲し、それを「なんでもあり」のところで使ってみましょう。
クロマチックスケール:ご存知、半音階。
シンメトリック・ディミニッシュ:いわゆるコンディミのことです。
ホールトーンスケール:オーギュメントを2つ重ねたとも考えられます ね。
ダブル・ホールトーン・スケール:違うキーのホールトーンを重ねると クロマチックですね。しかし、オーギュメントで考えると断然面白くなる!
ダブル・ディミニッシュ・スケール:そのコンディミ版。
ペンタトニック・スケール:一口に言ってもいろんな種類があります。 僕もいろいろ使ってます。
シンメトリック・ヘキサトニック(ヘキサトニック・スケール):楽譜 が無いと説明できません...。オーギュメント・コードをホールトーンとは違う並べ方にしたものです。もともとMaj7(♯5)に使えるスケール。
ワイド・インターバル(仮称):2オクターブくらい離れたインターバ ルでメロディーを作る。ドルフィーのアレ! ジョージ・ガゾーンもそんなフレーズをいっぱい書いたメモを持ち歩いてました。
...などなど 作曲の際は、ぶっ飛んだ演奏を聞きましょう。 エリック・ドルフィー(as)、オーネット・コールマン(as)、スティーヴ・コールマン(as)、 「ライヴ・アット・ライトハウス」のリーヴマン(ts)&グロスマン(ts)、クリス・ポッター(ts)、武満徹(comp)、キングクリムゾンなど。 僕の好みがカナリ入ってるけど・・・。
<ニューコンセプトのススメ>
例えばパーカーの使うオルタードスケールなんかは、コードからしたらアウトとも考えられます。(X7ではミクソリディアンのみを使うと言うのが定説である としたらですよ。) でもキレイに目的地に行くもんだからアウトには聴こえない。 今やインサイドで演奏するための必需品にまでなってしまって、当たり前の世界ですけど...。
だから1950年代当時、既にバードを始めいろんなジャズメンはぶっ飛んでたわけです。もう21世紀。それなりの進化をとげなければジャズは「昔の音楽」 とか「単なるBGM」として位置付けされ 時代に置いてけぼりをくうでしょう。 モーツアルトだって当時の最新ヒットチャートを書いてたのに今ではクラシックなわけです。誰かが伝統を守り継承していく。必要な事だとは思いますが、みん ながみんなそればっかりだとジャズなんてどうでもいいやとまで僕は思っちゃう。 パーカーが当時アバンギャルドな事をやってても聴衆が理解してついて来た...。 これは凄い事実で、パーカーとともにお客さんも偉い! やる側も聴く側も今までになかったものを経験したいと言う欲求がなければ、 そういう状態にはならないでしょう。
特に日本人のアメリカ(NY)至上主義はとどまるところを知らず、 いつまでたってもオリジナリティーを求められない。 そろそろ日本が世界に何か発信せねばならない時ではないでしょうか。 そういう日がいつか来ると信じて、僕はまた練習に励むのです。
<インプロヴィゼーションの芸術性とは?>
上記に「僕の理想としているインプロビゼーションは、 リック(お決まりのフレーズ)を避け練習した事を変化させて、 その場の雰囲気にフィットさせることです。」とありますが、 その際僕は「真っ白なキャンバスに絵筆を走らせて、自由気ままに絵を描くような感覚」でいます。風景画であったり、幾何学模様であったり、あるいは前衛的 な絵であったり、僕が描こうとしている絵はコラージュのようで、いろんな形式が混ざっていると思います。
ただ、コラージュといっても単に貼り付け作業の練習しかしていないと、音から思い浮かべる絵は「練習しているミュージシャンの図」でしかありません。「こ こでは風になびく木を表現したい。」とか「グワっと真っ赤な線が斜めに走る。」とか ミュージシャン独自の様々な表現法によって、それらを表現したいまさにその瞬間に音に出来た時、音で描こうとしている物が、はじめてアーティスティックな 絵に成り得ると思います。フレーズはあくまでその道具にしか過ぎません。
モネの「睡蓮」は有名ですが、近くでみると乱雑な筆の跡が 点のようにたくさん描かれているだけの様に見えます。しかし遠ざかって見ると、霞の中でぼんやり睡蓮が浮かんでいるのが分かります。モネの目には光や空気 も点のように見えたのかもしれません。ゴッホもピカソも然り、筆使いはその人の表現の道具でしかない。全体で見渡した時どんな絵になっているかが問題で す。
さて音楽ですが、音での表現方法でNY時代興味深い事を、あるフリー系のドラマーから学びました。 点や線を表現せよというレッスンでしたが、あまり意味がわからなかったのでお手本を求めると、 スネアをトンと叩き「点」、シンバルを擦って高音の長い音を出して「線」を表現したのです。 その後、矢印(↑)で上昇、下降、ギザギザなどの「音のシェイプ」のよって「線」の進化系を示しました。これには目から鱗で、インプロヴィゼーションの芸 術性を再認識した瞬間でした。
「ジャズ・メッセンジャーズにいた時は固体の表現だけでよかったが、マイルスのバン ドに入って、 液体も表現しなければならなくなった。」(ウェイン・ショーター)
「わたしがアルトで、「平和」という曲で吹くFの音は、「悲哀」という曲で吹くFと 同じであってはならない。」 (オーネット・コールマン)
「表現」を言い当てた名言ではありませんか !?