● 実験テーマ14

「自作オシロのバージョン・アップ:第2章」(Scope_V2 デバッグ記) ※ 131126 一部修正更新

■ 2012.03.08
  ※ ここで、第2章で扱うオシロの、機能仕様概要を示しておきます。
  <Scope_V2(Soft Ver.1.01)の、機能仕様概要>
   @ 測定チャンネル:1CH
   A 入力モード切替: AC/DC
   B 測定可能周波数: 1Hz 〜 約50kHz
   C トリガモード: AUTOのみ
   D トリガ表示 : 同期がロックしている時、緑LED点灯
   E 時間軸レンジ
     0.2, 0.5, 1.0, 2.0, 5.0, 10, 50, 500 [mS/div]
   F 電圧軸レンジ
     0.015, 0.03, 0.075, 0.15, 0.25, 0.3, 0.5, 0.75,1.25,1.5, 2.5, 3.0, 7.5, 15 [V/div]

  ・「Scope V2」デバッグ開始
  ・火入れ第一報
   @ イニシャルGLCD表示"Start Osccillo V2"と表示してから先に、進まない。
   A プログラムがどこまで走っているかをチェックしたところADCの起動タイマ:T3をONする前までは、RUN
     していることを確認
     → T3スタートを掛けると、DMA割込みにジャンプするはずだが、ジャンプしないのか??

  ・DMA割込み許可までの流れを見直してみた。次のことが判った。
   → ADCをDMAで操作するには、ADC割込み許可の、IECObits.AD1IE=1;は不要と思われる。
     この代わりにDMA許可があると思われる。
     これで、DMA割込みルーチンにジャンプするのでは?
     それと、AD1CON4=0x0003;(DMA Buffer 8ワード分確保)を追加してみた。

  ・この結果、一応、オシロの目盛と、AC/DC, ***/mS, ***/V表示が出るようになった。
   → 一応、DMA割込みが入ったようだ。また、OFFSETポテンショを回すと、輝線も動いている。
     (それなりに、ADCも動いているようである。)

  ・ただ、モード及びレンジ表示のロケーションがおかしい。この原因は全てイージーミスであった。
   → AC/DCの表示ロケーションはOK
      mS/D: TSWリード後のビットシフト数を変更していなかったため、おかしかった。
           1→ 3に変更でOKになる。
      V/D: VSWを動かしても、1.5V/Dのまま変化しない。PORTGを使っているのに、PORTCになっていた。
          修正でOKになる。

  ・電圧レンジを変えると、無入力だが、輝線の振幅レベルも少し変わっているようなので、GAIN/ATTコントロール
   も動いている模様
  ・トリガ・ポテンショ/TRG_LEDの動きもよさそう。
  ・3Vp-p、1kHzサイン波を入力し、1mS/D、1.5V/Dで波形表示を確認してみた。

   → 上写真の通り、時間軸は正しいが、電圧軸がNG。波形もおかしい。
     ただ、GAINポテンショ(x1倍のアンプ)を回すと、波形レベルが変化するので、GAINのアナログSWは
     正常に動いている模様。


■ 2012.03.09
  ・アナログアンプ系のチェックを行う。(特にレンジ切替用と、モード切替用アナログSWの動作確認)
  → ATT切替とGAIN切替には、問題なかったが、モード切替に問題あり。
  → ACカップリング有り・無しの切替はOKだが、ACモード時の中点バイアスの切替が出来ていなかった。
  → プログラムリストに誤りがあることが判る。
   何と、AC/DCアナログSWの、モード切替制御が抜けていた(表示切替のみになっていた。)
   修正し、ACモードでのOKを確認

 ・ACモードのチェック
  オートレンジ機能、全てOKを確認
  (ATT:x1, x0.06, x0.1, x0.01及び、GAIN(2ndアンプ):x1, x2, x5, x10の組合せにてレンジ切替)

 ・DCモードのチェック
  最初から自信なし。前バージョン(Scope)の時は、単にDCカットコンデンサをショートする形でDC入力したが、
  これだと正確にDC電圧を測定できないことがわかっている。
  そこで今回は、軽い気持ちであまり理論は考えず、2ndアンプのバイアスを、直流の場合やめ、0Vにしてみた。
  <結果>
  ・ぜんぜん振幅が少ない。1mS/D, 0.75V/DにてATT入力ショート0Vにて、輝線を最下位のライン上に合わせ
   入力にDC3Vを入力しても、4目盛にならず、1/10目盛位しか動かず。
   但し、AC/DCアナログSWは正常に動いており、DCモード時、2ndアンプのバイアスは0Vになっている。
  → 回路に問題がありそう。


■ 2012.03.11
  ・現状でDCモードがNGな理由等、気が付いた点
   例えば、DC成分が0VのAC信号を入力した場合、2ndオペアンプのセンターバイアスが、0Vだと片電源である2nd
   オペアンプは正常に動作しなくなると考えられる。

  ・2ndオペアンプのバイアスの取り方をいろいろ変えて試行してみることにした。
   @ 以前の方法(DCモードでも中点バイアス)にしてみる。
    → 2ndアンプのGAINが1倍のレンジ(0.15, 2.5, 1.5, 15V/D)の時しか上手く行かない。
      ただこれでも、FSに至たる途中の電圧は比例せず正しく表示されない。(前回で確認済)

   A 2nd, 3rdアンプのオフセットをオフセット調整ポテンショから共通に取ってみる。
    → これだと全く上手く行かない。(レベルが極端に低くなる。)


■ 2012.03.12
  ・DCモードでやや、行き詰まり気味。現DCモードの回路には無理があるのかも??
   WEB検索するも、適当な例が無い。

  ・次の実験を思いついた。
  → DCモードの場合、2ndアンプのバイアスは、0Vでは駄目だが、0V近辺の電圧で調度良いところがあるはず。
    そこで、個別調整ができるように、DCモード用のバイアスもポテンショにしてみた。


■ 2012.03.13
  <結果概要>
  ・自作F.Gにて、3Vp-pの1kHz矩形波(AC出力)を入力し、それをDCモードで観測(レンジは、1mS/D, 1.5V/D)
  ・まずACモードで受けて、画面中央に波形が表示されるように主オフセット調VRを合わせる。
  ・増設したVRを、0V付近(ちょっと右に回して、Voffset≒0.14V)に設定し、DCモードにすると、ZERO点がシフトし画面上
   から波形が見えなくなる。
  ・ここで、主オフセット調VRを回して、ZERO点を移動すれば、画面中央に矩形波が表示されることを確認した。
  ・ここで、同じ2ndアンプの倍率(この場合、1倍)に相当するレンジであればレンジを変えても、ZERO点が動くことはないが、
   異なる倍率(x2,x5,x10)に相当するレンジにすると、ここでもZERO点がシフトしてしまうので、主オフセット調VRで中央に
   波形が表示されるようにシフトが必要だが、シフトできることを確認した。
   → これを回避するためには、増設オフセット調VRの調整を次のようにすればよいのかも?
    @ GAIN最大(2nd:10倍x3rd:10倍=100倍)に相当するレンジ:15mV/Dにして、増設オフセット調VRを合わせたらどうか?
      (GAINが低いレンジでZERO調すると、GAINを上げた場合、ZERO調で取り切れてない分が拡大される可能性がある。)

  ・先に進める前に、1つソフトを変更しておく。
   それは、操作上の問題で、画面上の、時間軸レンジ及び、電圧軸レンジ表示と、設定ロータリーDIP_SW(TSW, VSW)の
   位置関係がクロスしているため操作しずらい。
   → 画面上の表示ロケーションを逆に変更した。

  <DCモードの問題調査続行>
  ・GAIN最大(2nd:10倍x3rd:10倍=100倍)に相当するレンジ:15mV/Dにして、増設オフセット調VRを合わせても、他レンジへ
   切替えた時はZERO点がシフトしてしまうようで、波形が画面外になることあり。(特に倍率の高いレンジに於いて顕著)
   その時は、主オフセット調VRを動かせば、画面中央に波形を移動できるので、GAIN+ATTの組合せでレンジ切替しているこの
   方式では、このように使うしかないのかなと思う。
   (
2ndアンプのGAINを1倍に固定して、ATTのみでレンジ切替をやれば多少は改善されるかもしれないが、ここまでハードを作り
   込んでしまったので今回は改造を見送ることにした。


  <DCモード時の問題その2>
  ・CMOS_IC出力等の直流出力:3.3Vの1kHz矩形波を、DCモードで入力して表示すると、波高値で、倍の6V位を示す??


■ 2012.03.14
  ・今日は、DCモードにて思いつくままデータ取りを行ってみることにした。
   (1) 電池(VR可変)での、DC電圧入力
    <条件>
     @ トータルGAIN:10倍(2ndアンプ:1倍)
     A Voffset1=0.172V, Voffset2=0.307V(Voffset1=2ndアンプのトリマ調、Voffset2=3rdアンプのトリマ調)
     B 
レンジ表示: DC 1.5V/D
     C 2ndアンプの、AVCC=Vref=2.84V

  ・結果から見ると、DCモードの場合、表示レンジの半分が、DCモードでの、電圧レンジとなることが判る。(この場合、0.75V/Dと
   読替えれば合う。)
   精度は良くないが、途中の電圧も比例表示している。
   (以前のADCの実験で、DC入力の、AD変換値が、AC入力時のAD変換値より多目になることは何回も確認されている→ ADの
   特性なのか原因は不明のままだが・・・・)

   ※ 131126 修正更新
    ・上記の「
以前のADCの実験で、DC入力の、AD変換値が、AC入力時のAD変換値より多目になることは何回も確認されている→ ADの
     
特性なのか原因は不明のままだが・・・・」という記述は、私の思い違いでした。
     その背景・理由については、
実験テーマ36の、冒頭(2013.7.30)の朱書きコメントを、参照してください。

  ・電池の極性を逆にしてマイナス電圧を入力した場合
  → 入力0VをVoffset2で画面の最上位線に合わせると、-3.00Vを入力
  した時、最下位線まで輝線が移動し、途中の入力電圧も比例して表示
  することを確認

  <実験から判った対策>
  ・DCモード時は、ATT出力を1/2にするバッファアンプを追加してACでもDCモードでも表示レンジが合うようにする。
  
 (※ 131126 修正更新: この記述も思い違いでこのように対処しましたが、実はその必要はありませんでした。
                   
その背景・理由については、実験テーマ36の、冒頭(2013.7.30)の朱書きコメントを、参照してください。)

  <DCモード改造後の結果>
   <条件>
    @ トータルGAIN:10倍(2ndアンプ:1倍)
    A Voffset1=0.172V, Voffset2=0.386V
    B レンジ表示: DC 1.5V/D
    C 2ndアンプの、AVCC=Vref=2.837V

  ・電池入力のDCモードで上手く行ったので、DCモードでの矩形波入力でも確認してみた。
  <結果>
   @ CMOSレベル 3.3V_DC → OK
   A TTLレベル   5V(4.5V)_DC → OK
   B DACによるDC出力(Vref=2.5V) 2.5V_DC → OK 

   ※ 以下に測定結果の写真を示す。(下から2本目のラインにZEROを合わせてます。)


■ 2012.03.15
  ・今日は、ACモードのチェックとして、全波整流出力(コンデンサ無し)を、ACモードとDCモードのチェックとし、全波整流出力に
   コンデンサ:0.22uを追加しその直流分をDCモードで、リップル分をACモードで確認してみた。
   ターゲットハードとして、だいぶ前に購入した充電器を使うことにした。
   (公称DC6V出力のもので、全波整流出力(コンデンサ無し)構成)

   結果の写真を以下に示す。


■ 2012.03.18
  ・バックライトONにて、波形取りをしてみた。(今日はACモード中心)
  <観測コメント>
   @ サイン波は、自作ファンクション・ジェネレータ(Fo範囲:10Hz〜20kHz)を使用しているため、20kHzから少しずつレベル
      が下がっている。
   A これから見ると、50kHzまでは使えそうである


  ・また、バックライトONで、AVCC=Vrefが落ちないか確認してみた。
  → 全く問題なし:2.840V (ちなみに-AVCC=-3.168V)

  ・理論的に,まだまだ未解決な部分もあるが、一応考えた通り動いたので本件はこれで、CLOSEすることにした。
  ・尚、第3章として、HOLD機能・SINGLEトリガ機能を追加したソフト・バージョンアップ記の実験テーマ15を予定
   しています。(どうなることやら・・・)
  


<最終回路図>
 ・前回の実験テーマ13(第1章)にて公開済なので省略します。

<最終ソース>
 ・こちらから、どうぞ→ Scope_V2.c


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