● 実験テーマ116
「MCカートリッジ用、昇圧トランスの実験」
(昔懐かしい山水の小型インプット・トランス:ST-12Aによる安価な、MC昇圧トランスの実験です。)
以下、この実験の顛末記です。
■ 2019.5.21
・もう15年以上前になるか?、秋葉原のワシントンホテルの並びにあった、ラジオセンター内の音響製品専門の
お店で、DENONの、MCカートリッジの定番(放送局でも使われているらしい):DL-103を購入しました。
当方が所有する、DL-103がアルミ製のヘッドシェルに取付けられた状態の写真を以下に示します。
これを、YAMAHAの、プリメインアンプ:AX-900の、MC EQ
AMPを通して聞いていました。
ところが何時しか、MC EQ部(と言うかMM部も)が不調になり、聞けなくなりました。
その後、MM EQ AMPは、自作して、MMソースは聞けるようになりましたが・・・
MCソースを聞くためには、昇圧トランスか、MCヘッドアンプが必要になるのですが、どちらも結構な価格です。
WEB検索している内に、昇圧トランスの自作記事が目に留まり、自分でも試してみようと思い立ちました。
参考にしたサイトは以下です。
@ ぺける氏(木村 哲さん)のサイト「情熱の真空管より」
A Casa Milleサイト「MCヘッド・トランスを作る」
・DL-103を使い、昇圧後の、EQアンプの入力インピーダンスは、一般的な47kΩの条件で設計されています。
上サイトに書かれているポイントを整理すると以下のようになります。
@ ST-12Aの、1次側インピーダンス=100k・2次側インピーダンス=1k(巻き線比=10:1)を逆にして、
2次側を入力・1次側を出力として使い、10倍の昇圧(0.3mV
x 10= 3mVで、MMレベルまで昇圧)を得る。
A F特測定の際には、DL-103の、電気インピーダンス=40Ωを考慮し、SG出力に、47Ωのシャント抵抗を接続。
B また、1次側(出力)の負荷抵抗=47kとする。これだけだと高域の、20kHzから先にピークが現れるので、
100kΩの抵抗を挿入して出力インピーダンスを下げ、ピークを抑える。
C シールド効果を狙い、カット銅基板の上に、トランスを直にハンダ固定する。
■ 2019.5.23
・出来るだけ安く作ろうと思って、トランス以外の部品は、全て、aitendoから選び発注しました。
主なパーツは、以下です。
@ ケース:C90X70X28 : 295円 : プラスチック製 ちょっと小さ目なサイズ
A カット銅基板:CB70X50X1.2D : 50円 : 適当なサイズにカットして使用
B FGターミナル:TM-4G : 100円 : 金メッキ製の高級感あるタイプ
トランスは、秋月で1個税込み720円なので、2個で1440円
これでも、送料と消費税・手数料含め、トータル3500円ほどの出費となりました。
■ 2019.5.25
・ST-12A単体の、利得(昇圧倍率)を、実測してみました。
2次側入力に、自作の、ファンクション・ジェネレータ:FG_V2を、1次側出力に、自作オシロ:Oscillo_V6又は、
自作AC電圧計を、接続して測定しました。
尚、1,2次の、GND線(緑)は、接続せず、フローティングにしました。
結果は、自作AC電圧計の、最小レンジが、999mVなので、微小電圧の精度が、あまり良くないこともあり、
アバウトですが、Vin= 4mVrms@1kHzで、Vout= 55mVrms@1kHzになり、約13.6倍となりました。
10倍は、確保されているようです。
1,2次フローティング状態で、測定しましたが、特にAC誘導による波形の揺れは、気にならないレベルでした。
・以下の測定時回路にて、F特も測定してみました。
結果、フラット領域≒ 50Hz〜 26kHz(18Hz-3dB, 30kHz-0.5dB程度)で、まずまずでした。
■ 2019.5.30
・カット銅基板の上に、トランスを直にハンダ固定し、内部配線完了。
オーディオ・システムにセットして、早速試聴しました。
普段聞いている小さ目の音量では、ハム音は気にならないが、少し音量を上げると、ややハム音が
気になりました。
しかし、MCトランスBOX本体と、MM EG
本体を縦置きにしたら、改善されたので、暫くはこれで聞いてみます。
(本ページ冒頭の写真は、未だ横置きにしている時のものです。)
無論、GND端子は、プリメインアンプの、FG端子に接続してあります。
昇圧レベルは問題なさそうですし、音質も、まあ癖もなく素直で自分好みの音を出してくれていると思います。
<回路図>
・こちらからどうぞ→ 「MC昇圧トランス実験」
← 実験テーマ1に戻る TOP PAGEに戻る 実験テーマ117へ →