● 実験テーマ95
「イコライザ・アンプ(MM)の実験と製作」
(久しぶりにレコードを聞きたくなり、トランジスタ構成のMM型カートリッジ用イコライザ・アンプを製作してみました。)
以下、この実験の顛末記です。
■ 2017.8.15
・久々にオーディオ関係の工作をしてみようと思いました。
学生の頃(昭和46年頃の専門学校在学中)からオーディオには興味があり、当時流行っていた
「マルチ・チャンネル・アンプシステム」を自作アンプ等で構築し、当時はレコード再生を楽しんでいました。
それから47年経った現在、使えそうなのは、YAMAHAのプリメイン「AX-900」と、DENONのレコードプレーヤ
「DP-2500」位になってしまいました。
レコードプレーヤは、一度ターンテーブルが回らなくなったのですが、だいぶ前に自力で修理
(オンボード・ヒューズとトランジスタ交換)し、現在でも問題無く動いてます。
あやしいのは、プリメインの方なのですが、何とかイコライザ部も、動いており、MC型カートリッジも
使えている状態ではあります。
しかし、切替えSWの接点不良もかなり進んでいるようで、上手く動かない時もあったりで不安もあります。
・そこで、MC型のイコライザは高価になるしお手軽ではないので、MM型対応のイコライザアンプを
自作してみようと考えました。
初めは、手軽にオペアンプで作ろうと思ったのですが、電源が両極性になるのがいやなのと、
当時を思い出して、オールトランジスタで組みたくなったので、それで行くことにしました。
丁度良い例が、マルツの「マルツ パーツまめ知識 フォノイコライザーアンプの製作」というページ
にあったので、電源部を除いて、そのままの、NFループにEQ素子を入れた回路(2石直結アンプ+エミッタフォロワ)
で作りました。
電源だけは、ACアダプターダイレクトはやめて、ノイズの点で有利な、3端子レギュレータによる
ドロッパー式15V単電源にしました。入力は、DC24Vの、ACアダプター:GF18-US24075-Tを使いました。
■ 2017.8.17
・自分用の回路図を、水魚堂で作成し部品を手配した。
電解コンデンサ(電源部のは除く)は、オーディオ用の少々割高なものを使用。
また、EQ素子に使う、1500pと、5600pのフィルムコンデンサも、マルツ販売の、
やや割高のもの(ニチコンのQYXシリーズのポリエステル(マイラ)コンデンサ)を使用した。
この2つのマイラコンは、取り寄せ品で、5日ほど納期が掛かる。
■ 2017.8.19
・秋月手配分のパーツは届いているので、ざっと部品配置と、ラフ書きで、手配線パターン計画図を
作成した。
■ 2017.8.28
・先週末に、取り寄せ部品が届き、この日に部品実装が上がった。
・まず、RCAジャック入力を、GNDに落として、各部のDC電圧を確認した。→ OK
※ 電源電圧: 15.24V(入力=24.0V)
(1) L-CH
Q1-B:0.58V, Q1-E:0.08V, Q1-C:1.34V, Q2-C:8.1V, Q2-E:0.80V,
Q3-E:7.42V
(2) R-CH
Q4-B:0.58V, Q4-E:0.09V, Q4-C:1.35V, Q5-C:8.0V, Q5-E:0.82V,
Q6-E:7.33V
・次に、RIAA特性(再生側)を、自作「FRAもどき:easy_fra_v2」で確認してみた。→ OK
+側が10dBまでの表示なので、1kHz入力時のレベルを、-10dBにして測定しました。
左の規格表とほぼ合っているようです。
・1kHzに於ける、GAINも測定してみました。
約30dB(31.62倍)の設計になっているので、ほぼOKです。
約5mV入力で、約150mV出力になりました。
・最初、RIAA特性確認の時、L-OUTが、出なかったり、高域の減衰カーブが落ちない症状が出ましたが、
いずれも単純な配線ミスでした。割と順調に出来た方だと思います。
■ 2017.8.29
・基本特性が確認出来たので、今日は、アルミ底板の加工と、全体的な筐体(アクリルパネル+アルミ底板を、スタック
させた簡単な構造)の組立てを行った。
■ 2017.8.30
・このページ冒頭の写真にあるように、実際に、レコードプレーヤと、アンプ内蔵のモニタースピーカー(DTM用)
に接続して、久々に、レコードの音を聞いて楽しみました。
40年以上前に、勤めていた会社の近くのレコード屋さんで購入した、モーリス・ルクレール楽団のLP
「スクリーン・ミュージック・カスタム・デラックス」も聞いてみましたが、古い割には板の状態が良かったのか、
音飛びもせず最後まで、聞きやすく素直な音色を楽しめました。
まあ時々チリチリと、針がトレースする時の雑音は入りますが、それはそれで味があり耳には心地よいものです。
<回路図>
・こちらから、どうぞ→ 「フォノ・イコライザ・アンプ(MM)」