平成28年10月から施行される健康保険法、厚生年金保険法の改正に伴い、短時間労働者(パート)の社会保険加入が拡大されます。どのような労働者が対象になるかについては法律(健康保険法3条、厚生年金保険法12条、平成24年改正法附則17、46条)では次の1.,2.のどちらかを満たす場合とされています。(要約)
この法律に基づいて省令の改正省令(適用拡大省令)が3月31日に公布されました、それと共に具体的な判断基準についての通達「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に係る事務の取扱いについて」(平成28年5月13日年管管発0513第1号、直接のリンクはできなくなりましたので厚労省の通知検索ページにおいて”年管管発513001号で検索してください。)が通知されました。また日本年金機構も「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集」を発表しました。
本稿では、この通達とQ&A集の内容を要約します。文中【通】は通達、【Q】はQ&A集、【則】は適用拡大省令を根拠にしていることを表します。また文中「施行日」とは平成28年10月1日のことです。
今までは4分の3基準を満たさない場合でも「労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等を総合的に勘案して被保険者として取り扱うことが適当なものは、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う」とされてきましたが、今後はこの曖昧な取り扱いが無くなり、週所定労働時間と月所定労働日数のみで判断されます。
ただし、残業等を除いた基本の労働時間、労働日数の実態が直近2か月で4分の3基準を満たし、今後も継続することが見込まれる場合は4分の3基準を満たすとして取扱うことになっています。【通】
また所定労働時間又は所定労働日数を明示的に確認できない場合については、事業主等から聴取の上、個別に判断することになっています。【通】
週所定労働時間が20時間以上という判断に基準については、雇用保険適用の判断に用いられてきた基準を踏襲するようです。具体的には次の通りです。【通】
ただし4分の3基準の場合と同様に
とされています。【通】
この基準が最も不明解で、通達によってもしっくりしないのですが、一応まとめます。
報酬からは次のものを除きます。すなわち標準報酬月額算定時の報酬の考え方とは異なります【通】。
報酬に入れる範囲が上記のように異なるだけで、算定方法は資格取得時の標準報酬月額の算定方法(厚生年金保険法22条等)と同じです。具体的には次の通りです【通】。
なお日給、時間給、出来高給の場合で原則の方法で算定困難な場合は就業規則や雇用契約により個別に算定します【通】。
以下の通りです。【通】
法人の事業所の場合は、同一の法人番号を持つすべての適用事業所の被保険者総数が12か月のうち6か月以上501人以上であることが見込まれる場合。【Q】
個人事業の場合は適用事業所ごとに判断し、被保険者総数が12か月のうち6か月以上501人以上であることが見込まれる場合。【Q】
次の者は学生と扱いません【則】
初稿 | 2016/6/20 |
変更 | 2016/7/16 |
●通達のリンク削除、検索法追加 |