ユッカスヤルビ/氷のホテル(Jukkasjarvi/Ice Hotel)


氷のホテル


朝(といっても9時ぐらい)空を見上げると青空。 オーロラを見るチャンスも今日で終わりだもんな〜。
「この天気が夜まで続いて、今日こそオーロラが見れますように」
星ならぬ空に願掛けし、荷物をまとめる。

今日は氷のホテルに泊まる予定。
氷のホテル・・・どんなんだろう。期待半分、不安半分。

まとめた荷物はコテージの入り口(外)に置き、レセプションへ行く。
送迎車が荷物をまとめて取りに来てくれるというが、個人旅行になれているせいか、荷物を自分の手から放して、外に置いておくというのには不安がありぞう。

Pi-子:おはようございます。
スタッフ:おはようございます。今日はユッカスヤルビに移動ですよね。まだ全員そろってないのでお待ちください。
Pi-子:氷のホテルはやっぱり寒いですかね。
スタッフ:寒いとは思いますけど・・・でも空気が乾燥しているので体感温度では-20℃でも-5℃ぐらいに感じるみたいですよ。

−5℃も十分寒いんですけど・・・(^_^;)

貴ちゃん:おはようございます。
妙ちゃん:おはようございます。
スタッフ:おはようございます。これで全員揃いましたね。
Pi-子:氷のホテル宿泊組はこれだけなんですか。

初日見た感じ20人ぐらいはいたと思ったんだけど。
偶然とはいえ、昨日同じメンバーなんだな。

ユッカスヤルビ、「人々の集まる場所」という意味ですが、人口は600人。
その小さな町に世界的に有名な氷のホテルがあります。

貴ちゃん:私たちの申し込んだ旅行社の社員が新人くんでさ、「ユッカスヤルビの氷のホテル」 って言ったら「ユッカスカルビの氷のホテルですね。」なんて言ってたんだよ。
Pi-子:何やらおいしそうな地名。



4人だったのでタクシーでGO!


約1時間あまりでユッカスカルビ・・・いや、ユッカスヤルビに到着。
お約束でタクシーは氷の道をばんばん飛ばしてくれた。
しかし「スリップ事故が怖くないか?」と聞いたら「トナカイの飛び出しの方が怖い」と言っていた・・・世界が違う。

ガイド:みなさん、ようこそ氷のホテルへ。
おおっ、またしても日本語で歓迎されたぞ。しかも、ここでも女性。
帰国後分かったのですが、ドゥンドレッドのスタッフさんも氷のホテルのガイドさんも*1ノーザンエキスプレスという北欧専門の旅行社の人であります。
北欧の日本人を対象にした旅行を取り仕切っていて、日本でHI○で申し込もうと○TBで申し込もうとこちらが関わっているとのことです。

ガイド:氷のホテルの案内と施設、寝袋の使い方を説明します。
全員:は〜い。

他の日本人宿泊客も混じって、ガイドさんの後をついていく。

最初はロッカールームへ。
ガイド:こちらは宿泊のお客さま専用の荷物保管室です。ご自身の部屋の番号が書かれたロッカーがご自分にお荷物を入れてください。
Pi-子とピッキーの部屋は1番だったので、「1」と書かれたロッカーに荷物を入れる。
スーツケースを2つ入れてもまだスペースがあるぐらい大きなロッカーだ。

ガイド:ここは24時間開いているのでいつ来ても結構です。またこの部屋は暖かくなっているので、寒く感じられた場合にはここで暖をとってください。 それから寝袋の使い方ですね。
寝袋を取り出す。
ガイド:この寝袋は極寒用なので中はTシャツなどなるべく薄着になってお休みください。まずはシーツをセットし、中に入ってチャックをあげてください。 注意してほしいのは、寒いからといって口元まで被らないでください。口・鼻をふさいでしまうと自分の息が水蒸気となり、凍ってしまいます
自分の息が凍るんだ・・・(^_^;)

ガイド:ベッドにトナカイの毛皮が敷かれているので、その上に寝袋に入ってお休みください。脱いだ服は トナカイの毛皮と寝袋の間に挟んでお休みください。そうしないと冷たくなって着れなくなってしまいます。
まさに氷の世界。

ガイド:次は氷のホテルの中へご案内します。
いよいよ、氷のホテルだ。
入り口のドア(ドアはトナカイの皮で覆われて、取っ手はトナカイの角でできていた)を開けて足を踏み入れると・・・寒いっ!冷気を感じる。
ガイド:氷のホテルは常に−5℃に保たれています。今日は暖かいので(+5℃ぐらい)中に入ると寒いと感じますが、 外気温が−20℃の時などは中に入ると暖かいと思いますよ。
Pi-子:あ・・・あの・・・−20℃の日って、けっこうあるんですか?
ガイド:今年は暖冬なので、あんまり。ここも異常気象でね、最近ではスウェーデンの北よりも南の方が寒いんですよ。 でも寒いって思うのは温度よりも風ですね。冷たい風が吹くと本当に寒いです。

冷たいのは世間の風だけじゃないんですね。

ガイド:氷のホテルは一般公開されているので18:00まではいろいろな部屋へ自由に入っていただいてかまいませんが それ以降、19:00を過ぎたら他の部屋へは絶対に入らないでください。
ドアをつけると凍ってしまうので、部屋と通路のしきりはトナカイの毛皮でできたカーテンでできていて、入ろうと思えばどこの部屋へも入っていけるんですよね。
もっとも貴重品はロッカーで暖かく保管されいますが。

ガイド:スイートルームはすべて違うアーティストが手がけているので、後で各部屋を見てまわってください。 氷のバーへご案内します。
各国のいろんな雑誌・TVなどで紹介された氷のバー、文字通り壁、天井、テーブル、イス、カウンター・・・すべてが氷で出来ている。
ガイド:グラスも氷ですよ。1杯目はグラス込みの値段ですが、同じグラスを使えば2杯からはその分割引になります。
グラスも氷とは・・・凝ってますね〜。

次に案内されたのは氷の教会。
ガイド:氷と雪でできた教会ですがスウェーデン教会に正式に登録されています。神父さんもいて、挙式も可能なんですよ。
貴ちゃん:Pi-子さんとピッキーさん、結婚式挙げてないんだったら、ここで・・・
Pi-子&ピッキー:いや、いい。
(きっぱり)

ガイド:以前、雪とか氷とか見たこともない国の人がここで挙式した時、どのくらい寒いのかがよく分からなかったらしく、 花嫁は自国で調達した背中のあいた薄手のウェディングドレス、参列者も薄いワンピースやミニスカという格好だったことがあるんです。 その時はさすがに神父さんが見かねたらしく、ヴァージンロードは早足で歩かせ、すごい速さで聖書を読んで、スピード挙式をしたことがありましたよ。
そんな結婚式したくないっ。


次は裏手にまわり・・・
ガイド:右手に見えるのは今年からオープンした「アイスグローブシアター」です。グローブ座といってもシェークスピア以外の 芝居やコンサートを開くこともありますが。
じっとして見ているには、かなり寒そうなんですけど・・・

グローブシアターの横には氷原が広がっていた。夏は川なんだろうけど・・・
ガイド:氷のホテル建設には3000トンの氷と3万立方メートルの雪が使用しています。その氷はすべてこのトルネ川 から切り出しているのです。トルネ川の水はきれいなので良質の氷になるんです。
川の真ん中を見るとちょうど切り出し中でショベルカーなど重機が見えた。
3000トンの氷が取れるぐらいだから重機が乗ったってへっちゃらなんだろうが・・・
Pi-子:氷が割れることはないんですか?
ガイド:時期にもよりますが、今はまずないでしょうね。戦車が乗っても平気だっていうぐらいですから。

そう、スウェーデンの軍隊は冬は湖や氷の上で演習をやるそうなんです。

それから氷の上にもうひとつ、小さな小屋が建っているんですが、あれは何?ヒノキのお風呂みたいのが見えるけど。
ガイド:あれ?あれはお風呂ですよ。近くに行ってみますか?

近くへ行くとおじさんがウェットスーツを着て、作業していた。
ガイド:珍しい。今日はちゃんと服着てる。
Pi-子:珍しいってことは・・・普段は服、着てないんですか?
ガイド:けっこう寒い日でもすっぽんぽんなんですよ、この人は。


おじさん、ガイドさんと一言、二言話すと、私たちにパンフレットをくれた。(左写真)
裏には日本語で説明(?)が書いてある。

「アイスホテルの裏にある凍ったトルネ川。その川の上に建っている小さな小屋・・・ユッカスヤルビで最もエキサイティングなアクティビティーです!!!!
先ず、サウナで一汗かいてから、真冬の川の中にダイブ!そして、その後に暖かい露天風呂(これがヒノキのお風呂もどき)で暖かい飲み物を飲みながら ゆっくりくつろいでみて下さい!」

ガイド:この間来たお客様でお風呂に入りながらオーロラを見た、っていう人がいますよ。

氷のホテルの案内はこれで終わり。
今日は部屋で自炊するわけにもいかないし、最後だから奮発しちゃえ〜!
ってことで氷のホテルレストランでディナーを予約する。
レストランはさすがに普通の建物で氷ではありませんでした。

その後、キルナの街へ出て、お土産など物色する。


夜になりました

"IceHotel Restaurant"で待望のトナカイのステーキを食す。
硬いのかと思っていたら、いやいや、柔らかくてたいへんおいしゅうございました。

これでオーロラが見れればいいんだけどね〜と思いつつ、そり(氷のホテル敷地内なら使用・乗り捨てもOK)に乗ってトルネ川へ移動する。
昼間、ガイドさんが・・・
ガイド:トルネ川には他に邪魔な建物も光もないし、きれいに見えますよ。
って言ってたから。
しかし邪魔する建物も光もないんだけど・・・雲が邪魔してるんだよね・・・昼間は雲ひとつなかったってのに・・・

そり遊びは楽しいな〜っと(泣)

Pi-子:いや〜、この「そり」さぁ、乗ってみたかったんだよね〜、街中でおばちゃんとかが乗ってるの見てさ。
ピッキー:そうそう、おばちゃんとかおばあさんが乗ってるよね。ショッピングカートみたいなもんなのかな。
Pi-子:ここでは車輪のあるものより、そりが冬の必需品なんだよ。
ピッキー:そうだよね〜、あ〜、楽しいな〜、そり遊び。

誰が見ているわけでもないというのに「オーロラ見に来たんじゃなくて、そり遊びしに来たんだよ」というフリをする。

ざっ、ざっ、ざざ〜

しばらくヤケになって、そりで遊ぶ二人。

Pi-子:あっ、あれ、貴ちゃんじゃない?
ピッキー:貴ちゃんも「そり遊び」しに来たのかな?
(←くどい)

Pi-子:貴ちゃ〜ん!
貴ちゃん:あっ、Pi-子さんとピッキーさん。今、お風呂に入ろうと思っておじさんのとこに行ったんだけど、もうおしまいだって。がっかり。
Pi-子:ところで、妙ちゃんは?
貴ちゃん:気分悪いから休んでるって。カゼひいたのかも。
Pi-子:休んでるって、部屋で?寒くてとても休めないよ。
貴ちゃん:荷物保管室にいると思うけど・・・
ピッキー:オーロラも見えそうにないし、中に入るか。


氷のグラス。この場合はイン・ザ・ロック
手前の緑のカクテルはピッキーがオーダーした
「ノーザンライト(オーロラ)」

ロッカールームで妙ちゃんと合流。
大丈夫そうだったので、氷のバーへ行ってほとんどヤケ酒。

貴ちゃん:来る前にHPとか見ていたら、ほとんどの人がオーロラ見た!って言ってるんだよね。
Pi-子:そうそう。3日に1.66回の割合で出るっていうし、4日見るチャンスがあれば1日ぐらいは見れるかな、って思ったんだけどな・・・
ピッキー:でもそれは確率の問題だから。毎日見れる時もあれば、1週間見れない時だってあるわけだろ。
Pi-子:そうなんだけどさ〜

昨日、おばちゃんから聞いた「自分たちより前に来ていた人たちは毎日オーロラが見れた」という言葉を思い出した。
そうゆうもんなんだよな〜。

妙ちゃん:オーロラ見たかったな〜・・・
貴ちゃん:今度はお金と時間に余裕がある時にして、見れるまで滞在してようかな〜・・・
Pi-子:でも北欧は物価が高いから・・・

消費税が16%〜25%という割合。恐るべし福祉国家。

氷のバーのカクテルはほとんどウォッカベースの強いお酒でしたが、顔がぜんぜん赤くならなかったのは、寒さのせいだったと思います。

荷物保管室(ロッカールーム)に戻り、寝袋とシーツをもらって各自部屋へ。

ガイドさんに言われた通り、寝袋の中に袋状のシーツを入れて、その中に自分の体を入れる。
よいしょ、よいしょ、っと。
次に中からファスナーをしめて・・・と。

Pi-子:ガイドさん帽子はかぶって寝るように、って言ってたよね。
ピッキー:うん。頭から熱が逃げていくからね。

帽子をかぶって、寝袋かぶって・・・これでOK。

Pi-子:おやすみ〜
ピッキー:おやすみ〜


寝袋の中は暖かいし、快適、快適・・・

いや、でもね、鼻が冷たいんだよね。
鼻がつ〜んとして眠れないよ、これじゃ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ガイドさんはやるな、って言っていたけど、ちょっとだけフェイスマスクしちゃおっと。眠る寸前にとればいいよね。

・・・と思っても「眠る寸前」なんてとれるわけがなく、そのまま睡眠へ・・・ZZZZZ


冷たいっ!

口元の寒さで目が覚める。
フェイスマスクは凍ってはいないもの、かなり冷たくなっていた。

危ない、危ない。このまま眠るところだった。
フェイスマスクははずす。

鼻が冷たいけど、これで寝るしかないな〜

「塗るホッカイロ」ロッカーの中に置いてきちゃたけど、あれ持ってこようかな。
でも寝袋から出るの寒いし、めんどくさいな〜・・・

寝袋の中であれこれ考え込む。
そう、一旦目が覚めたら眠れなくなってしまったのです。

この状態でトイレに行きたくなったら最悪だな〜・・・

ピッキー:ZZZZZZZZZZ・・・
ピッキーのヤツ、よく寝てやがる。
こうゆう場合、眠れるのはPi-子の方だと思ってたんだけどな

すっかり目が冴えちゃった。

なんか、トイレに行きたくなってきた気がする。
でも寒いし、寝袋から出るのめんどうだし、どうしよう。

いろいろ考えていたら、ますます眠れなくなっていく。

朝まで眠れないのはつらいので、やっぱりトイレに行ってこよう!
・・・でも寝袋から出るのヤだな〜・・・

寝袋ごと飛び跳ねてトイレに行こうか・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やっぱり、誰かに会ったらまずいから、ちゃんと寝袋から出よう。

寝袋から飛び出し、ダウンをはおり、ダッシュでトイレに行く。

ちなみにトイレは荷物保管室の横、暖かい建物の中にあります。

ふぅ〜、少し荷物保管室で暖をとってもいこうかな・・・
という考えが頭の中をかすめたが、そんなことをしていたら部屋に置いてある寝袋が冷えて、中に入れなくなってしまう! ので、「塗るホッカイロ」を大量に鼻に塗りつけると、ダッシュで部屋に戻る。

再び、寝袋に入り、眠ろうとするが・・・すっかり目が冴えちゃって眠れやしない!

こうして朝まで
眠れない → 鼻冷たい(塗るホッカイロつけたって寒いもんは寒い)→ トイレ行きたい → 眠れない
を繰り返したのでありました。

(Pi-子)

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*1ノーザン・エキスプレス 北欧専門の旅行会社。こちらのHPを見ていると思わず旅に出たくなります。

  ICEHOTEL 氷のホテルのHP。ウェブなら寒い思いをせずに美しい氷のホテルを見ることができます。(スウェーデン語/英語)