トーキー(Torquay)
アガサ・クリスティの胸像(後ろはパビリオン)
6月1日(土)
昨日で授業が終わり、今日はペイントンで過ごす最後の日となるのだが・・・
メイシー:ねぇ、土曜日はトーキーへ行かない?
・・・という誘いにのって、トーキーへ行くことにする。
ペイントンにいてもヒマだしね。
当日、待ち合わせは"Round-Robin"へ行った時の蒸気機関車の駅。
なぜこの場所にしたのかというと・・・
メイシー:おはよう、Pi-子・・・わっ、何この機関車?
メイシーが驚くのも無理はない。
機関車は機関車でも今日はイベントで
「機関車トーマス」
になっているのだから。
Pi-子:数日前に通りかかった時にチラシが貼ってあったから知ってたんだけど、すごいね。本物の機関車のトーマスだわ。
イギリスは蒸気機関車発祥の地であり、古い物を大事にするというお国柄からか、蒸気機関車を普通に走らせている路線「保存鉄道」が全国数ヶ所に存在していまして、 休日にはイベントとして「トーマスの日(Day out of Thomas)」が催されることがあります。
機関車の前面にトーマスの顔つけただけだろ!と思いますが、お好きな人にはたまらないかと・・・。
このイベントはイギリス中の保存鉄道を順番に開催しているんだとかで、毎週はやっていないので、見たいという方は事前にチェックしてから出かけください。
メイシー:Pi-子、トーキーは行ったことある?
Pi-子:もち、あるよ。
「ブリンクセン」でちょっと触れましたが、ペイントン、トーキー、ブリクセンの3つの町をまとめてトーベイ(湾)と呼ばれていまして、 その中でトーキーは一番「都会」で「観光地」なので行く機会が多いのです。
メイシー:歩いて行ったことは?
Pi-子:あるよ。
メイシー:じゃあ、今日も歩いて行こう!
・・・ブリクセンの半分ぐらいの距離だから、構わないけど・・・けっこうアップ・ダウンが激しいのよね・・・(^_^;
こうして徒歩でトーキーへ
歩きながらちょっとトーキーの説明を。
トーベイは
イギリスの中では
「気候が最も温暖な地」と言われてまして、19世紀半ばに裕福な人々が療養地として訪れ、一大リゾートでした。
しかし、今ではイギリスの外の「温暖なリゾート地」に行けるようになり、だんだん寂れていってしまったようです。
トーキーを気に入り、住み着いた"19世紀半ばの裕福な人々"の中の1人にフレデリック・アルヴァ・ミラー氏という方がおりますが、 有名なのは彼ではなくて、その娘、ミステリーの女王
アガサ・クリスティー
であります。
トーキーは彼女の生まれ、育った地であり、自伝の中で「幸せで理想的な子ども時代を過ごした」と語っています。
1時間ぐらいだっただろうか、トーキーに到着。
プリンセス・ガーデンのベンチで一休み。
メイシー:ふ〜、疲れた。
Pi-子:うん、疲れたね・・・あ、そこに"ザ・パビリオン"って建物があるじゃん。そこって昔はオペラ・ハウスだったんだって。
メイシー:ふぅん。今は?
Pi-子:ショッピング・センターみたいだね。
メイシー:一休みしたら行ってみようか。
トーキーがリゾート地として華やかだった頃に建てられた物で、若き日のアガサ・クリスティもここでコンサートを楽しんだそうです。
中に入ると「ハイソなお店」が並んでいまして・・・
メイシー:高いね・・・。
Pi-子:うん、高いね。
建物の内装を見るのが目的だったんだからいいんだ・・・と、とりあえず店内を一周してから何も買わずに外に出る。
ま、しかし、オペラ・ハウスとしてオープンしたのが1912年だっていうから1世紀近く建ってるんだな。
建物の中だけ変えて、外観はそのまま使うっていうのがイギリス的だ。(古くなったら修復はするんだろうけど)
お次はトーキー・ミュージアムへ。
ここも昔の建物を改装したのだろうか?"博物館"という建物にしてはかわいい。
ヴィクトリア朝のエントランス・ホールを進んで行くと階段の真上に・・・いきなり
凧?
大凧に人が乗っていて今にも矢を放ちそうなポーズをとっている。
これは日本か、中国か?
説明を読むと"Japanese man-kite" "東洋からの収集品"とあるので日本のものみたいです。
但し西洋的な味付けがされている気がしますが。(^_^;
階段を上って2Fのホールに入ると考古学のコーナーになります。
約4億年前のものと推定されている海の動物の化石から始まり、この辺りが海→ジャングル→砂漠→氷河と変わっていったことを示す 鉱石、次は動物とそれらを狩る人間の暮らしへと時代が進んで行きます。
3Fに上ると時代はさらに現代に近づき、18〜19世紀のトーキー周辺の農家の暮らしを再現したコーナーとなります。
Pi-子:なんか普通の博物館だね。私はこの博物館にはアガサ・クリスティのコーナーがあって、お芝居で実際に 使われた台本やら衣装やらが見れると聞いていたのだけど・・・
メイシー:そうなんだ。私はアガサ・クリスティのファンじゃないから、別にいいけど。
いや、私もファンというよりはただのミーハーなんだけど。
さらに進んで行くと・・・ありました、
アガサ・クリスティのコーナー
アガサ・クリスティの娘時代からおばあさんになるまでの写真の数々。
裕福な家庭だったからか、娘時代の写真がけっこう残っています。
当時の街の様子も見られるので、それも楽しめます。建物が多少外装を変えた程度で残っているのでよく分かります。
それから、お芝居で、映画で、ドラマで使われた小道具に衣装。
アガサ・クリスティの映画ってちゃんと見たものは「オリエント急行殺人事件」と「そして誰もいなくなった」ぐらいなので、感動が薄いな・・・。 (ファンの方すみません。私は通りすがりのミーハーです)
今度NHKでミス・マープルかエルキュール・ポアロのシリーズを再放送したら、ちゃんと見てみよう。
世界各国の複数の言語で書かれた小説、パンフレット、雑誌などなど・・・博物館の中のほんの一画なんだけど、じっくり見ていたら1日居られそうなぐらい。
ところで皆さん「トーキー」って知っていましたか?
同じイギリスの作家でもブロンテ3姉妹のハワース(エミリー・ブロンテの「嵐が丘」の舞台)、ヴィアトリクス・ポターの湖水地方(ピーター・ラビット) コナン・ドイルのロンドン・ベーカー街(名探偵ホームズシリーズ)はかなり有名で彼&彼女たちの住んだ家や記念館が建っているのに、トーキーは全く無名だし、 "アガサ・クリスティ記念館" は存在しません。
なぜ?
前から疑問に思っていたことが、実は何気なく見た、展示品の雑誌に書いてあったのです。
答えは・・・
アガサ・クリスティと娘のロザリンドさんが"アガサ・クリスティ"を商業目的で使われることに反対しているから
・・・なんだそうです。
トア・アビー (Torre Abbey)
トーキーにある最古の建物。修道院でしたが現在は歴史博物館に改装されています。 ここのアガサ・クリスティのコーナーは彼女が愛用したタイプライター、オリジナルの原稿が展示してあり、彼女の部屋をそのまま再現したかのようです。
確かにアガサ・クリスティの記念館など存在せず、トーキー博物館とトア・アビーの一画に「アガサ・クリスティ」コーナーに展示品があるのみ。
お土産屋さんが大々的にアガサ・クリスティのグッズを売っている・・・なんてことはなく、ツーリスト・インフォメーションに ロゴや写真入りのマグカップ、Tシャツなどを少し置いているぐらいなんです。
街の中にはクリスティの足跡があちこちに残されていますが、前もって調べておくか、ツーリスト・インフォメーションで地図を購入 しなければ、全く分からずに通り過ぎてしまうことでしょう。
私なんて親が有名人だったら、それでお金儲けて、遊んで暮らそう・・・なんて思うけどな。
でも、ま、"世界的な有名人"なのに"知る人ぞ知る"観光地があってもいいでしょう。
アガサ・クリスティのコーナーを抜けるとヴィクトリア時代の日用品、美術品のコレクション(ドールハウスが印象的)の展示コーナーあり、 いきなり古代エジプトのコーナーありで、なんか盛りだくさんな博物館です。
Pi-子:さて、次はどこへ行こうか?
メイシー:ビークーン・ビーチ(Babbacombe beach)行こうよ、すっごいきれいなんだよ。
Pi-子:時間もあるし、せっかくだから海沿いの道を行こうか。
一旦、トーキー港に戻り、海沿いの坂道を登っていくと、インペリアルホテルの前に出る。
1866年にオープンした老舗で、イギリスのロイヤル・ファミリー、ロシアの皇帝も泊まったことのある由緒あるホテルです。
アガサ・クリスティもここで、午後のお茶やパーティを楽しんだということで、作品の中(「邪悪の家」「スリーピング・マーダー」「書斎の死体」)にも登場しています。
真ん中の白い建物がインペリアル・ホテル
アガサのお父さんが通ったという 「ロイヤル・トーベイ・ヨット・クラブ」
港からインペリアル・ホテルまでの坂道にあります
博物館を出てから
約2時間
・・・やっとビークーン・ビーチ(Babbacombe beach)に到着。
地図を見るとさほど距離がないのに、2時間もかかったのは、道に迷ったからです。(-_-;
Pi-子:あ〜、疲れた・・・
ベンチに座って小休止をとるPi−子。
メイシー:こっちからの眺めがすごいきれいなんだよ。
メイシー・・・元気だな・・・。
メイシーに手をひかれて"眺めのいい場所"に連れて行かれる。
確かに、これは絶景!(左写真)・・・苦労してきただけになおさら・・・
Pi-子:あっそうだ、2人で写真撮ろうか・・・すみません
と言って、近くにいた老夫婦のうちおじいさんにカメラを渡してシャッターをお願いする。
おじいさん:シャッターはここかい?・・・さぁ、撮るよ
デジカメだというのにおじいさん、おもむろにファインダーを覗き込み、シャッターを押す。
Pi-子:ありがとうございました。
おじいさん:上手く撮れたかな・・・
Pi-子:大丈夫です、ほら、こんなきれいに
おじいさんに今撮ったばかりの映像を液晶モニターに表示して見せる。
おじいさん:おおっ、こりゃすごい!ばーさんも見てごらん、今撮った写真が見れるんだよ。
どうやらデジカメに驚いている様子・・・そういえば、イギリス人がデジカメ持ってるのって見たことない・・・かも。
街中で見たプレステ2も日本の倍ぐらいの値段だったし、デジカメも相当高いんだろうなぁ。
写真を撮ってくれたおじいさんとおばあさんにもう一度お礼を言い、近くのカフェで一休みをしてから、ペイントンに帰るべくバス乗り場へ。
帰りはビークーン・ビーチからトーキーの繁華街までの続く大通り(St.Mary Church Road)を通ったらほんの30分ぐらいだった。
Pi-子:けっこう近かったんだね。
メイシー:行きはPi-子が海沿いを行こうって行ったから、遠回りしたんでしょ!
そういえば、そうでした。
よく歩いて疲れたので、さすがに帰りはバスで。
バス乗り場を降りてから、いつものようにおしゃべりをしながら・・・分かれ道まで来た。
Pi-子:私は明日はロンドン、メイシーはプリマスだよね。
メイシー:そう、プリマスの学校
(ノブコと同じ学校)
へ移るからね。
Pi-子:国(韓国)へはいつ帰るの?
メイシー:帰んない
Pi-子:へっ?
メイシー:青い目で金髪のイギリス人のボーイフレンドを作って、イギリスに住むの。
う・・・そ、そうなんだ。
まぁ、でもメイシーって韓国美人だから、モテるかも。
Pi-子:Good Luck ! そしたら私はイギリスに遊びに来るよ。
メイシー:そうして、じゃあ、See you someday !
Pi-子:Of course, See you someday !
さようなら、メイシー
さようなら、ペイントン
See you someday ! いつかまた会う日まで・・・
(Pi-子)
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