最後の授業(Last Lesson)
世界の生徒からの手紙
5月30日(木)
明日は最後の授業。
最短2週間からの随時入学という制度なので何人ものクラスメートなどを見送ってきたけれど、とうとう私の番になったのだ・・・
・・・と、感傷にひたりながら最後の日を迎えようと思っていたのだがやはり、そうはいかなかった
ホテルのおじさん:Pi-子、さっきからずいぶん考え事しているみたいだけど、どうしたの?
ホテルの食堂(食事時以外はフリースペースとなっている)で私は先ほどから、ノートに文章を書いては消し、を繰り返していた。
Pi-子:実は明日はちょっとした発表をしなきゃいけなくて・・・
ホテルのおじさん:論文発表?
Pi-子:いや、そんな大したものじゃない。自分の好きなモノについて・・・そのモノも持ってきて、2、3分理由で説明する・・・ということ。
ホテルのおじさん:好きなモノのことなら何でもいいんだろ?何を考えることがある?
Pi-子:イギリスに持ってきたモノなんてそんなにないし・・・1人で2、3分ってけっこう長いよ。
ホテルのおじさん:ま、もっと簡単に考えなよ。
う〜ん、ごもっともなんだけどね。
こうして明日の課題に頭を痛めつつ、最後の授業前夜はふけていったのだった。
5月31日(金)
今日は最後の授業。
この道を通るのも今日が最後なのね・・・
・・・と、感傷にひたりながら最後の通学路を歩こうと思っていたのだがやはり、そうはいかなかった
Pi-子:重い・・・
私は1人、ぶつぶつ文句を言いながら学校へ向かっていた・・・というのも・・・
ミア:おはよ、Pi-子・・・何持ってんの?
Pi-子:あ〜、おはよ。これね〜電磁調理器。けっこう重いんだ、これ。キウシックが欲しいっていうから8ポンドで売ることにしたんだ。
ミア:キウシックってホームステイだよね。どうしてそれが必要なのかな?キッチン使わせてもらえばいいのに。
Pi-子:さぁ?あいつ変だからね。
ミア:そうだね、あいつ変だから。
ミアとキウシックの悪口を言いながら、学校へ向かう。
やっと教室に到着。
Pi-子:あ〜、重かった・・・
こんなことなら取りに来させればよかった。
キウシック:いや〜、ご苦労様。約束の8ポンドね。
Pi-子:・・・重かったから手間賃として、もう2ポンド請求しようかな・・・
キウシック:それは契約違反!はい、8ポンド!
Pi-子:ホームステイなのに電磁調理器なんてどうするの?料理するわけじゃないでしょ。
キウシック:自分の部屋でお湯沸かしたい時もあるじゃん。国から持ってきた食べ物を食べたい時もあるし。
イギリスの食事はあまりおいしくないから、その気持ちは分からないでもないが・・・お湯ぐらいならキッチン借りればいいのに。
ジャニス:Good Morning!
商談(?)が成立したところで担任のジャニスが入ってきた。
ジャニス:お待ちかねの発表の日ね。みんな用意はしてきた?
・・・一応・・・。
ジャニス:順番は・・・そうね、私から見て左側のレティッツィアからいきましょうか。
この日、私はジャニスから見て一番右側に座っていたので、必然的に最後に。
最初もやりづらいけど、最後ってのも、ずっと緊張してなきゃいけないからヤダな〜。
レティッツィア:はい。私のお気に入りはこれ、トランプ。
レティッツィアは古びたトランプを見せた。
レティッツィア:イギリスでもこれで遊べると思って持ってきました。おじいちゃんがよくトランプの手品を
やってくれたの。ちょっとやってみます。
まずは自分でカードをシャッフルし、他の人に一枚抜かして、みんなに見せてから、またそれを混ぜてシャッフル、すると・・・あら、不思議!
カードの山の上にさっき抜いたカードが!
( ^^)//☆ 拍手・拍手
うまいな、レティッツィア。
ナオミ:次は私ですね。・・・私はこれです。
ナオミは(日本の)船舶の免許を見せた。
すごい、船舶の免許なんか持ってるんだ。
ナオミ:船を持っているわけではないのですが、前の仕事でちょっと必要があってとったんです。
その時していた仕事のこと、免許を取った時の苦労話、ナオミは簡潔にまとめた。
さすが、ナオミ。
キウシックの番
キウシック:今日はお気に入りの爪切りセットの話をしたかったのですが、残念ながら肝心のつめ切りが
ここに来る途中、飛行機の乗り換えをした
日本で没収されてしまたので、紹介できません。
・・・なぜ「日本」を強調する?
キウシック:好きな物というよりは関心のある事についてお話します。これは数日前の新聞に載っていた記事です。
キウシックはワールドカップ特集で取り上げられた韓国のことが書かれている記事をジャニスにみせた。
ジャニス:この記事は私も見たわ。韓国では犬を食べる習慣がある・・・ということでしょ。
キウシック:はい。しかし、誤解されている事が多いです。一部の人が食べているだけで、犬を食べない人は食べない。
全ての韓国人が食べているというのは誤解です。特に若者はあまり食べません。元々薬として食されていたもので、効能は・・・
効能とか犬を食べることができる特別な日がある・・・ということはなんとなく分かったんだけど、どうもこの先の言っていることがよく分からん。
周りを見てみるとみんなも同じのようで、他のことをしてたり、難しい顔してたり。
キウシックも自分の言葉をしゃべっているというより、覚えてきた事をそのまましゃべっているという風である。
私よりボキャブラリーもあるし、文法もできるし、ヒアリングだって優れているのに、どうして同じクラスなんだろう・・・と当初思ったが、
こいつには致命的な部分が欠けている部分があるのだ。
それは人とのコミュニケーション。
何かを勉強するのには訳がある。いい成績でいい学校(会社)に入りたいとか、資格を取るのが好きだとか、自己満足だったりしてもよいと思うが、
語学の場合は自分の意思を誰かに伝える手段・・・だと思う。
単語や文法を覚えるのも、文章の丸暗記だって必要だけど、一番大切なのはそうゆうことじゃないんだぞ!
・・・と、こいつも分かる時が来るのだろうか?
キウシック:だって日本では・・・・・・・・・・・・・・じゃないか、ねぇ、Pi-子?
Pi-子:はっ?
自分の世界に入っちゃって全然聞いてなかった。
キウシック:だから、日本では生きた魚をそのまま調理して、客の目の前に出したりするそうじゃないか・・・僕はその方が残酷だと思うね。
むかっ
Pi-子:サシミは生の魚を切って(さばいて)そのまま出すのだから、新鮮であることが重要なわけであって
生きた魚を出すってのは新鮮の証なの!
キウシック:生きたまま出す料理だってあるじゃないか!
踊り食いのことか?・・・こいつよく知ってるな。
ジャニス:Pi-子は食べたことある?
Pi-子:ありますが・・・やはり、個人的には気持ち悪い(口の中で動く)し、残酷だと思うので好きではありませんね。
もっとも、活け作りも踊り食いも値段が高いからあまり食べません。
キウシック:確かにサシミはおいしいよね、あ、なんだっけ・・・緑のサシミにつけて食べるヤツ・・・
Pi-子:ワサビ?
キウシック:そう、ワサビつけて食べるとおいしいね。
なんだ、結局好きなんじゃないか。
次、フランク。
フランク:私のイギリスの思い出の品は何と言ってもコレ。
フランクは1本の傘を取り出して、上に向かって差した。
ジャニス:ゴルフ傘?
フランク:そう、ゴルフ傘。2週間前、イギリスへ来たばかりの日、出かけたら急に雨が降ってきて、近くにあったお店でとっさに買ったんだ。
ジャニス:滞在が2週間だった学生の皆さんにはお詫びしないとね。ずっと天気が悪くてイギリスの印象が悪くなったんじゃないかしら?
フランク:いや、これぞ「English Weather」ですよ。ははは。
そういえば、ここ2週間ずっと天気が悪く・・・私もひどい目にあった。(「English Weather」参照)
ジャニス:最後はPi-子ね。
Pi-子:はい・・・私はこのカメラと日記です。ご存知の通り私はよく写真を撮っていて・・・
レティッツィア:Pi-子、写真好きよね。いろんなもの写してるし、いつも持ってる。
写真が好きというよりほとんどHPの為なんだが
Pi-子:こっちの日記帳はジャニスはもちろん、この中の何人かは知ってると思うけど、実は英語でその日あったことを
日記につけていて・・・
ナオミ:Pi-子の日記じゃ、スーパーに買い物に行って、今日は牛乳を買った・・・というもんなんじゃないの?
・・・否定はしません・・・
Pi-子:うん、まぁ、日常の些細な出来事がほとんどで・・・週末はどこかへ出かけたりしてますが。毎日ではないけど
1週間に1、2日書いて、先生にチェックしてもらっていました。
ジャニス:最初の頃は間違いが多かったけど、だんだんよくなってきていましたよ。
Pi-子:ありがとうございます。え〜と、カメラは目に見える物を記録し、日記は目に見えないものを記録してくれました。
これらはイギリスに滞在間の大切な思い出です。
よし、全部言い切ったぞ、と。
( ^^)//パチ☆ ( ^^)//パチ☆ ( ^^)//パチ☆
みんなから拍手をしてもらった。
なんかうれしくなるな〜こうゆうのって。(*^_^*)
こうして私の留学生活、最後の授業は終わった。
午後は感傷にひたって、海辺で日記でも読み直すか・・・と思っていたのだがやはり、そうはいかなかった
授業の後、急いでホテルへ戻り、日本へ送る荷物をまとめる。
あさってにはここを出て旅行をするので、今日(金曜日)のうちに郵便局へ持って行かねば!
それからミアとジョアンナとペイントン最後のクリーム・ティーを楽しむことになっているので、時間までに行かなきゃいけないし・・・
も〜、たいへん。へ(×_×;)へ
(Pi-子)